インターネット上のプラットフォームを通じて世の中に呼びかけ、共感した人から資金を集めるクラウドファンディング。クラウドファンディングを利用して資金調達をする企業や自治体が増えています。クラウドファンディングのイロハから、事業発展への活用法まで説明していきます。
いまさら聞けない?!クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、「クラウド」(Crowd=群集)と「ファンディング」(Funding=資金調達)を組み合わせた造語。インターネットを通して不特定多数の人から資金を集める方法です。
例えば、「実現したいプロジェクトがあるけど資金がない」というときに、インターネット上のプラットフォームを通じて世の中に呼びかけ、プロジェクトに共感した人から資金を提供してもらう仕組みです。
事業資金を調達する方法といえば、一般的に金融機関からの借り入れや、地方自治体などの補助や助成、債券・株式の発行などといった方法があります。
しかし、近年はクラウドファンディングが新しい資金調達の方法として注目を集めているのです。
金融機関からの融資を受ける場合は、審査に通ることが必要です。しかし、審査を通過するには会社の財務内容や、実績、信用、金融機関との取引振りなど、さまざまな基準でチェックを受けます。そのため、たとえ有望なプロジェクトだったとしても、不確実性の高い新規事業などでは融資を受けるのが難しい場合も少なくありません。
そんな時に検討したいのがクラウドファンディングです。クラウドファンディングでは、実績を作る前でも賛同者を集めることさえできれば資金も集まるでしょう。とはいえ、資金を提供してもらうためには、支援者に対して何らかのリターンを提供するのが一般的です。
クラウドファンディングは、リターンのあり方によって主に以下の4つのタイプに分けられます。
- 購入型:お礼として商品やサービス、権利などを出資者に提供する
- 投資型(ファンド型/株式型):プロジェクトで出た利益から配当という形で金銭を出資者へ提供する
- 融資型:お金を貸した利子として一定額の金銭を出資者へ提供する
- 寄付型:リターンなし
寄付型クラウドファンディングの場合、集まった資金は全額寄付となるため、リターンを提供する必要はありません。ただし、資金使途も純粋な社会貢献を目的とする傾向にあります。例えば、環境保全や被災地支援、病気の子どもたちの支援などです。
クラウドファンディングの市場規模は拡大傾向に
クラウドファンディングの市場規模は、拡大傾向です。一般社団法人日本クラウドファンディング協会が公表している「クラウドファンディング市場調査報告書(2020年6月19日付)」によると、2019年の各タイプの市場規模は、以下のようになっています。
購入型 | 株式型 | 融資型 | 3タイプ計 |
169億円 | 5億6,000万円 | 1,113億円 | 1,287億6,000万円 |
これらの数値を見ると、全体の約86%を占めている融資型のクラウドファンディングが圧倒的に多いことがわかります。しかし、その中でも今後注目したいのが、近年急速に規模を拡大させている購入型のクラウドファンディングです。
購入型クラウドファンディングでは、資金提供者に対して利子や配当といった金銭を提供するのではなく、プロジェクトで実現した製品やサービスを提供します。そもそも、資金提供呼びかけの目的が製品やサービスの創出となるため、自社製品の提供といった方法は有効なのではないでしょうか。
スタートアップ企業から大企業まで、クラウドファンディングの新たな活用法
かつては、銀行融資などに頼りにくい小規模企業やベンチャー企業が資金調達をする場としてクラウドファンディングを利用する例が多数を占めていました。しかし、事業者側のクラウドファンディングの活用傾向も変わってきています。
「協賛および支援してもらえるかどうか」については、資金だけの問題ではありません。創出しようとしている製品・サービスが「世の中に受け入れられるかどうか」ということが重要です。
クラウドファンディングの登場によって、このような市場調査や市場開拓、マーケティングが可能になってきています。消費者やバイヤーの反応をいち早くつかみ、効果的なマーケティングが実現できる場として、中小企業はもちろん大手企業も積極的に購入型クラウドファンディングを活用している傾向です。
あわせて、クラウドファンディングのプラットフォームを提供する事業者も増え、サービスも幅広くなっています。なかには、実現した製品・サービスを販売できるECサイトを提供したり、これまでのプロジェクト実現データを分析し新たな製品創出のための助言などのサポートを行ったりしている事業者もあるのです。
これからのビジネスにおいて、クラウドファンディングの上手な活用は事業の発展や、拡大のカギとなる可能性があります。インターネットを通して、広く一般消費者に呼びかけるクラウドファンディングは、企業の大小や業種に関係なくしっかりとしたアイデアと見る人をひきつけるような力があれば、どの事業者にも利用できそうです。
貴社でも事業拡大に向け、クラウドファンディングを活用してみてはいかがでしょうか。
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