【解説】中小企業経営者の悩みをどう解決する?

会社経営をしていると、営業や人材の確保、資金繰りなど、さまざまな悩みが生じることもあるのではないでしょうか。今回は、中小企業経営者の悩みに焦点を当て、解決方法について考えていきます。会社経営者だけでなく、これから起業を検討している人もぜひご覧ください。

お悩み1.販売・営業力について

株式会社日本政策金融公庫が公表している「2021年の中小企業の景況見通し」によると、経営上の不安要素の第1位は「新型コロナウイルス感染症の影響」でした。次いで「国内の消費低迷・販売不振」が挙げられています。新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、外出や企業活動の自粛・時間短縮が呼びかけられている中で、販売や営業をどう進めていくか悩んでいる経営者は多いでしょう。

また、中小企業の場合、大企業とは異なり販売や営業のために注げる資源(人・資金)が少ないということもあるかもしれません。販売力や営業力について悩みがある場合、どのようにして解決していけばいいのでしょうか。

代表的な解決法:取引先の課題や問題点を共有し、解決に導く営業スタイルに移行する

従来の営業といえば、飛込訪問や電話営業で自社商品やサービスを売り込むスタイルがメインでした。しかし、商品やサービスが十分に供給されている時代には向いていない方法といえます。これからは、取引先の悩みや課題を共有し、自社商品・サービスでどのように解決するかを提案する「提案型営業」にシフトしていきましょう。

提案型営業にシフトしていくためには、以下について心がけるようにしてください。

・取引先の情報だけでなく、自社の商品・サービスにも詳しくなる

・業界の最新情報もチェックする

これら2点を押さえたうえで、こちらから一方的に提案するだけでなく、取引先の悩み・課題を聞く力も身につけておきたいところです。また、取引先の課題を各部署で情報共有するように努めましょう。

お悩み2.人材の確保について

中小企業の大きな悩みの一つとしては、「人材確保」も挙げられます。先述の「2021年の中小企業の景況見通し」調査でも、「人材の不足、育成難」が中小企業の不安要素の第4位に挙げられていました。人材不足は、営業機会や増産の機会を失うことにもつながりかねません。このような事態にならないためにも人材確保に力を入れることが必要です。

代表的な解決法:副業・兼業人材の活用

中小企業庁の「2021年版 中小企業白書」には、副業・兼業で働きたい人を受け入れ、人材確保に成功している企業の例が紹介されています。受け入れるメリットとして挙げられている上位は「多様な人材の確保」「自社では培えない経験・知識が得られる」といった点です。業種によっては、副業・兼業人材の受け入れは難しいかもしれません。

代表的な解決法:柔軟な働き方の推進

副業、兼業人材の採用以外にも、主婦(主夫)や高齢者のように長時間働くことが難しい人材に1日1時間程度働いてもらう「プチ勤務を導入する」という方法もあります。例えば、子育てや介護などの事情を抱えているものの働きたいと感じている人も少なくありません。そのため、急な休暇希望に対応できる体制を整えることについても考えてみましょう。

お悩み3.資金繰り・資金調達について

「資金繰りや資金調達をどうするか」という悩みを持つ中小企業経営者は、多いのではないでしょうか。特に、2020年以降はコロナ禍の影響もあり、「中小企業の資金繰り状況は悪化している」という調査結果があり、「2021年版 中小企業白書」にも掲載されています。また、2020年3月に民間企業が行った調査でも調査対象企業の約29.6%が「2020年1月以降のコロナ禍による影響で、資金繰りが厳しくなったと感じた」回答しています。

代表的な解決法:資金調達先を検討しておく

企業の資金繰りが本当に厳しくなった場合、銀行をはじめとした金融機関は融資に難色を示すことが多いため、資金調達は難しくなります。そのため、資金繰りが本格的に厳しくなる前に調達先について考えておきましょう。先述した民間企業の調査では、調査対象企業が検討した資金調達手段について以下のような結果でした。

・日本政策金融公庫…59.4%

・銀行融資(ビジネスローン含む)…34.4%

・助成金…33.3%

その他には、「銀行カードローン」「ファクタリング」「クラウドファンディング」「オンライン融資」といった回答がありました。当然、受けた融資には返済義務があるため、融資の申し込みをする際は、返済まできちんとできるのかを把握することが必要です。返せる見込みがないのに融資の申し込みすることは避けましょう。

代表的な解決法:資金繰りの現状を確認する

資金繰りが厳しくなることを防ぐために、日々資金の現状を確認する習慣を身につけましょう。資金繰りの現状確認には、「資金繰り表」の活用が最適です。現金収支が把握しやすくなるため、「今月現金が不足する」という事態を未然に防ぐことができます。売掛金の入金時期も記入するようにしておけば、未回収を防ぐことも期待できるでしょう。

また、資金繰り表は将来的な現金の流れを把握できることから、黒字倒産の防止にも役立ちます。黒字倒産とは、売上は上がっているにもかかわらず、売掛金が入ってこないため、帳簿上では利益が出ていても手元に現金が不足してしまい倒産に陥ることです。資金繰り表には、決まった書式はないため、自社に合った項目を入れて作ることができます。

もし、資金繰り表の作り方が分からない場合は、日本政策金融公庫ホームページで提供しているフォーマットを利用してみてはいかがでしょうか。

お悩み4.コスト削減について

企業活動においては、売上アップだけでなくコスト削減も重要です。資金繰りを健全に保つためにも、コスト削減を意識しましょう。

代表的な解決法:「ムダ・ムラ・ムリ」の洗い出しと改善

コスト削減のためには、以下の「ムダ・ムラ・ムリ」を洗い出し、改善することが効果的です。

・ムダ:本来必要でない時間、労力、経費

・ムラ:ムダとムリが発生している状態

・ムリ:目標達成のために必要な時間等が不足している状態

すぐに、改善が難しい場合は、少しずつ減らしたり、変えたりしながら取り組むようにしましょう。

相談できる場所を確認しておこう!

中小企業を経営していれば、さまざまな悩みが出てくるため、相談できる場所を事前に確認しておきましょう。一部ですが、悩みの種類別に相談できる窓口をご紹介します。

悩みの種類相談窓口
起業についての相談・都道府県中小企業支援センター ・よろず支援拠点 ・商工会議所
経営全般・都道府県中小企業支援センター ・よろず支援拠点 ・中小企業電話相談ナビダイヤル ・商工会議所
中小企業向け施策活用についての相談・中小企業電話相談ナビダイヤル ・商工会議所
事業継承・商工会議所
弁護士・税理士などの専門家探し・商工会議所
資金調達・中小企業支援センター ・各金融機関(融資・返済に関する場合)

※その他、各自治体で中小企業向けの相談窓口を設けています。

このように、中小企業の悩みに応えてくれる窓口は、たくさんあります。上手に利用して、事業発展に活かしていきましょう。

中小企業の悩みはさまざま、いざというときのために解決方法も考えておこう!

「起業したい」「会社を設立したばかり」「資金繰りが厳しい」といった人など、同じ中小企業でも悩みはそれぞれに異なります。いざというときのために、資金繰りが厳しくなる前から相談できる窓口を確認しておくと安心です。

また、経営において資金繰りで失敗しないためにも「資金繰り表で収支を確認する」「人材確保や営業力アップについて社内で話し合う機会を持つ」など、日ごろから経営状態を正確に把握し、危機的な状況に陥らない努力もしていきましょう。

文・田尻宏子 複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。

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