『検索エンジン経由・自社ページ行き』の路線だけでは、いま本当につながりたいカスタマーを自社に引き込むには少々、インフラ整備が弱いと言ってよいでしょう。この記事では、ウェブサイト以外のさまざまなメディアについて考察し、その本質的価値をあぶり出していきます。
この記事の目次
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
不動の地位を確立しているFacebookやTwitterをはじめ、近年とみに元気なInstagramやLINE@など。拡散力の非常に強いメディアと言えますね。
SNS活用のキモ…『企業やサービスの擬人化』
SNSはファンを増やすためのツール。そして、ひとたび機能してしまえば、アンチ(企業やサービスを快く思わない人)の存在さえも武器にしてしまう可能性を秘めているのが、SNSの持つ強烈なインパクトです。
情報提供の役割を持たせることも可能ではありますが、認知拡大によるマーケット創出がSNS活用の最大の使命であると言ってよいでしょう。
成功しているSNS戦略に共通する特徴は、『まるでひとりの一般人と対話するかのように、企業やサービスとコミュニケーションしている空気感』を作り出していること。インターネットスラングを使って表現するならば、『中の人』が透けて見えるようなくだけたアプローチが成功しています。
堅苦しさや商売っ気をギリギリまで削ぎ落とし、企業やサービスがなまなましい人格として顧客と友人になる。SNS戦略は、水平な視点で、共感を作り出していくマーケティングです。ネットワーク時代の醍醐味を感じますね!
メールマガジン
平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査情報通信白書(総務省)によれば、日本人のスマートフォン利用率は71.3%にまで上がっているということです。
全盛期から見て衰退したと言われる場合もあるメルマガですが、この『国民スマホ化』の流れによって実はひっそりと息を吹き替えしていると見ることができます。注目すべきは、カスタマーがEメールを読む環境がここ数年で劇的に変化したことです。
メルマガをもっとも衰退させたのは、『メルマガ=煩わしい』という通念。この通念が浸透してきた背景には
- Eメール=PCで送受信メルマガ=取る
- Eメール=携帯電話でも送受信メルマガ=取らない
- Eメール=おもにスマホで送受信メルマガ=取るけど読まない
という生活インフラの変遷があります。メルマガがカスタマーにとって、どうしても厄介者にならざるを得なかったのが、2の時代の後期から3の時代の前期。つまり『いちいち携帯が鳴ると鬱陶しいから、ちょっと読みたいメルマガがあっても取らないようにしている』というスタンスのカスタマーが最大多数だった時代です。この時代に、『メルマガはもう役に立たない!』と見限ってしまった企業も多いのではないでしょうか。
現在はどのような時代かと言うと、
- Eメール=スマホだけで送受信メルマガ=読みたいものだけ読む
このような時代に入っています。現在のスマホのメールアプリならば、読みたいメルマガだけを自動的に選別し、読みたいタイミングでまとめて読むことが十分可能です。それも、非常に簡単な設定で。
登録したカスタマーのメールアドレスを獲得し発信できるというメルマガ最大の強みは今も変わっておらず、メルマガの弱点であった『煩わしさ』は技術の進歩によって大幅に緩和されています。敬遠していたマーケティング担当者も、再考の余地あり!ですね。
動画共有サービス
YouTubeをはじめとする動画共有サービスを利用した動画配信も、どんどん比重が上がっている戦略のひとつではないでしょうか。話題性、インパクト、拡散力、どれをとっても動画の力は非常に大きなものです。
動画共有サービス活用のキモ:『企画勝ち』を狙う
『撮りっぱなし』に近いクオリティでも大きな効果を得ている動画コンテンツがある一方で、コストをかけて作り込んである割にあまり反響を獲得できていない動画コンテンツも数多くあります。
撮影と編集に多くの投資を行えば、見映えのよい動画を作ることは可能です。しかし、見映えのクオリティとビジネスの効果性とは、必ずしも比例の関係にないものです。
費用対効果を突き詰め、『企画勝ち』を狙っていきたいものです。ハイエンドな映像の誘惑は大変強いものですが、コンテンツを作る意図と仕上がり内容とが一致していることが何よりも重要です。誰の行動をどのように変化させるためのコンテンツなのかを明確化することで、最適な制作手法にたどりつく可能性が高まります。
プレスリリース
ニュースメディアへの転載を狙った、web上でのプレスリリース配信も強力なツールのひとつです。現在のニュースメディアは新聞・TV・雑誌(およびその提供するwebメディア)だけでなく、ネットニュースやSNSニュース、ニュースアプリなど様々なものがあります。どのメディアに取り上げられたいか?という戦略も大切ですね。
プレスリリース活用のキモ:社会にどんなインパクトを与えたいのか?
ニュースメディアがもっとも紹介したいサービスとは、『公共の福祉に資するもの』であると言えるでしょう。公共性・社会性が高く、イノベーティブで、セールスの匂いがしないこと。メディア自体が公共性の強いものですから、『売れそうなもの』を探しているわけではないことを念頭に置くことが重要です。
書籍や販促物とデジタルコンテンツとの相乗効果も重要です。カスタマーのWeb体験の重心は、PC上からスマホ上に完全に移行しています。特にDMや掲示物、リーフレットなどは、今となっては『QRコードを読み取らせるところまでが存在意義』と言っても過言ではないでしょう。
- Webと隔離されたように見えるコンテンツ(場や品物)から、どのようにしてWeb体験に引きつけるか
- Webから、どのようにしてWebと親和性の低い商品やサービスに引きつけるか
これらをブリッジする仕事は、Webマーケターのセンスの見せ所です。
オフラインコンテンツ活用のキモ:Webとリアルのスパイラル・アップ
『期待度<満足度』の関係性は、顧客満足・顧客感動の鉄則です。リアルな体験の質がWeb体験での期待を上回ったとき、そこに感動が生まれます。感動したカスタマーがWebで次のカスタマーを連れてくる、そのカスタマーがまた次のカスタマーを連れてくる…この循環をいかに促進するかということです。
Web上で刺激することができないカスタマーの五感は、【触覚・嗅覚・味覚】。そして、聴覚においては【静寂】、視覚においては【遠さ】などは、Web体験ではその妙味を十分に味わうことができない要素です。ここがWebの余白になります。
オフラインコンテンツ
オフラインコンテンツは、この余白に確実に価値を描くことが使命です。そして、オンラインコンテンツが『そこに余白があること』を見せつけることで、両者は相互補完的な関係を手に入れます。
人間の脳は『痛がる人の姿』を見たとき、実際に『痛みを感じる物質』を分泌しているのだそうです。働いていない五感を働かせることは可能であるとするこの脳科学の実証は、オンラインとオフラインのメディア戦略にもヒントを与えてくれそうですね。
『この感動は、ネットでは伝わらない!』という声がネットに溢れている瞬間は、Webマーケターがもっとも勝利を実感する瞬間のひとつです。
デファクトコミュニケーションズのコンテンツ制作「4つの強み」はこちら |
まとめ:すべてのコンテンツはコミュニケーションに通ず
Webコンテンツはコミュニケーションのための道具であるというのは、このブログで一貫してお伝えしている私たちの基本的なスタンスです。
今回紹介した、Webサイト以外のさまざまなコンテンツも同様です。そして、コミュニケーションの道具たちが存在する意義を明確にするためのカギは
「誰と何をコミュニケートしあいたいのか?」ということにあります。
コミュニケートとは、『意思や感情などを伝える』ことなのです。
感情を科学的に扱うための研究が様々なところで行われていることが、引用の図からもおわかりいただけるかと思います。誰と何をコミュニケートしたいのか?(=このコンテンツは何のための道具なのか?)を深く考察し、明らかに定義するために、このように感情を科学的にマッピングしたものを活用するとよいでしょう。マーケティングとは、販売や購買のチャネルを拡げるだけでなく、コミュニケートする感情のチャネルを拡げることなのです。
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