戦略性を意識したブランドコミュニケーション「コンテンツストラテジー」

「BUSINESS」の文字を指さす右腕。指の先に光。

最近、ウェブサイトのデザインも論理的に行われるようになってきており、その際に使われるのが「コンテンツストラテジー」という言葉です。そもそも、コンテンツストラテジーとは、2000年代の半ば頃に生まれ、2010年頃から活発に用いられるようになってきた言葉です。

一口に言えば、webデザインの戦略のことなのですが、webデザインと聞いて、思い浮かぶものは何でしょうか?メニューの色や形?ページの構造?アイコンや写真の、気の利いたデザイン? 

それらがwebデザインという仕事のおもな業務であったのは、過去の話です。今回は、コンテンツストラテジーが企業のブランドデザインにどう影響するかなどをご説明していきます。

「コンテンツストラテジー」という概念が生まれた背景

Webサイトは今や、データベースをはじめとした情報資産管理や、DTP、電子書籍の編集ツール、さらには各種情報メディアの番組ウィジェットともダイレクトに連携し、黎明期とは比較にならないほど高機能なものになっています。開発の複雑化・高度化が進み、それに対応するための開発・運用ツール(CMS)が進化するサイクルもどんどん速くなっています。

そして、現代のwebサイトの必須要件は、目まぐるしく変化する市場に柔軟に対応できること。「構想●年」、「開発●年」…といったテンポでは、時代のスピード感にまったく追いつくことができません。そんな20世紀の時間感覚から脱却できず、化石のように硬直したwebサイトは、『時代遅れの企業』の看板として、負の存在感を大いに発揮しています。

サイトを閉鎖することはリスクどころか市場からの退場に等しいこの時代にあって、リニューアルに着手するも一向に納得できるリリースに漕ぎ着けない、そんな悲壮感を漂わせるweb担当者も、まだまだ決して少なくないように見受けられます。

この問題を、どのようにして解決していくべきでしょうか?

運用・配信のフェーズまでを見通して、高い効果性と円滑性を実現し得る構想設計を、企画開発の段階でデザインするには?稼働させながらブラッシュアップし続けられるwebサイトを構築するには?

基本となる概念が、コンテンツストラテジーです。外側の『箱』ありきではなく、コンテンツ(内容)をいかに有意義なものにするかを起点としてwebサイトを構築していく考え方であり、

  • 組織がどのようなコンテンツで攻めていったらよいのかを考える分野
  • 戦略的にコンテンツを開発していくためのアプローチ

といった意味に捉えることができます。

コンテンツマーケティングとコンテンツストラテジーの違い

  • コンテンツマーケティング=webコンテンツを活用した集客
  • コンテンツストラテジー=企業戦略全体をwebに落とし込んだより包括的な概念

コンテンツマーケティングが、すでにあるモノやサービスをwebを活用して誰にどのようにリーチするかという集客戦略であるのに対し、コンテンツストラテジーは、言わば『企業戦略そのものをwebというプラットフォームの上で完全に表現すること』です。

優れたwebサイトは、そこにアクセスするだけで、

  • 『その企業がどのような理念にもとづいて、社会に対してどのような価値を提供するのか』
  • 『どのような風土と文化を持ち、どこの誰に対してどのようなベネフィットを創出する意図によって経営されているのか』
  • 『アクセスした私は、この企業から一体どのような価値を受け取るのか』

などのこと―企業のすべて、と言ってもよいでしょう―が、直感的に理解できるようにデザインされています。Webという世界の中で見える、企業そのものの全体像をつくり出すプロセスとアプローチが、コンテンツストラテジーなのです。

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まとめ

「なんとなくデザインがいい感じ」「たぶんこれでユーザーに伝わる」というあいまいな基準でウェブサイトをデザインしたり、その他のマーケティングツール(例えば、メルマガ、ホワイトペーパー、統合報告書、企業出版、営業資料などなど)を作るのは得策ではありません。

しっかりと、「なぜここにこうした情報が必要なのか?」ということを戦略的に突き詰め、実作業に落としていくことが、コンテンツストラテジーというアプローチを伴った各種マーケティング・ブランディング作りなのです。

 

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