ECサイト構築方法8種類と費用相場を比較!選択のポイントも紹介

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ECサイトの構築は、手軽に始められる方法から全サービスを自社開発する方法までさまざまです。今回は、主要なECサイト構築方法を8種類紹介するとともに、費用相場や難易度・拡張性を比較しました。最後に、どの構築方法を選択するかのポイントについても解説します。

この記事の目次

ECサイトの構築方法8種類の特徴・費用相場の比較表

ECサイトを構築したい場合、「自社の予算」「求める機能性」「構築の難易度」などを含めて、最適な方法を選ぶ必要があります。8種類のECサイトの構築方法を、以下の4点で比較しました。

  • 初期費用
  • 月額費用の相場
  • 構築難易度
  • 拡張性
構築方法初期費用月額費用構築難易度拡張性
SNS0円0円 別途販売手数料不可
ASP(無料)0円0円 別途手数料不可
大手ECモール~6万円~5万円 別途手数料低~中低い
ASP(有料)~10万円~10万円 別途手数料不可
クラウドサービス300万円~10万円~不可
パッケージ500万円~10万円~中~高可能
オープンソース0円 別途開発費10万円~可能
フルスクラッチ数千万円~数十万円~可能
こちらは一例です

ECサイトの構築方法について、その特徴を順番に解説します。

簡単に始められる「SNS」でのECサイト構築

Facebookの「Facebookショップ」や、Instagramの「Instagramショップ」など、身近なSNSを使い、無料で簡単にECサイトを開始できる方法です。初期費用・月額料金ともに無料で、別途販売手数料がかかります。

ただし、FacebookおよびInstagramともに、SNSから直接購入できるのは米国のビジネスまたは一部のビジネスのみ。日本の場合は、外部のECサイトに誘導して購入するパターンのみで、ECサイトは別途立ち上げなくてはなりません。

メリット

  • 手軽に始められる
  • 商品が売れるまで費用がかからない
  • 拡散力があれば大きなヒットも見込める

デメリット

  • 写真などのクリエイティブが弱いと売れにくい
  • 日本では別途ECサイトを立ち上げる必要がある
  • 拡張性はない(すべて同じデザインになる)

手軽な「ASP(無料)」でECサイトを構築

「BASE(ベイス)」「STORE.jp」など、無料のASPを利用すると、初期費用をかけず手軽にECサイトを構築できます。販売できる商品数は、ASPサービスによって異なるため、販売商品数が多い場合は、各ASPサービスの仕様を確認してください。画面デザインは、用意されているテンプレートにより、ある程度変更はできますが、基本的に拡張性はありません。

BASEは、デザインさえできればオリジナルの商品が作れるWebサービスと連携しているため、イラストやデザインが得意な人がグッズ販売を行う場合にも便利です。

メリット

  • Webサイトやシステムの知識不要で誰でも手軽にECサイトを構築可能
  • 商品が売れない限り手数料はかからない
  • デザインさえできれば商品を販売できる仕組みを持つサービスも

デメリット

  • 拡張性はなく支払方法はASPサービス会社の提供する方法しか使えない
  • デザインを思うように変更できない
  • 顧客情報は自社で管理できない

「大手ECモール」で本格的なECサイトを構築

「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」などの大手ECモールを利用することでも、手軽にECサイトを構築できます。初期費用や月額費用はかかりますが、導入支援も受けつつ、比較的低価格で本格的なECサイトの運営が可能です。

ECモールのタイプには、デザインが統一されているマーケットプレイス型(Amazon)、大きなECモールの中で各ショップが出店しているイメージのテナント型(楽天市場やYahoo!ショッピング)があります。

メリット

  • キャンペーンやSEOなどECモールの高い集客力で売上アップが期待できる
  • ブランド力による顧客の安心感
  • 導入支援や販売戦略など手厚いサポートが受けられる

デメリット

  • 運用コストが高くキャンペーンや広告などもかかる
  • 商品は常に比較されるため価格競争に陥りがち
  • 拡張性が低いためデザイン面で独自性を打ち出しにくい

比較的低価格で運用できる「ASP(有料)」でECサイトを構築

「MakeShop」や「FutureShop2」などの有料ASPは、大手ECモールと比較しても低コストでECサイトを運営できます。無料のASPサービスと比較すると、機能面や外部サービスとの連携が充実しており、最新動向に合わせた機能拡張も多い傾向です。

ただし、無料のASPサービスと同じく、機能面の拡張性はなく、同じデザインや支払方法にしか対応できません。そのため、「業務効率化が必要になった」「さまざまな支払方法に対応したい」といった場合、有料のASPサービスから、さらに拡張性の高いECサイトへ移行する必要もあるでしょう。

メリット

  • 比較的低コストで手軽にECサイトを構築できる
  • 豊富な外部サービス連携が利用できる
  • 最新動向に合わせた機能をいち早く利用できる

デメリット

  • 拡張性がないため支払方法や配送方法を独自ルールにはできない
  • 売上が上がると販売手数料が割高になるサービスもあるので注意
  • 顧客情報は自社で管理できない

拡張性の高い「クラウドサービス」でECサイトを構築

海外の「Shopify」や、日本の「メルカート」など、ECサイト構築のクラウドサービスです。初期費用は、数百万円単位となることもあり、導入にかかる費用は高くなります。しかし、カスタマイズが一部可能なサービスもあり、有料のASPサービスに比べて拡張性が高い点が魅力です。

ただし、カスタマイズを外注する場合は、自社の販売に関する業務フローをベンダーに説明する程度の知識は求められます。海外サービスの場合は、別途国内で導入支援などを行う「インプリベンダー」も選定する必要があるため、「インプリベンダーをどこにするか」という点も重要なポイントです。

クラウドサービスは、中小企業だけでなく規模の大きいECサイトを構築したい大企業向けのサービスもあり、自社の規模に合わせてサービスを選ぶ必要があります。

メリット

  • 拡張性があるため、ある程度自社に必要な機能を実現できる
  • ブランドイメージに合わせた画面デザインも可能
  • セキュリティやシステムの更新はザ―ビス提供者がすべて実施

デメリット

  • 一定の技術力やカスタマイズを外注する際のマネージメントが必要
  • 初期費用や売上高に連動して費用が高くなるサービスもありコストがかかる
  • 拡張性にも一部制限がある

「パッケージ」で自由度の高いECサイトを構築

ECサイト構築・運営に必要な機能をパッケージ化したシステムを利用すると、自社のニーズに合わせた自由度の高いECサイトが構築できます。パッケージの購入費用がかかるため初期コストは高くなりますが、月額費用は年間保守費用のみ。ここまで紹介してきた外部サービスのように売上高に応じて月額費用が高くなる心配もありません。

クレジットカード払いの手数料などは別途必要ですが、販売手数料に比べると低コストです。自社にできる限りマッチしたパッケージを選べば、カスタマイズにかかる開発費用も抑えられます。年商金額が1億円以上の見込みがあり、自社独自のECサイトを構築したい場合におすすめの選択肢です。

メリット

  • 自由度の高いECサイトを構築可能
  • パッケージをうまく選べば、カスタマイズにかかる開発費用も抑えられる
  • 販売手数料が不要になるため、月額費用の負担が少ない

デメリット

  • 初期コストがかかる
  • 一定の技術力やカスタマイズを外注する際のマネージメントが必要
  • 社内に環境を構築するためメンテナンスコストがかかる

初期費用がかからない「オープンソース」でECサイトを構築

オープンソースとは、ソフトウェアを構成するソースコードを無償で公開しているソフトウェアの総称です。ソースコードは、自由に改良・再配布が許されている点が大きな特徴で、有名なものとしては、WebブラウザのFirefoxやビジネス系ソフトのOpenOfficeなどがあります。

国内オープンソースのECサイトシステムの一例が「EC-CUBE」です。オープンソースのECサイトシステムを利用すれば、パッケージのように購入費用不要でECサイトを構築することができます。ただし、オープンソースを扱うには、高い技術力が求められるため、開発を依頼するベンダー選びも重要です。

また、パッケージと同じく自社で保守運用する人件費が別途かかります。ソースコードが公開されているため、セキュリティ上の脆弱性を突いた攻撃を受ける可能性もあり、セキュリティ面の対策が必要です。

メリット

  • 初期費用や販売手数料がかからない
  • 自由度の高いECサイトの構築・運営ができる
  • 利用できるテンプレートやオプションなどが充実している

デメリット

  • 開発費用や環境構築・保守運用に費用がかかる
  • 高い技術力のある開発者が必要
  • セキュリティ面に注意

思い通りのシステムにできる「フルスクラッチ」でECサイトを構築

フルスクラッチとは、既存のサービスやシステムなどを利用せず、一から自社でECサイトを開発・運用することです。すべてを設計できるため、思い通りのECサイトを構築できます。ただし、費用は紹介した構築方法の中でもダントツに高額となるため、体力のある大企業に向いている構築方法です。

メリット

  • 思い通りのECサイトを構築できる
  • ブランドイメージを意識したデザインも自由
  • 販売手数料はかからない

デメリット

  • 開発にかかる費用が高額になる
  • 実際の稼働までにかなりの時間がかかる
  • 自社で運用保守やセキュリティ対策などが必要

ECサイトの構築方法を選ぶ3つのポイント

ECサイトの構築方法を選ぶために意識したい3つのポイントを紹介します。

費用対効果

ECサイトの構築方法を選ぶときに優先したいポイントは「費用対効果」です。高いコストをかけてECサイトを構築するほど年商金額は多いでしょうか。カスタマイズが必要な場合は、数百万円、数千万円単位の予算が必要です。

現状、事業規模が大きくない場合は、手軽に始められるASPサービスなどから始め、売上高の伸びに合わせてより高度なECサイトに移行するなど、段階的な対応も検討しましょう。

カスタマイズの有無

カスタマイズができるかどうかも、ECサイトの構築方法を選択するために確認したいポイントです。「ブランドイメージに沿ったデザインは可能か」「製品購入時にカラーやサイズなどの選択肢はどこまで指定できるか」など、カスタマイズの有無を確認しましょう。

各方法で求められる技術力の有無

ECサイトの構築方法の中でも拡張性の高い方法は、ITシステムを開発する技術力が必要です。技術力に自信のない場合で年商金額がまだそれほど多くない場合は、手軽に導入できる方法を選択しましょう。自社で開発が無理な場合は、開発規模に応じてアウトソーシングするのもおすすめです。

ECサイトの構築だけでなく、SEOの知識が必要なコンテンツ作成力や、デザイン力が必要なクリエイティブ系の技術も外注できます。専門の技術者に依頼することで、より高いレベルのECサイトが構築できるでしょう。

ECサイト構築にはさまざまな方法がある

ECサイトの構築方法にはさまざまな手段があり、それぞれに特徴や違いがあります。手軽に導入したいなら無料のASPサービスやSNSを利用するといいでしょう。年商規模が大きく自社のイメージ通りの機能・デザインを実現したい場合は、システムの開発やオープンソースのカスタマイズなども必要になります。費用など、自社の状況をしっかりと考えてECサイトの構築を進めていきましょう。

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大手Slerにてシステムエンジニアを経験後、フリーランスのライターに。FXなどの投資にも関心がありMT4を使った取引も行っていた。IT・IoT、FX・保険・不動産・フィンテックなど、多様な記事の執筆を手掛ける。プライベートでは旅と写真をこよなく愛す。
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