医療の専門家が続々参入!現役看護師が読み解くヘルスケアビジネス最前線

ヘルスケアビジネスは目覚しい発展を遂げています。医師や看護師など医療の専門家が続々参入する今、ヘルスケアビジネスはどう変わっていくのでしょうか。ヘルスケアビジネス最前線を現役看護師が読み解きます。

ヘルスケアビジネスに続々と参入する専門家

健康増進分野では、健康管理、栄養管理、フィットネス、リフレッシュに関わるサービスが続々と展開されています。中でも注目すべきは、もともとヘルスケアサービスを扱っていなかった、いわゆる異業種からの事業参入が増えている点です。

最近では、Google、Facebook、Amazonなどの世界的大企業が、こぞってヘルスケア事業を展開しています。

たとえば、Apple社のウェアラブルデバイスであるApple Watchなどは目にする機会も多いのではないでしょうか。Apple Watchはセンサーとアプリによる酸素のレベルのチェックや心電図の記録。フィットネスの測定値の確認。そうしたヘルスチェックを容易にしました。

その手軽さや健康意識の拡大により、デバイスを用いた健康管理をユーザーの生活の一部として根付かせることに成功しつつあります。

しかし、GAFAのような大企業とは異なり、多くの異業種企業には、医療関係者が持つような専門知識や顧客の基盤となる情報、そしてヘルスケア業界とのネットワークがありません。

そこで、市場把握に必要な知見を補うために、医師・看護師・薬剤師などのヘルスケア領域の専門家の知見を活用することが求められているのです。今後、他社との差別化を図るにはこうした専門家の知識が必須となってきます。

オンライン診療・服薬指導アプリCLINICSを手がけているメドレーは、先日小川彩佳アナウンサーと結婚したことで世間を賑わせた豊田剛一郎医師が参画することによって大きく事業を成長させることに成功しました。医療機関への導入数は市場トップのシェアを誇っています。

もともと創業者は医療関係者ではない起業家の瀧口浩平氏ですが、豊田医師を勧誘する際に「共同代表」という最高の立場を提示し、自分の持分の4割もの株を渡しています。つまり、それだけ大きな意志と期待を寄せて、豊田医師を参画させたのです。

医療の専門家をビジネスパートナーに迎え入れるメリット

ヘルスケアマーケットで成功をおさめるには、顧客満足度の向上だけでなく、医学的妥当性を担保していくことが求められます。

新型コロナウイルス感染症に対するPCR検査を例にとり、ビジネス展開を如何に行うか考えてみましょう。

 ●前提
 日本では、新型コロナウイルス感染症が流行しても、PCR検査を積極的には行わなかった。
 →「PCR検査を誰でももっと気軽に受けられるようにすれば、イベントなどの前にサクッと受けて気兼ねなく楽しめるのに」と考える人も多くいた。
 →そこに着目しPCR検査を専門としたビジネスを立ち上げた。
  
 ●課題
 ・検査というのは「適切な対象に」「適切なタイミングで」「適切な手法で」行わないと、意味が無いばかりか、時に有害になってしまうこともある。
 ・PCR検査の原理を考えれば、検査をして陰性だったからといって、感染していないとは全く言いきれない。
 ・「PCR陰性だったから大丈夫」と言っている人が実は感染していてクラスターの原因になることも十分起こり得る。
 ・PCR検査が陽性だったとしても、検査をするだけのビジネスでは、その後の治療をどうするかの判断ができない。
 病院にいって、「PCR検査が陽性だったので治療してください」と言っても、検査のやり直しになるのがオチ。 

ヘルスケア領域は身近なニーズをもとにビジネス展開が可能な分野です。しかし、専門家以外が参入した場合、「トータルなケアができない」「専門家以外には感知しづらいことがある」というように落とし穴がたくさんあるのです。

ヘルスケアビジネスを医療の専門家との連携により行うことで、顧客のニーズを把握できるとともに、医学的妥当性を担保しながら、課題の解決方法やその道筋を明確にしていくことができるでしょう。

業界の変化に敏感に順応できる医療の専門家と共に、専門的知識や医療従事者ならではの着想を活かしながらヘルスケア市場に臨むことこそ、これからのヘルスケアビジネス攻略の最善策と言えるのではないでしょうか。

医療の専門家がビジネスに関わる流れは今後ますます加速する

SNSやクラウドソーシングの普及により、医療の専門家が積極的に一般向けの情報を発信するようになってきました。また、医療機関を出て、社会的コミュニティを持ちながら副業や起業をして自由に活躍する医師などの専門家も多く見かけるようになっています。

マーケティングや営業力を持ち、情報発信にも長けた医療従事者が増えていく中で、医療従事者と異業種との技術共有型のビジネスを構築する流れは今後も加速していくでしょう。

文:難波安衣子 2012年九州大学医学部保健学会看護学専攻卒業、2012年九州大学病院脳神経外科、2015年横浜市立みなと赤十字病院の脳神経病棟と手術室、2019〜2021年東京大学病院手術部勤務。現在は健康と食をテーマに情報発信などマルチフリーランサーとして活動中。

デファクトコミュニケーションズでは年間1万2000本を超える制作実績のもと、専属ライターや各種有資格者による執筆や監修を実施。
お客様の「したい」を形にします。
各種新規事業、医療、美容、金融、法務や税務など、コンテンツ制作にお悩みの際はぜひご相談ください。