コンテンツマーケティングにおけるメディアとは?/オウンドメディアと他のメディアとの違い

シャボン玉の中に浮かぶスマートフォンや時計のイメージイラスト

2014年頃、日本のビジネスシーンでは、一つのマーケティング手法に注目が集まっていました。「コンテンツマーケティング」。アメリカでは一足早く、2010年あたりから、マーケティング用語として認知され始めていました。

コンテンツマーケティングとは、顧客が有益と認めるコンテンツを作成し、自社の存在を周知させ、自社商品・サービスに興味を抱かせ、最終的には購買行動を促す、一連のマーケティング手法です。

コンテンツマーケティングという施策がもてはやされるのと同時に、存在感を高めたのが「オウンドメディア」です。簡単に言ってしまえば、企業が独自に運営するメディアを指しますが、コンテンツマーケティングを実践する上で欠かせない存在です。

そこで今回は、コンテンツマーケティングにおけるメディアについて、オウンドメディアはもちろん、他の種類のメディアについても、幅広く考察してみることにしましょう。

この記事の目次

「コンテンツマーケティング」の定義と本質を理解しておこう

コンテンツマーケティングの定義について正確に理解し、その本質について常に意識しておくことは、施策を実践する上で重要です。

コンテンツマーケティングは、コンテンツをオウンドメディアで公開して終了、というような簡単な施策ではありません。施策の効果を最大化するためには、定期的に効果測定を行い、絶えずPDCAを回して、コンテンツを最適な形へと修正していかなければならないのです。

マス媒体に広告を投稿することは、不特定多数のユーザーに対し、ある情報を一斉に告知するには適したマーケティング手法です。

コンテンツマーケティングはこれとは正反対に、企業がターゲットに定める顧客だけに、ある特定の情報を継続して提供し、長期に渡ってお互いに良好な関係を築くことを目的としています。

従って、効果が目に見えて現れるまでには、一定の時間が必要であり、途中で目的を見失い、施策にぶれが生じる恐れもあり得ます。

何か課題に直面した時は、「何のために、コンテンツマーケティングを始めたのか」という原点に立ち返ることにより、施策のぶれを防ぐことができるでしょう。そのためにも、コンテンツマーケティングの定義と本質を、正しく把握しておくことが求められるのです。

コンテンツマーケティングの定義

コンテンツマーケティングの先駆者にして、CONTENT MARKETING INSTITUTE※1
のファウンダーでもあるJoe・Pulizzi氏は、コンテンツマーケティングを、以下のように定義しています。

「コンテンツマーケティングとは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチです。明確に定義されたオーディエンスを引き付けて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としています」。

コンテンツマーケティングの本質

この定義から、コンテンツマーケティングの施策の本質が読み取れます。
ターゲットと定める顧客に対し、彼ら・彼女らにとって価値のあるコンテンツを継続して提供することにより、自社の存在に気づかせ、自社の製品・サービスに興味を抱いてもらい、最終的には購買行動を起こしてもらうことです。

さらに最近では、顧客に対して自社への「ファン化」を促し、SNSを介して自社製品・サービスの拡散をしてもらうことにより、口コミ効果を狙う手法も一般的になっています。
※1 CONTENT MARKETING INSTITUTE
https://contentmarketinginstitute.com/

コンテンツマーケティングにおけるメディアの意味


コンテンツマーケティングと共に、認知が拡大している「オウンドメディア」という言葉ですが、2000年以降、「メディア」という存在も変化しています。

2000年以降、変わり始めたマスメディアの存在

2000年代に入り、高速インターネット網が整備されるようになると、メディアを取り巻く環境も一変します。消費者の誰もが、パソコンやスマートフォンなどのツールを用いて、いつでもどこからでも、必要な情報を手に入れ、世界中に情報を発信できるようになったからです。

それまでは情報源といえば、テレビやラジオから流れてくるニュースや、新聞・雑誌の紙面に踊る記事や広告など、マスメディアで取り上げられるものに限られていました。

インターネットが普及し、人々がスマートフォンから、欲しい情報をいつでも取り出せるようになると、マス四媒体の役割は変わり始めます。日常で親しまれた情報源であることに変わりはありませんが、無ければそれでも構わない、という人は増えているようです。

企業の情報発信においても、変化が現れています。従来、企業が、ある新製品やサービスの告知をしようとする場合、テレビや新聞、雑誌などの媒体社に、ニュースリリースという形で送信するか、多額の料金を支払って、マスメディアに広告を打つか、程度の選択肢しかありませんでした。

ニュースリリースによる情報発信は、媒体側がニュースバリューありと認めれば、取り上げてもらえるでしょうが、確実性には乏しいと言わざるを得ません。

また、マスメディアに広告を打つにしても、高額の割りには、目指す消費者にメッセージが届いているのか、効果を感じにくいという側面があります。

コンテンツマーケティングにおけるメディア

コンテンツマーケティングという施策のポイントは、大きく二つに分けられます。

1つは、「どのようなコンテンツを作成するか」。
「自社の顧客にとって、有益なコンテンツとは何か」。自社がターゲットする顧客、自社が取り扱う商品・サービスなどにより、様々なコンテンツが考えられるでしょう。企業の担当者やマーケターが、コンテンツマーケティングを実践する上で、一番、頭を悩ませる課題です。

そしてもう1つは、「どのようにコンテンツを顧客に見つけてもらうか」ということです。折角、よりをかけて作ったコンテンツも、人の目に触れなければ何にもなりません。そこで、上手に活用したいのが、「メディア」です。メディアとは端的に言うと、情報を伝達させるための媒体です。これまでは、主要なメディアとして、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの四媒体が、マスメディアとして君臨してきました。

ところが、インターネットの社会への浸透とともに、SNS=ソーシャルネットワークシステムの台頭により、状況は一変します。ある人間が、仕事の愚痴をTwitterでつぶやけば、そのつぶやきを地球の反対側にいる人間が見る可能性が生まれたのです。これは個人が、メディアを手に入れたことを意味します。

また、ある事故を目撃した人が、その模様の一部始終を動画に撮り、テレビのニュース番組に投稿したり、動画サイトで公開することは、もはや日常茶飯事です。それどころかテレビの側も、SNSからの情報を積極的に取り上げるようになりました。

これまでは、マスメディアから一般視聴者へ、情報発信は一方的に行われていました。そこには情報操作という、発信側の恣意的な行為も含まれており、情報の信頼性という問題は、しばしば取り沙汰されていたものです。しかし、個人がスマートフォンという名のメディアを手に入れると、マスメディアと個人との関係は、対等なものへと変化しました。

個人、すなわち消費者がメディアを手に入れるということは、企業にとっても、顧客接点という観点から、見過ごすことのできない環境変化が起きたことになります。

スマートフォン1つで、誰でも検索という行為により、欲しい情報を探し出すことが可能になっています。そうなると、企業の持つWEBサイトは、貴重な情報源となり、オウンドメディアの運営は、売上の維持・向上、ブランディングに貢献する、重要な事業活動の一つに数えられるようになったのです。

オウンドメディアとは?

次に、オウンドメディアの定義について、確認しておきましょう。

オウンドメディアの定義

Owned Media=オウンドメディアの語源は、Owned=所有する、Media=メディアからきており、マーケティング用語では、「企業が所有するメディア」を意味します。

広義には、企業が運営するホームページ(サイト)、SNSアカウント、ブログなどのWEBサイト、会社案内や商品の説明書、チラシなどの紙媒体、さらには営業マンの営業トーク、店舗での販売員による情報提供までを含みます。

オウンドメディが注目され始めた背景

企業におけるマーケティングでは、顧客との接点をどのように設けるかは重要なテーマです。

企業が自社の新商品・サービス、ブランドについて、消費者に周知させたいと考えた時、B to Bビジネスにおいては、従来なら展示会や日頃の営業活動で収集した名刺をもとに、営業担当が先方の担当者に直接連絡を取るなど、アウトバウンドセールスが主流でした。

B to C ビジネスにおいても、店頭チラシを置いて配ったり、販売員が来店客に新製品を言葉巧みに売り込んだりと、プッシュ型の情報発信が繰り返されてきたのです。

企業のプロモーション活動は、自社の商品やサービスについて、一方的にアピールする手法が一般的でした。テレビCMや新聞・雑誌広告などのマス広告を通して、積極的にプロモーション展開したものです。

ただこの手法には多大な費用が必要であり、一部の大手企業に限られたものでした。また、受け取る側の消費者も、あまりにしつこく売り込む形の広告には拒否反応を示し、発信される情報自体にも疑いの目を向けるようになっていたのです。

企業からの情報発信が一方的なものであった時代は、それでも消費者は、情報の信頼性を割り引いてでも、受け取るしかなかったのです。

ところが、インターネットが社会に浸透し始めると、この情報の非対称性は崩れ始めます。

消費者がパソコンやスマートフォンを用いて、欲しい商品について調べたり、企業情報を簡単に手に入れることができる時代がやってきたのです。企業側も、名刺を作るような気軽さで、自社サイトを持つことは当たり前になりました。

それまでは、企業が消費者にある情報を伝えようとしたら、高い費用をかけてマス広告に出稿するか、ニュースリリースを作成し、媒体社などのマスメディアへ送り、ニュースとして取り上げてもらうしか、方法がありませんでした。

消費者がある製品について知りたいと感じたら、インターネットを介して検索機能を駆使し、可能な限りの情報を集めようとするようになります。マスメディアを通さずに、彼ら・彼女らは、製品に関連する企業サイトから、能動的に情報を得ようとしたのです。しかしここに至って、企業側にとって困った現象が起きました。

企業の自社サイトで、消費者の収集欲を満たすだけの情報量を確保できていなかったのです。例えば、テレビCMである新商品を知った消費者が、インターネットを介しての検索結果から企業サイトを訪れ、コマーシャルで宣伝されている以上の情報を求めたとします。

会社概要はもちろん、商品パフォーマンスやデザイン、価格、取り扱い店舗程度の情報は、普段から掲載されているでしょう。しかし、それだけでは、貪欲な知識欲を持つ消費者を納得させることはできません。

ここで初めて、企業側は自社サイトを運営することの意味について、考えさせられることになったのです。消費者がわざわざ企業サイトを訪問しても、掲載されている情報が、以前に訪れた時から更新されていなければ、相手にもされません。

企業がサイトを独自に運営するということは、自社で独自のメディアを手に入れたことにほかなりません。いつ見ても、同じ内容ばかり放映しているTV番組に、誰がチャンネルを合わせたがるでしょうか。

このことに気付いた企業は、「もっと意欲的にサイトを活用して、顧客の欲しがる情報を発信しよう」と考え始めるようになります。そこで、経営者や広報・宣伝関係の担当者は、オウンドメディアの重要性に目覚めたのです。

企業はオウンドメディアに注目している

B to B ビジネスに携わるマーケター240名に対し、株式会社PLAN-Bは、WEBマーケティング施策実施状況に関する調査を行いました。※2(2021年4月公表)

それによると、アンケートに回答したマーケターうち、全体の52.3%を占める118名が、「オウンドメディアを実施している」と答えています。これは、「インターネット広告を実施している」と答えた103名(45.8%)を超えています。このことから、企業のマーケティング担当者から見ても、オウンドメディアの効果を認めていることが分かります。

※2「WEBマーケティング施策実施状況」
https://service.plan-b.co.jp/blog/seo/28834/?utm_source=google&utm_medium=referral&utm_campaign=1224prtimes

顧客エンゲージメントの必要性

先に触れたように、企業が顧客との接点をどのように保つかは、マーケティングにおいて、喫緊の課題と言えるでしょう。

消費者が最初に消費行動を起こす動機付けは、企業との良好な接点を持つことですが、その最初の入り口が企業サイトです。

最初に企業サイトを訪問し、掲載されているコンテンツを閲覧するうちに、その企業や商品・サービスについて知るようになります。それにとどまらず、消費者がその企業の理念などに共感し、好意を抱くなど、消費者心理に変化が生じるのです。

マーケティングでは、企業と顧客との間に築かれる親密な信頼関係を、「顧客エンゲージメント」と呼んでいます。

顧客エンゲージメントを高めていくことで、消費者に行動の変容を促す効果が期待できます。

顧客エンゲージメントを向上させることにより、消費者は企業からの情報発信に対し、敏感に反応してくれるようになります。そして自社と競合他社とを差別化し、多少、価格が高くても、自社の製品・サービスを選んでくれるのです。さらに、口コミサイトやSNSを介して、自社の製品・サービスの良さを広めてくれる、有り難い存在にもなり得るのです。

この考えをさらにブラッシュアップさせたものが、「コンテンツマーケティング」です。オウンドメディアとコンテンツマーケティングとには、密接な関係があります。

他にもある、コンテンツマーケティングに必要なメディア

コンテンツマーケティングを戦略的に実践するにあたり、オウンドメディアの他にも、有効に活用したいメディアがあります。それが、「ペイドメディア」と「アーンドメディア」です。

ペイドメディアとは、「paid=支払う」が語源であり、企業が広告費用を払って、事前に制作した広告を出稿する、従来型の媒体です。

テレビや新聞、雑誌、ラジオなどは、従来からマスメディアと呼ばれるものが対象でしたが、最近ではネット上の広告、交通広告、スポーツイベントのスポンサーシップなども含まれます。

ペイドメディアには、二つのメリットがあります。
1つは、企業一社の力ではアプローチしにくい、圧倒的に多数のオーディエンスに広告メッセージを届けることができる点です。本来であれば、自社との接点のない潜在顧客に対して、リーチすることができるのです。

もう1つは、スポンサーである広告主側の意見が通りやすい、ということです。お金を出している側の立場が強いのは、どの業界においても当然のことですが、広告業界においてはことに顕著です。広告の出し方や表現方法については、広告主の意見が反映されやすいため、商材のイメージをある程度コントロールすることができます。スポンサーが過剰に広告展開に介入することは、デメリットの方が目立ってしまいますが、商材のアピールポイントや、購入メリットをうまく訴求できれば、ブランドイメージを向上させるには効果的です。

アーンドメディア(earned media)

「アーンドメディア」の「アーンド」には、「earned=獲得する」という意味があります。この場合、何を獲得するのかと言えば、ユーザーや顧客からの信頼感や共感です。

商品やサービスを扱う企業は、直接、広告展開には関与せず、インフルエンサー
やフォロワーなどによって生成されるメディアを指します。

TwitterやFacebookなどのSNSや、営業目的でない個人ブログ、また口コミなどがアーンドメディアにあたります。特にSNSは、情報拡散により、企業ブランドの向上や商品の売上に貢献するため、重要なアーンドメディアに数えられています。

有名な俳優が、「あの会社のサプリメントを服用するようになってから、体調がいい」とSNSで発信すれば、一時的にではありますが、その会社の商品が大量に売れるというのはよくある話です。

アーンドメディアは、情報の発信源が企業ではなく、一般の消費者や著名人であることがほとんどです。利害関係のない第三者が、ある商品やサービスを高く評価することで、消費者からの信頼感を獲得することができるのです。これは、高額な費用を払っても、ペイドメディアにはできないことです。

さらにSNSを見たユーザーは、その商品を扱う企業を知らなくても、その企業のサイトに訪れます。自然流入数も増加するため、SEO対策の効果も期待できます。

アーンドメディアにも、2つのメリットがあります。
1つは、高い拡散効果、もう1つは、企業と消費者とが双方向的にコミュニケーションを図ることができることです。

①高い拡散効果

アーンドメディアは、SNSを利用して、情報の拡散が自然に行われるため、オウンドメディアやペイドメディアに比べて、情報の拡散効果ははるかに高いと言えるでしょう。前述したように、ペイドメディアは、不特定手数の消費者へメッセージを届ける点で向いてはいるのですが、媒体ごとに出稿費が発生します。また、情報の発信元が広告主であるため、企業に都合のよい情報ばかりが、一方的に流される、いわゆる「プッシュ型」のイメージが強く、消費者に受け入れられないこともあります。広告が露出しても、消費者にささらなければ効果は半減してしまいます。

②双方向的なコミュニケーション

アーンドメディアを活用する上での、もう1つのメリットは、企業と消費者とが、双方向的にコミュニケーションを図ることができ点です。

広告のキャッチコピーで、よく見かけるフレーズに、「お客様の声に耳を傾けて」というものがありますが、実践できている企業はどのくらいあるでしょうか。
これまでは、「お客様窓口」のようなセクションを設けて、顧客からのクレーム処理を行ったり、電話や郵便物による問い合わせに答える程度でした。

ところが、SNSを利用することにより、消費者と企業の担当者とが、リアルタイムに向き合うことが可能になりました。実際に商品を購入した顧客の意見を、商品開発に反映することもできます。そうしてできた新商品は、「消費者ニーズに沿った商品」として、既存顧客はもちろん、まだ企業と接点のない消費者の心も引き付けることでしょう。

さらには、直接、売上には結び付かないのですが、経営者が企業理念や、企業活動による社会貢献度など、マス広告ではあまり取り上げないテーマについて、SNSで語ることで、企業ブランドを向上させ、顧客エンゲージメントを高めることもできます。

トリプルメディアとは?3つのメディアを組み合わせた戦略

 

コンテンツマーケティングでは、消費者が利用するあらゆるメディアを、「ペイドメディア」、「オウンドメディア」、「アーンドメディア」に分類し、整理する考え方を、「トリプルメディア」と呼んでいます。

消費者の購買行動はいくつかの段階に分かれ、それぞれのステージにおいて、企業がターゲットとする顧客は、「潜在顧客」、「見込み顧客」、「顧客」、「ファン化した顧客」へと変貌します。

どの段階のターゲットに対して、どのようなコンテンツを届けるかによって、利用するメディアを選ぶ必要があるのです。

また、単独のメディアでプロモーションを展開するより、各々のメディアの特性を活かし、その都度組み合わせる方が、より高い効果が見込めるでしょう。

各メディアを組み合わせる手順としては、始めにペイドメディアで、広めたい情報をなるべく多くの消費者に認知させます。ペイドメディアの特徴としては、まだ企業の存在を知らない消費者、潜在顧客に対してリーチできることです。

広告を見た消費者は、商品に対して興味をおぼえ、自ら検索してサイトを訪れるでしょう。そこで企業側は、オウンドメディアで、自社や自社の製品・サービスに対する理解を深めてもらいます。ここで大切なことは、情報発信が、企業からの一方的なものにならないことです。提供するコンテンツが、ユーザーの課題を解決する内容であることが第一義です。他にも何かの役に立ちそうな小ネタなど、「このサイトに来れば、何か得られる」という認識を、ユーザーに持たせることができれば上々です。

最後に、アーンドメディアにより消費者の共感を得て、自社のファンを増やす、という手順です。

「コンテンツプロモーション」という考え方

コンテンツマーケティングは、良いコンテンツを作成し、WEBサイトへアップロードすれば完了、という単純な施策ではありません。コンテンツが「良い」と評価されるためには、見込み顧客がそのコンテンツの存在に気付く必要があります。

SEO対策により、自社サイトへの自然流入を増やし、コンテンツをより多くのオーディエンスに触れさせることは、コンテンツマーケティングの重要な作業ではあります。ただ、自社サイトのコンテンツが、常に検索結果の上位に表示されるとは限りません。そうであるならば、コンテンツを見込み顧客の目に触れるよう、検索エンジン対策以外の方法も考慮しておく必要があります。

あらゆるメディアやチャネルを駆使して、コンテンツを広める方法を、「コンテンツプロポーション」と称しています。コンテンツプロモーションでは、コンテンツを届けるべきターゲットを、3つの層に分類しています。

まず、その企業と既に何らかの関係性を持っている層。企業が配信しているメールマガジンに登録している見込み顧客や、企業が開設しているSNSアカウントのフォロワーに対して、コンテンツを配信する手が有効です。

次に、インターネット上に多く存在するインフルエンサー層です。芸能人や著名人の中には、ある商品についての感想を、自身のブログやSNSに投稿することで、売上に大きく貢献するほど、多大な影響力を持つ人たちがいます。このような人たちはインフルエンサーと呼ばれ、企業からも一目置かれる存在となっています。

このようなインフルエンサーの中に、自社の見込み顧客になり得る人物がいるなら、効果的に働きかけることにより、その背後にいる数多くのフォロワーにもアプローチすることが可能です。オウンドメディアであるコンテンツを公開する場合、直接、インフルエンサーにコンタクトを取り、事前に新しいコンテンツを提供しておきます。こうすることで、インフルエンサーは一般の消費者よりも、少しだけ早く情報に触れられるのです。インフルエンサーが、コンテンツについてのコメントを書いたり、コンテンツそのものをシェアすることで、フォロワーに対して優越感に浸ることができます。これを繰り返せば、インフルエンサーは自社に対して好意を抱き、フォロワーにも伝搬することでしょう。

最後に、自社とはまだ関係性のない、将来、見込み顧客になり得る層です。
この層に対しては、ペイドメディアを積極的に活用して、コンテンツを直接告知することが効果を発揮します。

上記の3つの層に対して、コンテンツを適切に届けることにより、コンテンツを拡散してもらうことができるのです。

コンテンツを拡散したくなる動機について理解しよう

コンテンツを解散してもらうためには、人はなぜ情報を広めたくなるのか、その理由を理解しておくことが重要です。

ニューヨークタイムズ紙のカスタマーインサイトグループ(Customer Insight Group)が行った調査※3によると、人が情報を拡散するには、いくつかの理由があると言います。

回答者の94%が、受け手にとって有益かどうか、考えてから情報をシェアする、答えています。このことから、人は情報なら何でも拡散する訳ではなく、その情報が有益かどうか、常に吟味しているようです。

回答者の78%が、友人や知人との関係性を維持するために、情報をシェアすると答えています。また73%の人は、自分と同じ趣味・関心を持つ人と、つながりを持つために情報を共有したいそうです。

また69%の人は、情報を拡散することにより、自分が世界の一員として所属していることを実感できるからと答えました。自分が拡散した価値のある情報に対して、友達からコメントをもらったり、その友達から別の友達へとシェアしてもらうことにより、自分が価値のある存在であると、他人に認めてもらった気分になるそうです。

さらに68%の人は、自分が他人に「こういう人だと思われたい」と意識しています。ある男性は、他人に「こう見られたい」というイメージを、補強する情報のみを拡散していると答えています。

この調査に回答した人たちに共通しているのは、ある情報に接したとき、この情報が価値のあるものなのか、無意識のうちに判断しているという点です。そして、情報をシェアすることにより、既に築いた人間関係を維持したり、他人からリアクションをもらうことで、自分が価値のある存在であると認めてもらった気分に浸れる訳です。あるいは「こうありたい」と望む人物に、自分のイメージを近付けるために、その行為に寄与する情報のみをフィルターにかけて、選別・配信するユーザーもいるのです。

そして、彼ら・彼女らは心理の根底では、自分と他人との関係性を常に意識しているということです。情報を拡散することで、拡散した人間の存在価値が上がるか、他人との良好な関係を構築できるか、大きく影響してくるのです。

コンテンツマーケティングにおいては、良質なコンテンツの確保は重要ですが、コンテンツがシェアされた時にどのような作用が生じるか、考慮することも大切なポイントです。

※3 ニューヨークタイムズ紙・カスタマーインサイトグループ調査
「THE PSYCHOLOGY OF SHARING:WHY DO PEOPLE SHARE ONLINE?」
https://www.bostonwebdesigners.net/wp-content/uploads/POS_PUBLIC0819-1.pdf

まとめ:ターゲット顧客を理解してメディアを使い分け、コンテンツを効果的に届けよう

今回は、コンテンツマーケティングにおける、メディアの存在について、詳しくご紹介しました。

2000年以降、高速インターネット網が社会に行きわたると、メディアのおかれた環境は大きく変化します。消費者は、「情報収集力」と「情報拡散力」という、二つの大きな力を手にするのです。

それまでマスメディアが大きな力を握っていた時代は、終焉を迎えました。これまで、一方的に情報発信してきたマスメディアは、情報を受け取るだけの消費者と、対等な関係を迫られます。インターネットを駆使して、自分で情報を探し出すことができる時代を迎え、情報の非対称性が問題視されるようになったのです。

マーケティングの世界においても、プッシュ型のマス広告は限界が目立つようになり、コンテンツマーケティングという手法に注目が集まるようになります。それと同時に「オウンドメディア」という用語が、マーケターの間でも取り沙汰されるようになりました。

コンテンツマーケティングにおいて、優良なコンテンツの確保は重要課題ですが、それと同じくらい大切なことは、コンテンツをユーザーにどのように見つけてもらうか、という視点です。これを効果的に実践するのが、「メディア」です。

コンテンツマーケティングでは、オウンドメディアを主体としてコンテンツの提供が行われますが、メディアは他にも、「ペイドメディア」、「アーンドメディア」などがあり、この3つのメディアを一括りにして「トリプルメディア」と称しています。

マーケティングでは、消費者は購買行動プロセスのどの位置にいるかで、呼称を変えています。それぞれ、「潜在顧客」、「見込み顧客」、「顧客」、「ファン化した顧客」などですが、ターゲットに合わせてコンテンツを変え、メディアを組み合わせることにより、コンテンツマーケティングを戦略的に実施することができるのです。

良質なコンテンツを、効果的に広めるという観点から、「コンテンツプロモーション」という手法が重要視され始めています。サイトへの自然流入を目的としたSEO対策以外にも、ユーザーにコンテンツを見つけてもらうための手法が求められています。

消費者を、「既に何らかの関係性を持っている層」、「インフルエンサー層」、「自社とはまだ関係性のない層」に分類し、オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディアを使い分け、コンテンツの拡散効果を最大化することが可能になるのです。

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大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
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