推敲という過程が重要である理由/文章を魅力的にする推敲


企業において、オウンドメディアの運営に携わっている方は多いでしょう。良質なコンテンツを作成し、更新し続けることは自社ブランドを高める上でも重要な作業です。
さて、この「良いコンテンツ」ですが、何を意味するかご存知でしょうか。オウンドメディアの担当者であれば、SEO対策に基づいた文章、と回答するでしょう。もちろん、それは正解ではありますが、それ以上に大切なことがあります。
それは、「読む者にとって有益な内容が、読みやすく書かれているか」、ということです。
いくら、読者にとって価値ある情報でも、不適切な表現や、誤字・脱字を含んだ文章で書かれていたのでは、コンテンツの質は大幅に損なわれてしまいます。そのためには、正式にアップロードする前に、自社メディアにとって最適な表現であるか、チェックすることが望まれます。この作業を、「推敲(すいこう)」と呼びます。
今回はこの推敲について、詳しく解説します。

この記事の目次

コンテンツ制作における推敲の意味

数本の尖った色鉛筆
広辞苑で「推敲」を引くと、「文章を書き上げてから、よりよくするために、内容や形式について読み返しながら改めてゆくこと」とあります。
これは、中国・唐代の詩人である買島(かとう)が、自作の詩の一節「僧推月下門」のところで、「推(おす)」か「敲(たたく)」か、迷ったという故事に由来しています。
馬上にいた買島は、考えあぐねた挙句、前方が見えず、高官の職にあった韓愈(かんゆ)の行列に割り込んでしまいます。買島が事情を説明すると、唐を代表する文人でもあった韓愈は、即座に「敲」がよいだろうと助言したといいます。
故事では、詩文を作成するために、字句をあれこれと考え、表現を練ることを推敲と称しています。ただこの作業は、コンテンツ制作においても重要な意味を持っています。
上記の故事では、僧が門のとびらを「推した」のか、「敲(たた)いた」のかが問われたわけですが、どちらの表現を用いるかで、僧の心情は異なります。
これはウェブコンテンツの作成においても通じることで、「この表現はどういう意味か」、「この言葉遣いは適切か」と、書き手が確認しながら書き進めることは、こちらの意図を正確に読者に届ける上で欠かせない作業です。

校正・校閲と何が違う?

めがねとノートと鉛筆 ノート書かれたクウェスチョンマーク
推敲とよく比較される作業に、「校正」と「校閲」があります。この3つは、文章の誤字・脱字、表現をチェックすることにおいては共通していますが、推敲と校正・校閲とでは、決定的に違う点があります。それは、「誰」が行うか、ということです。
推敲は、文章を書いた本人が行う作業です。文章を作る際、よりよい表現になるように、何度も考えて練り直し、完成させていく作業が推敲です。これは、書き手にしかできないことです。
こうして書き上げた原稿を、書き手とは別の人間がチェックする行為を校正・校閲と言います。作業の順番としては、まず執筆者が文章の内容を確認しながら、原稿を作成します。次に、編集や校正・校閲の担当者が、原稿に基づき、誤字・脱字の有無、表記の誤りを正し、更にはファクトチェックなどを行います。
紙のメディアを扱う大手出版社や雑誌社には、校正・校閲部門があり、専任者が作業に従事します。しかし一般企業においては、校正・校閲作業のみに人員は割けません。従って、主にコンテンツ制作者が推敲から、校正・校閲までの行程を受け持つことになります。

推敲の方法

山積みにされた書類
ここからは、実際にどのように推敲するか、その過程について見てみましょう。
その前に、留意しておきたいことがあります。まず書いた文章を目で追う、「黙読」をします。ワープロで書かれた文章であれば、変換ミスやタイプミスを洗い出します。次に文章を声に出して「音読」してみましょう。こうすることで、文章の1センテンスが無理のない息継ぎで読み切れるか、つまり長すぎず、適切な箇所に句読点が使用されているかがチェックできるのです。また、書き言葉と話し言葉が混在していないか、確かめることも可能です。

書き手の意図がきちんと伝わっているか

どんなに文法的に正しく、誤字・脱字のない美しい文章であっても、書き手が伝えたい内容が書かれていなければ、意味はありません。内容に矛盾があったり、文章の順番が前後していたりと、書いている時には気づかないミスは起こりがちです。勢いで一気呵成に執筆し、後から確認してもいいのですが、時間に余裕があるなら、「一歩進んで二歩さがる」ではありませんが、今書いた箇所を確認しながら書き進める方が、文章の内容はぶれずに済みます。

表現方法は適切か

文章におかしな表現が含まれていないか、一文が長すぎず、スムーズに読み進めることができるかをチェックします。この時に、できれば音読するようにしてください。音読することで、耳障りのする言い回しの有無や、文体にリズムがあるかを確かめることができます。
少しでも「おかしいな?」と思ったら、読者も同じように違和感を抱くだろうと意識してください。

誤字・脱字のチェック

まず、読者に伝えたい書き手の意図を確かめ、次に表現方法をチェックし、最後に誤字・脱字や事実関係を確認するという流れになります。
海に網を投げ、少しずつ網の範囲を狭めていくイメージです。誤字・脱字を洗い出す際には、なるべく紙にプリントアウトして、赤字を入れながら行うことをおすすめします。画面上でチェックしても構いませんが、同じところを重複して読んでしまったりと、時間を浪費してしまうこともあります。校正作業は、紙にペン入れしながら進める方が、進捗状況も目に見えるため、確実に遂行できます。

まとめ:推敲によりコンテンツの文章を読みやすくし、オウンドメディアの価値を向上させる

紙にボールペンで文字を書く
メディアコンテンツを作成する上で、推敲という作業の重要性と、どのように行うか、について解説しました。
一般企業においても、オウンドメディアの重要性は高まり、良質なコンテンツを発信し続けることが、自社ブランドを高め、コンテンツマーケティングを推し進める原動力にもなり得ます。書き手が読者のことを考え、読みやすく意図した内容が書かれているかをチェックする推敲という作業は、これから増々重要になるでしょう。

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ウルマル編集部
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