企業出版を行う出版社とその特性/企業の課題を解決してくれる出版社は?

昨今は、「広告の効かない時代」とも言われています。嗜好の多様化やオンライン・オフライン双方でさまざまなメディアが登場したことで、情報が届きにくくなりました。チラシやパンフレット、雑誌を作っても、反響がなかなか得られないという企業も多いでしょう。

広告宣伝にかける資金面・人材面でのリソースが限られた中小企業であればなおさらです。そうした中で、広告宣伝の手段として注目を集めているのが「企業出版」や「カスタム出版」です。今回は、中小企業にとっての企業出版のメリットを見ていきましょう。

また今回は、企業出版を取りあつかう出版社の中から数社をピックアップして、各社の特徴をご説明します。企業出版を始めるにあたって、ご参考にしてみてください。

この記事の目次

そもそも企業出版てなに?

企業出版とは、企業が主体となって書籍などを製作・出版することです。

また、カスタム出版は、企業出版とほぼ同じ意味合いで使われる名称です。カスタム出版の目的は、企業出版と同様、企業が直面する経営課題の解決です。ではなぜ、別名で呼ばれるのかといえば、制作するコンテンツをカスタマイズできるという点で区別されているのです。

企業出版では、出版形態が書籍、パンフレット、社史、広報誌など多岐にわたります。また、そのジャンルも多く、経営者の経営哲学や自伝、プロジェクトや製品開発の事例などのほか、周年事業として社史を出版することもあります。短い時間で自社のことを知ってもらうため書籍を出版し、採用・教育ツールとして活用することもあります。社内報やPR誌なども企業出版に含まれます。形式は、紙媒体のこともあれば、昨今は電子書籍で出版することもあります。

昨今の企業出版の流れと影響力

企業出版の多くは、出版コンサルティング業務を請け負う出版社とのあいだでなされます。まず、出版社とどういった書籍を作りたいのか、目的や内容を打ち合わせます。企画をもとに制作費が決定し、契約完了とともに製作に移ります。製作には、ライター、デザイナー、フォトグラファーなど多様なスタッフが携わります。内容の最終調整が終わると、印刷・製本します。書店で流通させる場合は、ISBNコードが付与されます。

昨今、マスメディアで流れる情報には、スポンサーの意向が多く含まれることはほとんどの消費者が知っています。一方、「本」は読む人の心に響くもの。とくに、このデジタル化社会で書店に足を運び、本を求める人は自ら情報を得たいと考えている人です。無差別に情報を発信するマスメディアよりも、ひとりひとりにメッセージが届きやすいといえるでしょう。

また、出版をきっかけにテレビ・ラジオなどほかのメディアへの露出が可能になったり、新聞広告を打ったりといった展開も考えられます。出版社のなかには、こうしたクロスメディア・マーケティングまで一括して請け負うケースもあります。

企業出版の目的は「ブランディング」にあります。広告やコピーライティングではなく書籍という形にすることで、企業からのメッセージをじっくりと伝えることができます。「書籍」という広告バイアスがかかりにくいツールを利用することで、消費者の信頼を勝ち得ることが出来るケースが多いのです。

企業出版をあつかう出版社

企業の直面する課題を、書籍の制作という切り口から解決する手法が企業出版です。企業が抱える課題は、ブランディングの向上、売上・集客の拡大、従業員エンゲージメントの改善、人材採用の支援と色々あります。

企業の目的に沿った書籍の制作や編集には、それなりに力量が問われます。これからご紹介するのは、いずれも企業出版においては豊富な実績とノウハウを持つ出版社です。

幻冬メディアコンサルティング

幻冬舎メディアコンサルティングは、法人に向けたブランディング出版サービスに特化し、15年以上も企業出版を手がけています。2005年に設立され、別会社だった幻冬舎ルネッサンスは、現在この会社の一部門となっているようです。

東京に本社を置き、大阪と名古屋に支社があります。

あらゆる業界の商品・サービスを知らしめるための書籍を作り、その成果を上げています。

多くの出版社が、作り手主導の「プロダクトアウト型」の制作手法を取っています。それに対して同社は、伝えたいターゲット読者の調査結果に基づいて、「マーケットイン型」で企画を立てています。

企業出版は、「本を作って終わり」では意味がありません。

どのようにして、ターゲットに書籍を届けるか。その書籍を「知らしめ」、「売る」ことが重要になるのです。同社では、全国4,000店舗のチェーン書店と特約店契約を結び、効率よく書店に配本される体制をしいています。

同社から2013年に刊行された『不動産投資は女性が選ぶ新築RCマンションで始めなさい』は、この会社の特筆すべき成功事例です。出版直後から多数の問い合わせが寄せられ、6億円を超える成約につながったといいます。

ダイヤモンド社

ダイヤモンド社は、ビジネス・経済・経営関連を中心に書籍の制作・販売を行っている出版社です。創業は1913年で、106年の歴史を持つ老舗出版社です。100年以上にわたってビジネス書を出版してきた実績をもとに、「信頼性」、「確実性」、「宣伝力」の3つの強みを持っている出版社でしょう。

信頼性:創業100年の実績を背景に、ビジネス社会との深い結びつきがあります。同社を通して企業出版を行うことで、書籍に高い信頼性を付加することができるでしょう。

確実性:同社は多くの書店とのコネクションを持ち、出版した書籍をターゲット読者に確実に届ける販路を提供してくれます。

宣伝力:同社は書籍と同じく、「週刊ダイヤモンド」などの雑誌の発行や、「Diamond online」といったビジネス情報サイトを運営しています。書籍を出版すると、これらの自社媒体を介して宣伝してもらえるので、相乗効果を狙った展開が期待できます。

また、企業出版以外にも、企業広報誌(事業ブランディング対策)、周年事業(投資家に向けた訴求)、会社の歩き方(リクルート対策)、PR誌(新規顧客・既存顧客との関係性強化)などの制作物にも対応しています。

クロスメディア・コンサルティング

クロスメディア・コンサルティングは、2008年に企業向けのマーケティングサービス、出版を目的に設立されました。もともと、ビジネス書の出版社として事業をスタートし、現在では500点以上の書籍を出版、数々のベストセラーを生んできている老舗といえます。

現在は、出版事業、マーケティング支援事業、コンサルティング事業、アクティブヘルス事業など、様々な事業を展開しています。

100万円から企業出版を手がけており、大手出版社とは一線をかくす低価格戦略で注目を集めています。低価格とはいえ、大手にも負けない企画力・編集力で、多くのクライアント企業の目的を達成してきました。

同社の強みとしては、低価格戦略のほかにも、企画・編集力、デザイン力の高さがあげられます。企画については、持ち込まれた内容をそのまま書籍にするのではなく、どうすれば課題解決に貢献できるかを考えてくれます。

またデザイン、製本、用紙にいたるまで、こだわりのある提案を行います。また出版後には、出版記念のイベントやセミナーを無料で開催しています。本を作って終わりではなく、その後もコミットしてくれるのが同社の企業出版といえるでしょう。

その他、クロスメディアグループとしてクロスメディアグループは「出版事業」以外に、「マーケティング支援事業」「コンサルティング事業」「アクティブヘルス事業」などを運営しているため、相乗効果的な施策で成果を上げることができます。

英治出版

英治出版は、 1999年 創業の出版社。企業理念に「誰かの夢を応援すると、自分の夢が前進する」また「善良なるビジネスを 共感する仲間と 共感する誰かのために」とある通り、丁寧な本づくりで有名です。

事実、プロジェクトでは、企業側の意向をていねいにヒアリングして、制作に反映しています。

内容やクオリティにおいて、一般的な書籍にも劣らない品質を保つため、企画ごとにプロジェクトを立ち上げて、取り組んでいます。

出版社側の利益よりも、企業のブランディングの最大化を優先する姿勢は、評価を得ています。プロジェクトの目的に沿った内容、本の装丁やデザイン、広告展開や予算を考えて、企業のブランド構築を実現しています。

また費用面でも、他社と比べて30~50%程度と、リーズナブルな価格設定を行っています。さらに、本の売れ行きが好調で売上があがれば、出版コストの回収、利益獲得が見込めるブックファンドという出版も行っています。

東洋出版

東洋出版は、1954年にドイツ語教科書の出版社として創業以来、全国3,000の書店や生協に販売網を張りめぐらしており、本を読者に届けることを最優先しています。

企画・編集・制作・流通・販売力にいたるまで、トータルにブランド構築を支援できる強みを持っています。また、全国紙への新聞広告出稿や、動画を使用した電子書籍の制作・配信もサービスに含まれています。

同社がブランディング出版事業で掲げているのは「会社の認知度を上げる」「創業者の理念を伝達する」「製品の販促を促す」「会社の信用度を上げる」「優秀な人材を採用する」「投資家向け広報活動を行う」の6つです。

プレジデント社

プレジデント社は、40年以上にわたってカスタム出版ビジネスを手がけ、これまでに約100社以上の取引実績があります。一線で活躍する編集者やクリエーターが、企業側の意向に沿って質の高いコンテンツを作ります。「プレジデント」や「dancyu」など、数々のヒット雑誌を世に送り出しており、それらのテイストを企業出版にも活かしています。

またWEBやSNSのようなデジタルメディアや出版記念セミナー、映像制作など、本を読者にアピールするクロスメディア展開が強みです。

日経BP社

日経BP社は、「日経ビジネス」をはじめ、数々のビジネス誌や専門誌を手がけ、経営者や情報には敏感なビジネスパーソンを読者層に持っています。

専門分野に精通した編集者がヒアリングし、企画やデザインなどの提案を行います。40以上の情報誌やWEBメディアの制作を通じて培ったノウハウを、カスタム出版にも活かしています。企画の提案から、制作・印刷・配送までをトータルで任せられるのがメリットです。

宣伝会議

宣伝会議は、1954年の創業以来、マーケティング・コミュニケーション分野に特化した専門誌を発行しています。

マーケティング領域で高い実績を持つ同社では、専門の編集者やクリエーターが企業の目的に応じて企画を提案し、最適な形で読者に届けます。同社の持つネットワークを活かして、書籍の宣伝を行う点が強みです。

企業のマーケティング責任者などのキーマンへの献本、同社が持つメディアでの告知、出版記念セミナーの開催など、あらゆる手段を使って本の周知を行っています。

世界文化社

世界文化社は、「家庭画報」をはじめ、多くの雑誌や書籍を発行する総合出版社です。

長年培った企画・編集力、人脈を駆使して、企業の魅力や強みを引き出して書籍に反映します。男女を問わず、あらゆる年齢層に向けた雑誌を手がける同社では、読者のネットワークを活用した本の告知にも力を入れています。

読者イベントやデジタルメディアなどもからめて、書籍の宣伝を目的としたキャンペーン展開も行えます。また多言語出版を行った事績から、インバウンドおよびアウトバウンド需要に対応する書籍作りも可能です。

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自社の課題を解決してくれる出版社を見極めよう

企業のかかえる課題を、書籍の力で解決する企業出版。目的に応じて書籍、広報誌、社史、販促ツールと、出版の形態も様々です。また、本を作成した後の販売・プロモーション展開も含めた、トータルでの戦略が必要です。

今回ご紹介した出版社は、専門分野や販売網、プロモーション展開など、それぞれに強みを持っています。自社の魅力を最大限に引き出し、課題解決のために協力してくれる出版社はどこか。十分に見極めて、企業出版を依頼してみてはいかがでしょう。

 

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