コンテンツマーケティングにおける英語翻訳とは?/コンテンツを英訳するコツ

壁にアルファベットを書く子供

御社のオウンドメディアは、どのようなユーザーを読者として、頭に描いていらっしゃるでしょうか?

「そりゃあ、今はうちの存在に気付いていなくても、そのうち製品の購入を検討してくれるかもしれない、見込み顧客だよ」。

ごもっとも。では、その見込み顧客さんは、どこの国の方ですか?
日本人はもちろんでしょうが、ほかにもアメリカ人、フランス人、スペイン人など、多様な人種が閲覧していることを想定されているでしょうか。

この質問に、「うっ」と回答に詰まった方は、いらっしゃいませんか?
インターネットの普及に伴い、消費者はスマートフォンやタブレットなど、ITツールを使いこなすようになり、これまでには無かった2つの力を手に入れました。それは「情報収集能力」と、「情報拡散能力」です。

ことに情報収集に関しては、世界中のどこにいても、求める資料を指一本の操作で手に入れることが可能になりました。これは、消費行動においても如実にみられる現象で、今や日本の製品は、ネットを通じて、海外のバイヤーに日常的に売買されています。

それならば、自社のオウンドメディアにおいても、海外の消費者に向けて、せめてコンテンツの英訳ぐらいは事前に行っておくべきでしょう。

しかし、今あるコンテンツを、機械的に翻訳すれば良いというものではありません。そこには、見込み顧客となるターゲットを意識した、特殊な翻訳が必要になるのです。

そこで今回は、コンテンツマーケティングを、海外の消費者向けに行うには、
どのような点に気を付けるべきか、詳しくご説明しましょう。

この記事の目次

「コンテンツマーケティング」とは?

コンテンツマーケティングについて、その本質や目的について理解し、アメリカにおけるコンテンツマーケティング事情について、見ておきましょう。

コンテンツマーケティングの定義

CONTENT MARKETING INSTITUTE※1の創始者であり、コンテンツマーケティングの第一人者としても知られるJoe・Pulizzi氏は、コンテンツマーケティングの定義を次のように述べています。

「コンテンツマーケティングとは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチです。明確に定義されたオーディエンスを引き付けて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としています」。

コンテンツマーケティングの本質

ここから、コンテンツマーケティングの本質が読み取れます。

すなわち、ターゲットと定める顧客に対して、価値のあるコンテンツを継続して提供することにより、自社に気づいて興味を抱いてもらい、最終的には自社の製品・サービスを購買してもらうこと、というのが、この施策の本質でです。

さらに最近では、顧客に対してアップセルやクロスセルを繰り返す中で、アフターサービスを含めた顧客満足の向上を通して、自社への「ファン化」を促すとこは、当たり前になっています。

そして、ファン化した顧客が自主的に、Face BookやTwitterあるいはInstagram などのSNSを利用して、自社の製品・サービスの拡散を図ってくれるようになりました。

また、この口コミ効果により、オウンドメディアへは、検索キーワードによる自然流入のほかに、SNSからダイレクトにユーザーが訪問してくれるようにもなったのです。

※1CONTENT MARKETING INSTITUTE
https://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing/

コンテンツマーケティングの目的

コンテンツマーケティングは、マーケティング手法の一つであり、マーケティングとは、「企業が顧客と良好な関係を築き、顧客が自社の製品やサービスを購入し続ける仕組み」を作ることです。

マーケティング関連の仕事に身を置く方であれば、「優良顧客」という言葉はご存知だと思います。自社製品・サービスの機能や良さを常に理解し、対価を支払って購入し続けてくれる、「お得意様」とも呼ばれる存在です。

この優良顧客を多く獲得することは、企業が存続する上で至上命題とも言えるでしょう。

ただ、消費者が購買行動を起こすには、幾つかの段階を経ることが分かっています。偶然に自社製品を知り、興味を持ち、試しに購入して気に入り、次も買いたいと思う。これが、「購買行動プロセス」と呼ばれる、消費者行動を理解する上で重要なコンセプトです。

このサイクルを繰り返すことにより、見込み顧客(リード)を優良顧客へと育てていくのです。この一連の流れを、マーケティング用語で「リードナーチャリング」と称します。

それには、自社製品・サービスを売り込む代わりに、リードが関心を持ちそうなコンテンツを継続して提供し、自社に興味を抱いてもらうことが、第一歩となるのです。

コンテンツマーケティングの先進国でもあるアメリカでは、P&G(プロクターアンドギャンブル)やシスコシステムズ、マイクロソフトなど、世界的な規模で事業展開している大企業が、コンテンツマーケティングを積極的に活用しています。

これらの企業は、コンテンツマーケティングを利用する理由として、売り上げ数値の増加、コストの削減とともに、「企業に忠誠心を抱く良好な顧客の獲得」を挙げています。

このことから分かるように、自社の存在に気付かせ、そこから段々に製品・サービスに興味を抱かせ、最終的には、購買行動にまで繋げること。これこそが、コンテンツマーケティングの目的と言えるのです。

 

日本企業の海外進出事情

日本貿易振興機構は2021年11月に、海外事業展開する日本企業に対し、アンケート調査を実施。1,745社から回答を得て、その調査結果を、「2021年度/ジェトロ海外ビジネス調査」※2と題する報告書にまとめました。

海外事業展開を図る日本企業は拡大傾向に

それによると、今後3年の間に、「輸出の拡大を検討している」と回答した企業は全体の82.8%。2015年に調査した折の84.9%に次ぐ、高い水準を示しました。その中で、「さらに拡大を図る」と意欲的な姿勢を見せた企業は、75.2%となり、過去最大の伸びとなりました。

事業の規模別にみると、中小企業の「輸出拡大を図る」と回答した割合は、前年の回答結果を6%上回り、83.5%という高水準にまで達しています。

EC利用は中小企業で拡大傾向に

国内外での販売活動において、「EC(電子商取引)を利用したことがある」と回答した企業は、全体の42,1%を占めています。規模別にみると、中小企業が43.2と、前回の34.3%を上回りました。

また、「今後もECの利用を拡大するか」との問いかけに対して、全体の49.6%が前向きの回答をしています。これが中小企業になると51.9%で、全体の5割を超える調査結果を得ました。

※2「2021年度/ジェトロ海外ビジネス調査」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/12f5036312ce9e76/20210064.pdf

ECを利用、あるいは検討している企業に対し、ECの利用状況を尋ねたところ、全体の69.4%が、海外向け販売においてECを利用していると回答。販売方法としては、「越境EC」と答えた企業は46.9%と、およそ半数に上ります。

規模別では、大手企業では、海外に拠点を置いての販売活動が48.6%を占めるのに対し、中小企業の48.2%が越境ECと回答しており、大手よりも越境ECに意欲を示していることが分かります。

越境ECの市場拡大とコンテンツマーケティング

越境ECとは、インターネットを介して、日本から海外に向けて商品やサービスを販売する電子商取引(EC)を指します。

越境EC市場は年々拡大傾向にあり、それは政府発表の統計数値からも読み取れます。

成長している越境EC市場

経済産業省は、平成10年から毎年、電子商取引市場の動向や、利用者の実態を調査しており、2021年7月には、直近の調査報告書を公表しています。※3

それによると2020年度は、日本・アメリカ・中国の3か国において、越境EC市場は、いずれの国でも増加しています。越境EC購入額は、日本が3,416億円で伸び率は7.6%、アメリカは1兆7,108億円で伸び率は9.9%、中国は4兆2,617億円で伸び率は16,3%でした。

現在、拡大中の市場であり、前述した調査報告からも分かる通り、大手よりも中小企業の方が、越境ECへの積極的な関与を表明しています。

※3 「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査) 報告書」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf

越境EC市場が拡大した背景

越境EC市場が拡大傾向にある背景としては、海外の消費者において、「欲しい商品があるが、自国で販売していない。海外からでもいいから、できれば安価に購入したい」というニーズが高まっている、という事情があります。

日本製品は、品質や安全の観点からも海外の人気は高く、外国の消費者は日本の越境ECサイトから、日常的に商品を購入しています。ことに中国では、美容品や化粧品、健康関連グッズ、家電など、日本製品の需要は高い水準を維持しており、日本の大手企業も多く参入しています。

2020年2月下旬ごろから、新型コロナウィルスの感染拡大が起こり、ニューノーマル=新常態が模索される中、世界レベルでの経済の縮小傾向が顕著になりました。政府は、企業に対して在宅勤務を奨励し、人流をできるだけおさえるよう、市民には「不要・不急」の外出自粛を呼びかけたのです。

外出せずにネットで商品を注文し、カードで簡単に決済ができるネットスーパーの活用や、旅行が制限される中、地方のお取り寄せグルメが盛んに利用されるなど、生活のあらゆるシーンで、EC市場は裾野を広げていきました。

また世界的に、以前と比較して物流環境が整い、海外の消費者が頼んだ商品も、スムーズに手元に届くようになりました。このことにより、越境ECは気軽に利用されるようになり、それが市場拡大に拍車をかけたとも言えるでしょう。

越境ECとの相性が良いコンテンツマーケティング

越境ECにおけるマーケティングとして、コンテンツマーケティングという手法は、非常に相性が良いと言えるでしょう。

先に触れたように、コンテンツマーケティングは、主にオウンドメディアにおいて、ターゲットとする顧客が求めるコンテンツを提供し、ホットリードに育て、購入を促す戦略を取ります。消費者が、自社製品・サービスを購入した後も、SNSなどを介して自主的に情報発信をしてもらえるなど、自社のファンに育てることも可能になりました。

自社のファンと化した消費者は、自らが求めるコンテンツを求めて、自社のオウンドメディアへ頻繁に訪問し、自社への信頼感を醸成していきます。そうして顧客エンゲージメントを高めていくうちに、他社との差別化を図り、顧客へのアップセル、クロスセルを繰り返すことにより、単なる顧客は、「優良顧客」へと昇華させることができるのです。

越境ECにおいて、コンテンツマーケティングを展開する上で大切なことは、販売活動をしかけるターゲット国を調査し、消費者に対して彼らのニーズを十分に理解することが肝要です。

調査に基づき、現地の最新の情報やトレンドを常にキャッチし、コンテンツに反映させること。そして、ターゲットが望むコンテンツを、継続して提供することを心掛けましょう。

海外向けコンテンツと英語の問題

オウンドメディアでコンテンツマーケティングを実践する際、海外からアクセスしてくる読者に向けて、もともと日本語で書かれた内容を、英語に翻訳するパターンは多くの企業で見られます。

これまでは、海外からのインバウンド需要を当て込んで、観光業界を中心に、外食産業、物販系業界などで、この傾向は顕著でした。しかし昨今では、他の業種においても、英語に翻訳したコンテンツの作成、配信に乗り出す企業は増えています。

単に日本語から英語に直訳すれば良いというものではない

海外の顧客に向けて、英語で書かれたコンテンツを配信するのは何のためでしょうか。

それは、自社のオウンドメディアで、海外からアクセスしてくる読者を多く獲得するため、でしょう。

一口に海外と言っても、単に「英語圏」で一括りにするわけにはいきません。なぜなら、英語はスペイン語、中国語と並んで、世界中で話す人口が多い言語の1つです。英語でコミュニケーションを行う人種は、世界中に分布しています。

また、同じ英語でも、アメリカとイギリスとでは、発音から意味まで、全く異なるケースが多いようです。例えば、建物の1階を、アメリカでは「First floor」、イギリスでは「Ground Floor」と表現しています。

文化・市場についても、同じことが言えます。
例えば、シンガポールでは公用語が、英語、マレー語、タミル語、中国語の4つあります。それに伴い、文化や市場も多様化しており、それに合わせて対応も柔軟に変えていく必要があるのです。

コンテンツの英語翻訳の際には、ターゲットとする地域で話されている言語、文化、市場の違いを十分に認識した上で、単純な直訳ではなく、「トランスクリエーション」の考え方に沿って進めると良いでしょう。

「トランスクリエーション」とは?

「トランスクリエーション=transcreation」とは、「翻訳=translation」と「創造=creation」とを合わせた造語です。

日本語をただ直訳するのではなく、読者を想定し、相手に伝わるような表現を意識して翻訳することを意味しています。

海外へ販売展開を図るためには、自社のWebサイトの内容を、自社のブランドイメージが想起しやすいテキストや写真・イラストなどで表現することが不可欠なのです。

Webサイトや、製品のパンフレットの翻訳では、自社製品・サービスの特徴を分かりやすく訳すだけでは不十分です。それらの魅力を最大限に引き出し、読者がそれを読んで、こちらが意図する行動に至るよう、どの程度、顧客が満足するのかを最大限にアピールする文章力が求められるのです。

トランスクリエーションがしばしば、「マーケティング翻訳」と同義で扱われるのは、このような理由があるからです。

従って、翻訳者は、ターゲットとする国の事情に精通し、消費者のマインドを理解して、彼らの感性に刺さるようなコピーを、いくつもひねり出すスキルが必要になるのです。

トランスクリエーションとは、日本語原文の大意は外さず、翻訳を読者に適合させ、ターゲットとする市場において、最も効果を発揮する表現で、コンテンツを再構築する作業と言えるでしょう。

まとめ:コンテンツマーケティングにおける英語翻訳は、読者を想定した翻訳を心掛ける

今回は、海外進出を意欲的に展開する企業が増える中、コンテンツマーケティングという戦略をどのように進めるべきか、解説しました。

「ユーザーにとって、有益なコンテンツを継続して提供し、自社のブランドを高め、ホットリードを増やして購買行動へとつなげる」という、コンテンツマーケティングの本質は、海外に向けての戦略においても変わることはありません。

ジェトロが公表する統計数値を見ても、海外事業の展開を図る企業は82%という高い水準を示し、「さらに拡大する」と意欲的な姿勢を見せた企業は75%と、過去最高の伸び率となりました。

また、ECの利用拡大を背景に、海外向けの販売活動では、越境ECの利用拡大が顕著になっています。越境ECとは、インターネットを介して、日本から海外に向けて商品やサービスを販売する電子商取引(EC)です。

経産省が行った直近の調査では、世界3大市場である日本・アメリカ・中国において、越境EC購入額は高い伸びを示しており、特に中小企業において、積極的に越境ECに関わりたいという意思がうかがえます。

日本製品は、以前より海外から熱い視線を向けられており、外国の消費者は、越境ECにおいて日常的に消費しています。

しかも2020年以降、新型コロナ禍の影響により、越境EC市場はさらに拡大傾向にあります。日本のコンテンツをより魅力的に、海外に向けて配信することにより、コンテンツマーケティングの効果を大いに発揮する好機が訪れたとも言えるでしょう。

しかし、そこに「英語」という壁が、大きく立ちはだかるのです。
現在、自社のオウンドメディアで掲載しているコンテンツを、単純に英語に翻訳すれば良いというものではありません。

コンテンツの英訳をする上で大切なことは、ターゲットとする国の言語・文化・市場を十分に調査し、読者を想定し、相手に伝わるような表現を心掛けて翻訳する「トランスクリエーション」が重要になるのです。

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大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
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