ここ数年でマーケティング業界でも、存在感を示しつつある「コンテンツマーケティング」。単なるトレンド知識として、聞きかじったことのある方は多くいらっしゃることでしょう。
検索キーワードで調べれば、情報はネットに溢れ、関連書籍も豊富に出回るようにもなりました。既に、マーケティング施策の一環として、オウンドメディアを立ち上げ、運営している会社も珍しくはありません。
ただ、コンテンツマーケティングの本質を見据え、実践に活かして実績を上げている企業がある一方、これといった効果を実感できていない企業が多数あるのも事実です。
なぜ、このような差が生じるのでしょうか?
そこで今回は、コンテンツマーケティングの基本に立ち返り、その本質をとらえ直すと同時に、どうすれば効果が得られるのか、考察します。
この記事の目次
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとは?
コンテンツマーケティングがマーケティングの一手法である以上、マーケティングの意味を再度、理解しておく必要があります。自社がフィールドとする市場において、消費者の欲求を正確に捉えて製品化し、売れる仕組みを構築すること。これが、マーケティングの第一義です。
「売り込み」のような、強引な営業努力をせずに、勝手に顧客が自社の製品・サービスを選んでくれる仕掛け作りがマーケティングであり、その中の一手法がコンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングの第一人者として知られる、ジョン・ビューリッチ氏は、コンテンツマーケティングの定義を次のように述べています。
「コンテンツマーケティングは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチです。明確に定義されたオーディエンスを引きつて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としています。」
簡単に言うと、ターゲットとして定める顧客に対し、価値のあるコンテンツを一貫して提供することで自社に魅力を感じてもらい、ゆくゆくは自社の製品・サービスを購買してもらうこと、ということになるでしょうか。
では、「価値のあるコンテンツ」とは、一体何を指すのでしょう。お分かりのように、「価値」とは相対的な側面を持っています。ある人には無関心な情報でも、別の人にとっては有益であるケースは多々あります。情報というものは、必要としている人に受けとめてもらって初めて価値を発揮するのです。企業の情報発信においては、受け取り手は自社にとっての顧客、あるいは見込み客ということになります。
コンテンツマーケティングでは、コンテンツの作成は重要な要素です。ただ、その内容は、誰に向けて伝えるかによって様々です。その「誰」とは、先に触れた「明確に定義されたオーディエンス」ということになる訳ですが、マーケティングでは、ターゲット顧客、あるいはペルソナと呼んでいます。
伝えたい相手を明確化できているか
ペルソナとは、自社の製品・サービスを購入するであろう顧客の特徴を、人物に集約し、イメージキャラクター化したものです。人間をセグメント化するには定量的な属性と定性的な属性が存在します。すなわち、数値化できるものと、数字には表せない性質のデータです。
・定量的属性
年齢・性別・学歴・収入・家族構成・居住地など。
・定性的属性
趣味・人生観・ファッションや食事の好み・交友関係・悩みなど。
ペルソナを設計することにより、情報発信側は、顧客像を絞り込むことが容易になり、コンテンツ作成においてもブレを防ぐことが可能になるのです。
伝えたい相手に伝わる内容になっているか
あなたが、化粧品会社のマーケティング要員だとしましょう。自社のオウンドメディアにおいて、どのようなコンテンツを配信すればよいか、頭を悩ませているところです。まず、「誰」に対してですが、ペルソナの基本設定は、以下のようにしました。
・32歳の女性。神奈川県横浜市に両親と暮らし、未だに独身。
最終学歴は4年制大学を卒業し、東京に本社を置くIT企業に勤務。趣味は、女友達と週末に行く食べ歩き。美容や健康には意識が高く、インフルエンサーの薦めるコスメは必ず試している。同僚の女性たちが次々と結婚し、少々焦りを感じている日々。婚活も視野には入れているが、まだ行動には移していない。
性格は社交的で明るく、友人も多い。仕事は順調で、上司からの信任も厚い。
ただ、バリバリ働いてキャリアを積むことは考えておらず、ワークライフバランスを優先したいタイプ。
最近、仕事が忙しく、多少のストレスをおぼえ、そのせいか、肌荒れが悩みのタネ。
このような人物像を読み手に想定した場合、どのようなコンテンツを用意するべきでしょうか。美容や健康に意識が高いのであれば、自社で扱うスキンケアや健康食品について、製品情報は小出しにしていきましょう。その際、直接は関係なくとも、この人物が関心を持ちそうな小ネタを併せて配信することです。肌荒れに悩んでいるなら、ストレスを軽減するメンタルヘルスや、肌の回復を助ける食品など、「なるほど」と思わせる情報を分かりやすく発信することが重要です。
もし自社製品が、BtoBに特化した化学製品であれば、読み手は有効成分について、確かな数値に基づいた詳細な説明を求めていると想像できます。しかし、自社で扱う製品が、女性向けのコスメや健康食品であれば、ペルソナが読みやすい内容や分かりやすい表現を重視するべきでしょう。
優れたコンテンツは、相手に理解されて初めて真価を発揮するのです。
何をコンバージョンとするか明確になっているか
自社で既にオウンドメディアを立ち上げ、運営を任されている方は、「コンバージョン」という言葉に無関心ではいられないでしょう。
コンバージョンとは、英語の「Conversion=CV」のことで、「転換」、「変換」を意味します。マーケティング用語では、単なる見込み客が自社の顧客に変わることを指し、自社のWEBサイトへの来訪者が、商品・サービスの購入や資料請求など、こちらの意図するアクションを起こす状態を表しています。
コンバージョンは、コンテンツマーケティングという施策において、効果を測る指標として用いられますが、業界や扱う商材によって、種類は異なります。
サイト上での商品・サービス購入
電子書籍やWEBサービスなど、比較的安価な商品を扱っているECサイトなどでは、訪問者にサイト上で商品・サービスを購入してもらうことが、最終目標でありコンバージョンということになります。
問い合わせフォームへの記入
一方、不動産業や建設業など、商材が高額で、サイトからの購入は期待できない場合、さらには顧客との対面販売が主流となる業界では、問い合わせフォームへの企業情報の記入がコンバージョンとなります。来訪者はこれにより、資料や事例集など、サイト上では得られない、より詳細な情報を手に入れることが可能です。サイト運営側は、入手した顧客情報をリスト化してインサイドセールスへ繋げるなど、商談創出の端緒とすることができます。またBtoBにおいて、製造業のライン導入など、成約までにかなりの時間を要する商材も同様です。
資料請求、無料体験版の申し込み
扱う商材が、美容関連、あるいは健康食品関連である場合、無料の試供品の申し込みをコンバージョンに設定するケースも多く見られます。もちろん、試供品の提供と引き換えに、見込み客(リード)の連絡先は獲得できるのですから、営業やインサイドセールスが、後から十分にフォローが可能です。
イベントへの参加申し込み
サイトや資料だけでは伝えきれない情報の提供や、確実に見込み客の囲い込みを狙うのであれば、セミナーやイベントの告知を行い、参加者を募ることでコンバージョンとすることもあります。建設業であれば、モデルルームの見学会や内覧会、学校法人や学習塾などの各種スクールであれば、オープンキャンパスや無料体験レッスンへの参加を促し、参加希望者数をコンバージョンとしてカウントするパターンです。
コンテンツ制作のコツ
ここからは、コンテンツ制作における、効果的な方法について見ておきます。
コンテンツマーケティングは、自社の見込み客や顧客にとって有益な情報を、継続して提供することにより、顧客との関係性を強化するための施策です。
従って、独自に定めたコンバージョンの効果を得るには、ある程度の時間を要します。「コツ」とは述べましたが、即効性のあるお手軽な手法はありません。
ただ、施策である以上、意図した効果が得られなければ、絶えず修正を繰り返し、少しでもゴールに近づく努力は怠ってはなりません。その際、以下をポイントに、コンテンツの見直しをしてみてください。
キーワードの見直し
コンテンツマーケティングにおいて、潜在顧客を多く獲得し、ニーズを顕在化させて購買行動に至らせることが手順となりますが、そのためには、自社が運営するサイトへの自然流入の増加は、最初の関門と言えます。
コンテンツと顧客ニーズとを繋ぐ接点となるのが、キーワードです。
オーガニック検索の上位に表示させるためには、コンテンツで扱うキーワードに配慮する必要があります。ターゲットとする顧客に対して、どのようなキーワードが高い訴求力を持つか、再度分析してみることが大切です。顧客ニーズに関連したキーワードをコンテンツに含ませることにより、検索エンジンからも評価され、コンテンツが検索さる確率も高まるのです。
ターゲットの購買行動の分析
潜在顧客がどのような行動を取っているか、詳しく調べてコンテンツ制作に反映させることが重要になります。ターゲットがどういう経路で自社の製品・サービスを認識し、どのようなプロセスで購買にまでたどり着くのか、事細かに分析してみてください。これにより、どのタイミングで情報発信するべきかが明らかになるとともに、彼らが必要とするコンテンツの内容も、輪郭がはっきりしてくるでしょう。
外部の専門集団に委託する
コンテンツマーケティングは、顧客との接点を増やし、彼らとの関係性を良好に保ち、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としています。
息の長い施策であり、小手先のスキルで効果が上がるものではありません。それだけに、しっかりとした運営体制の構築が望まれますが、中小企業では限られたリソースを割く余裕がないこともあるでしょう。
その場合、専門業者に外部委託するという方法もあります。
キーワードの選定から、コンテンツ制作、SEO対策などは、プロの見識と手法を持つ専門集団に任せることも、視野に入れてみると良いでしょう。
まとめ:本質に返って施策の見直しを図る
今回は、コンテンツマーケティングを始めたものの、これといった効果を実感できていない場合、どのような点を見直して改善に繋げるか、解説しました。
その際、コンテンツマーケティングの本質に立ち返ることが、まず求められます。
コンテンツマーケティングの定義では、「価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチ」と謳っています。これを実践するには、自社がターゲットとする顧客像を明確に定め、彼らが関心を持ちそうな話題を分かりやすく伝えることが非常に重要です。その上で、自社が定めるコンバージョンをどれだけ達成できるか、数値化して効果測定を繰り返す必要があります。
コンテンツマーケティングは、継続して行わなければ、その効果は期待できません。そのためには専門部門を組織し、運営する必要がりますが、中小企業あるいは小規模事業者では、そのためのリソースは確保できないことも予想されます。
もしそうであれば、コンテンツ制作やメディア運営の一部を、外部へ委託するという選択肢もあります。
弊社では、コンテンツマーケティングの本質を見定め、オウンドメディア用など、幅の広いコンテンツの企画・制作を承っております。
お気軽に、ご相談ください。
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