効果・戦略的な「ブランディング手法3つ」と「ブランディング出版」

効果をもたらすブランディングの手法や展開方法は、企業の種類やその状況によって戦略も変わるため数限りなくありますが、弊社では大きく3つの手法を定義しています。
この記事では、その3つのブランディング手法について解説します。また、今注目されている「ブランディング出版」を、それらの成功事例を出しながら分かりやすく紹介していきます。

この記事の目次

効果的なブランディング手法3つ

3つの効果的なブランディング手法

1 昇華型ブランディング

すでにブランディングに取り組んでいて、ある程度の成果を上げている実績のある企業の場合には、それをさらにアップさせる「昇華型」のブランディングが最適です。コストをかけたり、これまで取り組んでいなかったメディアの活用、新規事業の開発をしたりするなどして、より戦略的に突き進めることで企業ブランディングを強固にしていきます。

あるいは、ブランディングが成功していても、時代とともにメッセージを伝える手段を変えていかなくてはならない場合もありますので、時代に合った、それでいて企業の進化を後押しするようなブランディングを目指していきます。

 

2 転換型ブランディング(リブランディング)

ブランディングに取り組んでいるが、いまいち効果が上がらない。あるいは、かつては効果があったが最近はそれが頭打ちになっているような課題を抱えている場合は、「転換型」ブランディングに切り替える必要があります。

たとえば、経営者が考えていることと現状のブランディングがずれていれば、売上も上がらないし、会社の経営そのものもうまくいきません。そのため、ブランディングを「転換」し、正しい方向にもっていかなくてはならないのです。

また、当初は効果が上がっていたのに、それが機能しなくなっているようなケースは、企業を取り巻く環境が変わったり、時代性と合わなくなったりしている可能性があります。こうした場合も、綿密なマーケティングをするなどしてブランディングを見直していく必要が出てきます。

確固とした自社のコンセプトがあったとしても、正しく受け取ってもらえない場合はブランディングの転換が必要になってくるのです。

 

3 底上げ型ブランディング

業界としての評判や評価、社会的地位が芳しくない場合には、ブランディングを「底上げ」しなくてはなりません。こうした業界には、そもそもブランディングを行っていないという企業も多いかと思います。

しかし、世の中に必要だからこそ会社は存在しているのですから、自社の社会的な意義を見い出してアピールすることで、ポジションを上げられるようなブランディングを行っていきましょう。世間に何をやっているのか理解されていない、どんな貢献をしているのか知られていないということで、ブランディングが低い場合もあるのです。

そのようなときは、企業が行っている仕事の内容や、どんな思いで日々努めているのかを知ってもらう必要があります。

 

ブランド戦略手法「ブランディング出版」による成功事例

「ブランディング出版」

ブランディングに使われるメディアについて、かつてはテレビCMや雑誌や新聞の広告が主なものでしたが、最近はWebへのシフトが顕著になっています。

電通の発表によると、2018年のWebへの広告出稿額は、1兆7,589億円(前年比116.5%)。
5年連続で二桁成長となり、地上波テレビ広告費1兆7,848億円に迫る勢いだといいます。
※http://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0228-009767.html

その一方で、注目を集めているのが「ブランディング出版」です。
出版社が企画を立てて本を出す「商業出版」に対し、企業がお金を出して本を出版するのが「企業出版」ですが、これをブランディング活用しようという動きが出ているのです。

オールドメディアである出版ですが、いまだにその説得力や社会での信頼性は高いといえるでしょう。

企業のブランディングのツールとして出版を使うことは、会社や商品のストーリーを雄弁に語ることができるという点で、とても有効です。実際、各出版社が企業出版の専門部署を設けていて、それらの需要に応えようという体制を作っています。

先に述べた3つのブランディングレイヤーごとに、ブランディング出版の事例を見てみましょう。

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成功事例1「昇華型ブランディング」赤城乳業株式会社

子供から大人まで幅広い人気を誇る「ガリガリ君」は、確立されたブランドといえます。
定番のソーダ味のほか、コーンポタージュ味などの「攻めた」味を発売することでも知られています。赤城乳業では、その秘密に迫った書籍『言える化――「ガリガリ君」の赤城乳業が躍進する秘密』を出版しています。

以下が書籍の内容紹介ですが、とがった社員を集めて何でも発言させ、失敗を恐れずに挑戦させる「現場力」の秘密を解き明かす、というのが本書のコンセプトだそうです。

  • 大ヒット「コーンポタージュ味」をつくった若手たち
  • ガリガリ君の「異色コラボ」が次々誕生した理由
  • 会社なのに「秘密基地」で商談する大人たち
  • キャッチフレーズ「あそびましょ。」に込めた願い
  • 新入社員であっても、役員にものが言える風土づくり
  • 常識的なアイデアは、まったく評価されない
  • 入社2~3年目から大仕事を任せ、責任を自覚させて成長させる
  • 「社長は、社員の七光」

「ガリガリ君」という商品のブランディングというよりは、赤城乳業そのものの企業ブランディングとなっています。ここからは、人気商品のブランディングを、会社そのもののブランディングに昇華させようという意図が見えてきます。

 

成功事例2「転換型ブランディング」DEAN&DELUCA

「DEAN&DELUCA」の原点は、40数年前のニューヨーク・ソーホーです。イタリア系のジョルジオ・デルーカは本物のイタリア食材を伝えようと、小さなチーズ専門店をオープンしました。
そして、店の常連となっていたジョエル・ディーンと意気投合し、扱う食材を増やしていきました。
DEAN & DELUCAのコンセプトは、世界中の美味しい食べ物を集め、食べるよろこびを伝える「食のセレクトショップ」です。しかし、思い出して欲しいのです。私たちがDEAN&DELUCAをどのように知ったかを…

ある時期、ロゴが染め抜かれたデザインのトートバッグを街中でよく目にしなかったでしょうか?
「あれはどこのブランドのバッグなんだろう…」そんなふうに思ったことはなかったでしょうか?

DEAN&DELUCAは、2003年に株式会社ウェルカム代表の横川正紀氏の手によって、日本に上陸しました。順風満帆というわけではありませんでしたが、「創業の精神を深く理解しつつ、日本の食文化を大切にしよう」と心がけることで、徐々に認知されていったといいます。

もちろん、DEAN&DELUCAのすばらしさが理解され、評価されることでその名が知られていったわけですが、その過程においてあのバッグが人気となり、一部の人たちにアパレルブランドであるかのように誤解されてしまいました。

「ウチはトートバッグ屋ではない」
そのように考えたDEAN&DELUCAは、本来のコンセプトをあらためて認知してもらうために、自社の本を作るという方法を選択しました。その名も『DEAN&DELUCA Living with Food』といい、店名をそのまま書名にした同社初のオフィシャル・ブックでした。

こうした企業側からの発信で本を作ることを「企業出版」といいます。
『DEAN&DELUCA Living with Food』は各店舗のスタッフも巻き込み、食材を納めてくれる生産者の方々にも取材をするなどして制作にまる1年かけるという、会社としても大きなプロジェクトだったそうです。

もちろん、一般の人たちに店の正しいコンセプトを理解してもらうための本だったのですが、制作を通して社員やスタッフのマインドを醸成するという副産物もあったといいます。つまり、アウターブランディングを目的とした企業出版が、インナーブランディングとしても効果を上げたのです。

これらの施策を通して、DEAN&DELUCAはあらためて「食のセレクトショップ」としての認知拡大に成功していきました。

 

成功事例3「底上げ型ブランディング」前田建設工業株式会社

前田建設というゼネコンに「ファンタジー営業部」という部署があります。
ゼネコンというと、ある時期にいろいろとニュースで報道されて、世間的なイメージがあまり良くない状況にあるかもしれませんが、それを挽回しようと前田建設は「ファンタジー営業部」を作りました。

その活動は、アニメやゲームの世界の建造物を実際に今の技術で建設したらどうなるかについて、工期や費用などをリアルに分析・検討するというものでした。具体的には「マジンガーZ 地下格納庫兼プール」や「銀河鉄道999 高架橋」、「機動戦士ガンダム 地球連邦軍基地ジャブロー」などです。

「マジンガーZの地下格納庫兼プール」では大きなたて穴が必要だから、どんなふうに掘削すればいいのか、開閉時にかかる大きな水圧に耐えられるゲートはどうすればいいかなど、空想の産物を建築のプロが設計し、図面を引き、本気で試行錯誤しているさまは大きな反響を呼びました。最初はWebサイト上のコンテンツとして展開していましたが、人気を元に書籍化され、なんと2020年には映画されるといいます。

このコンテンツを通して、建築会社がどのように仕事をしているのか、その詳細が世間に認知されました。つまり、ただの「お仕事紹介」ではなく「アニメやゲームの世界にあるものを本当に作ったらどうなる?」という仕掛けが人々の興味を引いたのです。

このプロジェクトにより、普段は何気なく見過ごしているけれど、実は世の中にあるあらゆる建造物を作っている人がいる、ということを世間に意識してもらうことができました。

こうして、ゼネコンが社会に貢献していることが認知されていったわけですが、このようなプロセスが底上げ型ブランディングなのです。

 

まとめ

この記事では企業出版を通してブランディングの効果を上げている成功事例を紹介してきました。成功事例の中には企業出版だけでなく、Webメディアなどの他の施策との組み合わせで行われている場合もあります。ただし、企業出版には注意すべき点もあり、それらを踏まえて取り組まないと効果が上がりません。
次の記事では、企業出版の実際と、どのようにすればブランディング出版が成功するのかを解説します。

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ウルマル編集部
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