オウンドメディアを運営する上で、重要な戦略の一つが「コンテンツマーケティング」です。
扱うコンテンツは、テキスト主体のブログ記事、動画、音声、ホワイトペーパーなど、多岐に渡ります。
中でもブログ記事は、ターゲットに有益な情報を正確に伝え、こちらが意図する行動を起こしてもらうには格好のツールと言えるでしょう。
しかし、ただ文章を書き連ねれば良い、というものではなく、読者に読ませるためのコツ、というものがあります。
そこで今回は、コンテンツライティングを行う上でのポイントについて、詳しくお伝えします。
この記事の目次
Webの文章は読まれない
今や、ビジネスはもちろん、日常生活においても、携帯電話やスマートフォンなどの「モバイル端末」は、情報収集及び情報発信のツールとして、欠かせない存在になっています。
「新聞は読んでないけど、毎日、ネットニュースはチェックしてます」という方は多いはずです。
総務省が発行している「令和3年版 情報通信白書」※1によると、2020年の情報通信機器の世帯別利用状況は、回答者の96.8%が何らかのモバイル端末を保有し、中でもスマートフォンの保有率は、2010年には9.7%だったものが2020年には86.8%と、この10年で10倍近くにまで跳ね上がっています。
これほど、社会に浸透しているスマートフォンは、私たちの生活様式にも大きな影響を与えています。その最たるものが、情報収集と言えるでしょう。ある事柄について知りたい時、今までなら書籍や新聞・雑誌などの活字メディアを調べ、時間をかけて情報を集めたものです。
ところがスマートフォンの普及により、知りたい情報は指一本で手に入るようになりました。ネットの世界には、その真偽はともかく、膨大な情報が溢れ、その分野に精通していない素人でも、学者並みの知識を一瞬にして手に入れることが可能になったのです。
そうなると、人々の情報収集に対する意識にも変化が生じます。わざわざ紙媒体で調べなくても、スマホの画面で欲しい情報が手に入るのですから、時間やお金をかけてまで、情報を集めることに必要性を感じなくなったのです。
通勤電車に乗ると、社内の風景がこの10年で一変した事にお気付きになるでしょう。スマートフォンが普及するまでは、車内では新聞や雑誌を広げる人が多く見られました。それがいつの間にか、スマホを片手に、ひたすら指を動かす人が大半を占めるようになりました。ニュースの閲覧や買い物など、彼ら・彼女らの目的は様々ですが、何らかの情報を求めて指を動かしている事は明らかです。
人によりまちまちですが、車両で揺られる時間は大体10分から20分、長くても30分といったところでしょうか。そうであると、情報収集の時間も短くなってきます。長い文章を、のんびりと読んでいる暇などありません。増して、小難しく、何を言いたいのか理解できない文章など、一瞬で離脱されてしまうでしょう。
この章のタイトル「Webの文章は読まれない」ですが、実はある文言が隠れています。それを省略せず、正式なタイトルを記すと、「Webの(長ったらしく、何を言っているか分からない)文章は読まれない」となります。「長ったらしく」は、「いつまでたっても結論が出てこない」と言い換えてもいいでしょう。
オウンドメディアの中心をなす自社サイトにおいて、「どうすれば、自分の書いた文章を読者に読んでもらえるか」ということに、腐心されている方は多いのではないでしょうか。文章を書くという行為には、個人的な日記ならともかく、必ず読み手が存在します。その読み手に取って有益な情報を、継続して発信することがコンテンツマーケティングの本質の一端です。ただ、どんな良薬も、飲んでもらえなければ、効果を発揮することはできません。それは、文章においてもしかりです。
※1総務省発行「令和3年版 情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/01honpen.pdf
結論を先に、分かりやすく書く
では、どのような文章なら、Web上でも受け入れられるのでしょうか。
答えは簡単、前章のタイトルのカッコ内の文言を思い出してください。つまり、「長ったらしく、何を言っているか分からない」文章は読まれないのですから、その逆の文章を書けばいいだけです。すなわち、「簡潔で短く、読んで分かりやすい」文章、ということになります。
簡潔で短い文章とは?
よく見かけるのが、だらだらと長く書きつらね、結局、最後まで読んでも何を言いたいのか、はっきりと伝わってこない文章です。
書き手の熱意や苦労は認めますが、Web上では読者に最後まで読んでもらえず、すぐにページから離脱されてしまうでしょう。
文章を書く時に大切なことは、構成を決めてから書き始めることです。この構成とは、音楽で言えば、譜面のようなものです。
「起承転結」は、ご存知でしょう。「起」は文章の起こりを指し、「承」では事の詳細を説明します。「転」では、これまで展開してきた論に対し、反対意見などを述べて違う角度から考察し、「結」で文章の要(かなめ)、一番伝えたい事柄を書いて締めくくります。
これまでは、この「起承転結」は文章を書く上で、基本中の基本、とされてきましたが、Web上で読む文章においては、必ずしも当てはまりません。なぜなら、スマホで文章を読む人たちは、「待ってくれない」からです。最初の数行を読み、結論が得られなければ、別のページか他サイトへ移動してしまいます。
これを防ぐには、発想を転換する必要があります。つまり、結論を文章の最初に持ってくるのです。
文章構成法の一つに、「PREP法」というものがあります。これは主に、ビジネス文章作成の際に用いられる手法で、簡潔で説得力のある文章を書くには重宝します。
・P=Point:結論
・R=Reason:理由
・E=Example:具体的な事例
・P=Point:もう一度結論を述べる
上記の頭文字を取って「PREP法」と呼ばれています。
このPREP法を学ぶ上で、参考になる文章が身近にあります。それは、新聞の記事です。
スマホが普及するまで、新聞は朝の忙しい時間に、ビジネスマンが情報収集するために、欠かせないアイテムでした。さっと紙面を開いて眺め、一瞬で何が要点かが分からなければ、読み飛ばされてしまうのが新聞記事の宿命です。
そこで、アイキャッチとしての大見出しと、欄外の要約文が必要になるのです。この2つを合わせて「ヘッドライン」などと称しますが、PREP法の「Point」にあたります。読み手は、ヘッドラインを目にすると、この情報が自分に必要か否か瞬時に判断し、必要なければ他の記事へと視線を移してしまいます。この点は、スマホでWebの文章を読むのと共通していると言えるでしょう。
読んで分かりやすい文章とは?
あなたがある事柄について知りたいと思い、キーワード検索である企業サイトに辿り着いたとしましょう。
先ずあなたは、サイトのどこに注目しますか?
そう、タイトルですよね。
それから目次を眺めて、大まかな文章の流れを確認し、自分が求める情報が書かれていると判断すれば、そのまま詳細まで読み進めるはずです。この流れを生み出すには、以下の順に文章がセグメント化されている事が大切です。
タイトル→大見出し→中見出し→小見出し→結論(まとめ)
この一連の流れは、前述したPREP法を踏襲しています。
そしてもう1つ、重要な点があります。
それは、読者が一読して理解できないような、難解な専門用語や業界用語の使用は、極力避けるということです。
唐突ですが、学術論文を読んだことはおありですか?
あれこそ、起承転結の構造に忠実に書かれている文章です。学術論文の本質は、自説を論理的に展開し、事実に基づいたデータで裏付け、証明して見せることです。
しかし、一読してみて、誰もが持つ感想は、「読みにくい」ではないでしょうか。
それは、専門用語や学術用語が羅列されており、必ずしも、読み手を意識した文体になっていないからです。
一般の企業サイトで、このような文章を掲載しても、どれだけの人が最後まで読んでくれるでしょうか。増して、キーワード検索で自然流入してきた読者であれば尚更です。サイトに記載する文章では、調べなければ意味のつかめない専門用語などは避け、なるべく一般に認識されている用語に置き換えるようにしてください。
読者に読ませる文章を書くコツ
コンテンツマーケティングにおいて、成果を出すための文章というものがあります。
ここで言う「成果」とは、企業により設定は様々ですが、一般的には「コンバージョン」と称されるものです。コンバージョンとは、英語の「conversion=転換」から派生しており、コンテンツマーケティングでは、サイトの訪問者が、こちらの意図する行動を取ることを意味します。
最終的には、自社の製品・サービスを購入してもらうことですが、それは最後のゴールとして設定し、その前に小さな目標をいくつか設けるケースがほとんどです。先ずは、書いた文章を読んでもらうことが大前提ですが、それにはコツがあります。
1つの節にたくさんの内容を盛り込まない
先に触れたように、文章は最初に大ナタで大きく切り分け、読み手に全体像を理解させ、それから詳細を説明すること、と述べました。その際に重要なことは、1つの節に複数のテーマを盛り込まない、ということです。
例えば、ある化粧品会社が、新製品のキャンペーンの一環として、「美容と健康」をテーマにしたコンテンツを発信するとしましょう。
本来、人間の肉体において、健康な身体であれば、肌艶も良く、若々しく見られるものです。その意味では、美容と健康とは一体のものであり、切り離して語ることはできません。
しかしだからといって、一節の中に「美容」と「健康」とを一度に盛り込んでしまっては、読む側としては混乱してしまいます。読み手のことを考えて、美と健康とを切り分けて説明し、最後に両者が不可分であることを結論付ければ良いのです。
「1段落には1テーマ」。これは読まれやすい文章を目指す上で、鉄則です。
ターゲットを設定して書く
コンテンツマーケティングの第一人者である、アメリカのジョン・ビューリッジ氏は、コンテンツマーケティングの定義について、次のように述べています。
「コンテンツマーケティングは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチです。明確に定義されたオーディエンスを引き付けて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としています」。
これを端的に言うと、ターゲットとして定める顧客に対し、価値のあるコンテンツを一貫して提供することで自社に魅力を感じてもらい、ゆくゆくは自社の製品・サービスを購買してもらうこと、ということになります。
ここで大切なことは、誰をターゲットして定めるかです。それは、自社にとっての見込み客、あるいは顧客は誰か、と言い換えても構いません。オウンドメディアのコンテンツとして扱う文章である以上、何かの目的があるべきです。ただ、「読まれておしまい」では、意味がありません。
この文章は、「誰に読んでもらい、その人物がどのような行動を起こすか」について、自問してみてください。そこまで想定できれば、どのような文章を書けばよいか、自ずと輪郭が浮かび上がってくるでしょう。
まとめ:簡潔で分かりやすい文章がコンテンツマーケティングには相応しい
今回は、コンテンツマーケティングにおいて不可欠の、コンテンツ記事の作成におけるポイントについて、詳細にご説明しました。
スマートフォンの普及に伴い、消費者の情報収集能力は格段に上がりました。誰もが、指1本で欲しい情報が瞬時に手に入る時代です。新聞・雑誌などの紙媒体でじっくり時間をかけて文字を追うよりも、スマホで情報を集める方が効率的です。社会がそのような風潮になると、企業が発信する情報も、簡潔で短く、読んで分かりやすい文章が好まれます。
コンテンツマーケティングで配信する記事は、読んでもらえなければ何の意味もありません。それには、誰をターゲットに定めるかが重要になります。また、「ただ読んで終わり」では、施策の目的が達成されません。ターゲットに有益な情報を伝え、それを読んだターゲットにどのような行動を取らせたいのか、そこまで考えが及べば、どのような記事を書けばよいか、自ずと見えてくるでしょう。
とは言え、記事のライティングというものは、一朝一夕に上達するものではありません。時間と社内リソースを節約するのであれば、外部のプロの知見とスキルを借りる、という選択肢もあります。
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