保険業は「見つけてもらうこと」が最も大切。コンテンツ施策でSEO効果を最大化しよう 

少子高齢化の影響もあり、生命保険の加入数は減少傾向にあります。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大により状況はさらに悪化しました。対面営業の自粛を受け、2020年4~9月期の生保14社の新規契約は約42%減収。生命保険会社幹部は、「営業環境の改善が難しい」という見方を示しています。
そうした中、注目されているのが、コンテンツマーケティングです。「保険に興味があってもよく分からない」「入ったほうがいい気はするが気が進まない」といった消費者に向け、有益な情報を提供することで契約へのきっかけを与えます。
ここでは、保険業のコンテンツマーケティングの有用性と、具体的なサイトづくりのポイントについて解説します。

この記事の目次

保険業界とコンテンツマーケティング


冒頭に記載したように、保険業界の営業は大きな転機を迎えています。コロナ禍で対面営業は自粛を余儀なくされ、思うような顧客開拓ができなくなりました。しかし、それ以前からすでに従来の営業手法が現代の消費者意識にそぐわなくなっていたのも事実です。新型コロナの対策により、その状況が一層明らかになったともいえるでしょう。
これまで保険営業では、「義理」「人情」「プレゼント」によるGNPスタイルが主流とされてきました。いまだに保険会社の戦略では、アドバイスや提案といった専門家としての立ち位置ではなく、パッケージ商品を年代などの層に当てはめた決め売りの形が多く見られる傾向です。しかし、こうした営業手法は、現代の消費者からは嫌われる要因ともなっています。
リサーチを行うマイボイスコム株式会社が実施した「生命保険会社のイメージに関するアンケート調査」を見ると、資格を保有した担当者、投資方針の明確さといった点から「信頼性を感じて選んでいる」という意見が多く見られました。会社のスタンスや専門的な知識を重視する消費者から見れば、GNP型営業はうっとうしいものでしかありません。
コンテンツマーケティングは、価値あるコンテンツを提供することにより、消費者の「知りたいニーズ」にこたえ、見込み顧客を育成し、最終的にはファンとして契約を獲得する手法です。消費者は、あからさまな売り込みを嫌う現代の消費者に対して、保険も「押しつけない」「売らない」方向性を探る時代となりました。
「保険の外交員は苦手だけれど、保険は必要」と考える人は少なくありません。保険に関するハウツーや、周辺情報に興味を持つ消費者も多く、保険や将来に対して漠然とした不安を持っている潜在層です。
保険会社が行うコンテンツマーケティングでは、サイトを消費者にとって有益かつ魅力的なコンテンツで充実させることで納得感を与え、会社の信頼性へとつなげていきます。「この会社にもっと自分のことを聞いてみたい」という気持ちを引き出すサイトを作ることができれば、これまで以上の営業効果が得られるでしょう。

保険会社で求められるサイトコンテンツとは


保険会社がコンテンツマーケティングで成功するためには、どのようなコンテンツを掲載すれば良いのでしょうか。先述した調査からも分かるように、消費者は保険会社に対して何よりも信頼性を求めています。
保険会社として提供すべき情報は、自社の信念や社会への思い、保険に対する明確なスタンスです。そのため、「自社ブランドがどのようなミッションのもとに活動しているのか」といった内容を起点として、統一感のあるサイト構築をしていく必要があります。
次に、自社が保有する専門知識や蓄積されたノウハウに裏打ちされた、正確な情報を分かりやすく提供していきましょう。保険の用語は、一般人には分かりにくく難しいものもありますが、なるべくかみ砕いた表現で説明することが重要です。
イラストや図解を駆使し、オリジナリティあふれる画面構成を目指します。ポイントは、サイトを訪れた人が、「自分ごと」に感じられる見せ方です。Q&A形式は、最も分かりやすい手法ですが、「検索ですぐに知りたい情報にたどり着くことができるようにする」といった工夫が必要になります。
また、ライフステージごとに必要となる保険やお金との関連など、将来的な展望を視覚的に表す方法も興味を引きそうです。保険を契約しないことをあからさまに否定するのではなく、人生への備えやサポート役としての保険の必要性をできるだけ自然に啓蒙していけるのが理想的です。

保険業界におけるコンテンツマーケティング成功事例

コンテンツマーケティングに成功している、保険関連のサイトを3つ紹介します。

・ライフネット生命/ライフネットジャーナルオンライン

ネット保険最大手のライフネット生命は、インターネット上で売るのが難しいといわれていた保険の常識を覆し、低価格で安心を提供し続けている会社です。「ライフネットジャーナルオンライン」のメインは「保険なるほど相談室」。
ファイナンシャルプランナーが回答する形で、保険加入の疑問や不安を解消します。コラムのテーマは、健康やお金、仕事、教育、保険金、保障などさまざまです。生活全般にかかる豊かな情報を発信しています。ネット通販型だからこそ、消費者にしっかりと知って欲しい……そうした企業の姿勢が明確に伝わるサイトです。

・株式会社フィナンシャル・エージェンシー/

「安心できる社会保障の提供」を企業ミッションとする株式会社フィナンシャル・エージェンシーは、多角的な観点から保険を考える「保険見直しonline」を運営しています。生命保険はもちろん、医療保険や自動車保険、損害保険、さらにはペット保険まであらゆる保険に関する情報を網羅。
保険に関するすべての疑問への回答をワンストップで見つけられ、保険を見直す際のポイントを絞り込むことが可能です。保険の基本知識はもちろんですが、結婚・育児・老後、資産運用、税金問題、生活に関わる法律まで、まさに企業ミッションに即したサイト作りの見本となっています。

・東京海上日動火災保険

損害保険大手、東京海上日動火災保険のサイトは、企業カラーともなるブルーを基調とした、いかにも実直なイメージを漂わせる作りです。サイト構成は、保険契約に関する情報だけではありません。
「お役立ち・お楽しみ」のページには、保険の基礎が学べるガイドや、安全運転、防災に関するコンテンツ、地震や自然環境の調査リポート、キャラクターの「東京海ジョー」が活躍する動画など多岐にわたります。
万が一の際に備える保険の大切さへの理解を促し、同社がサポートするジュニア水泳の紹介もあり、企業の意外な社会貢献の様子を知ることが可能です。

自社独自の工夫を検討・差別化のポイントを探す

コンテンツマーケティングの成功に向けて、顧客ニーズの把握が大前提です。「どの層に対して、どのようなアプローチをすれば興味を持ってもらえるのか」「訪問した消費者が満足できるコンテンツが何なのか」について、的を外してしまうと、苦労してサイトを立ち上げる意味がありません。
動的コンテンツは、若い層に受け入れられやすい傾向ですが、自社の顧客層が落ち着いた年代の場合には、苦手とされる可能性があります。ターゲット層の年代を幅広く見込んでいる場合は、各層に向けた展開を考えることが必要です。SNSとの連動企画は、比較的どの年齢層でも共感を得やすい手法のため、他社の実施例を参考にするのも良いでしょう。
別の業界の例からも、思いがけないヒントが見つかる可能性もあります。コンテンツを充実させることばかりに目が向いて、商品への理解度を高めるための工夫を後回しにしてはいけません。消費者が保険商品に興味を持ったとき、他社との差別化のポイントがどこにあるのかが分かり、印象に残るような表現を考えていきます。

情報へのニーズをつかんで顧客化のカギとする

コロナ禍を経て、従来の対面型の保険営業はすでに限界と見られています。今後は、現代の消費者に合わせた、保険会社なりのマーケティング手法にシフトしていかなければなりません。保険の必要性に気づかせながら潜在顧客を掘り起こし、会社への信頼性を高め、最終的にファンになってもらうためには、有益かつ魅力的なコンテンツづくりが重要です。

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ウルマル編集部
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