「校正」と聞いて、あなたはどのようなことを連想されますか?
新聞社や雑誌社の編集室で、赤ペン片手に小難しい顔をして、原稿を見つめている編集者でしょうか。確かにマスコミやクリエイティブ、あるいは印刷業界などには専門の校正者がいて、誤字や脱字などに目を光らせています。しかし、「校正」という作業は、決して一部の業界に限ったものではありません。
今回は、コンテンツ制作における、「校正」という作業の重要性について解説します。
この記事の目次
校正とは何か?
そもそも、校正という用語自体、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。
まずここでは、「校正」とはどのような作業か、ご説明しましょう。
校正とは誤字・脱字をただす作業
端的に言うと、「校正」とは、ある文章の誤字や脱字などを修正して、内容を正しく伝える作業です。執筆者が入念に準備をして、細心の注意を払って書いた文章であっても、誤字・脱字、数字のミスなどは起きてしまいます。新聞や雑誌、パンフレットなど、紙に依存した媒体は、一旦、印刷工程を経てしまうと、後からの修正は不可能です。それゆえに、大手の新聞社や雑誌社では、専任の校正者を雇い、校正作業にあたらせるのです。
そこまでいかなくても、例えば一般企業において、営業部で販促チラシを作成する際、印刷会社から上がってきた原稿を、チェックすることはよくある作業です。
ここまで読まれて、あなたがコンテンツマーケティングの担当者だったら、こう思われるでしょう。「うちの会社は、メールマガジンとコーポレートサイトにしか記事を掲載してないから、校正なんて適当でいいよ」。
確かにそう思われても、無理のない側面もあります。電子メディアにおいては、校正という作業は軽視されがちです。なぜなら、印刷物と違って、サイトに掲載した文章であれば、間違いに気付けばいつでも修正は可能だからです。しかし、だからといって、校正作業をおざなりにしていいという訳にはいきません。自社サイトに掲載している文章が、読者にどんなに有益な内容でも、誤字や脱字が目立つと、読者はしらけてしまい、読む意欲をなくしてしまいます。折角、サイトに来訪してくれても、これでは自社サイトからの離脱を招いてしまうでしょう。さらに金額や統計数値など、データの間違いは、オウンドメディア自体の信頼性を問われてしまうことにもなりかねません。
扱うメディアが紙に限らず、電子データであっても、記事の内容を正確に伝えるためには、校正は必須の作業なのです。
実際の校正作業
ここからは、実際に校正作業をどのように行うか、見ておきましょう。
・記事執筆から時間をおいて校正する
本来であれば、記事の執筆者と校正者は、それぞれ別の人間が担当するのが基本です。しかし一般企業では校正だけのために人員は割けないでしょうから、記事の執筆者が校正を行うことになるでしょう。そうであれば、一つ気を付けておきたいことがあります。それは、記事を執筆してからなるべく時間をおいて、校正作業に臨むことです。これは執筆者と校正者とを別にする理由でもあるのですが、記事を書いた人間がすぐに文章の校正を行うと、内容が頭に残っていて客観的なチェックが難しくなるからです。
・文章は紙にプリントアウトして校正する
印刷工程を前提とした記事であれば、「ゲラ」と呼ばれる仮刷りと元原稿とを突き合わせ、修正箇所があれば、ゲラに赤字を入れていきます。これが自社サイトやメールマガジンに掲載する記事であれば、PCのディスプレイ上で確認すれば十分とお考えになる方も多いでしょう。しかし、校正の精度を上げるのであれば、あえて記事をプリントアウトして、校正を行うようにしてください。紙に記事の内容を落とし込んだ方が、俯瞰して眺めることができますし、赤字を入れながら読み進む方が、校正の進捗を確かめることができるからです。
・数字には特に注意を払う
文章中に現れる、金額や実験データの数値、日付や単位など数字で表現されるものついては、特に注意を払うようにしてください。ことに金融や医学、法律などの専門的な知見に基づいたデータは、取り違えると後で訴訟に発展するケースもあるので、神経を使ってください。
・表記は統一する
記載されている文章中に、表記のブレがないか、確認するようにしてください。表記のブレとは、同一の文章中で同じ内容を複数の書き方で表現することです。例えば、最初の項で「アメリカ」と書いておいて、次の項では「米国」と表記すると、読む側にとっては読みづらいものです。また外来語の表記も同様で、「ディスプレー」と「ディスプレイ」とは、読めば同じことを指しているのは分かりますが、これも読み手に違和感を抱かせてしまいます。他にも、文末の「だ・である」調と、「です・ます」調を混同してしまう文章を見かけることがありますが、書き手の稚拙さをあらわにしてしまうものです。そのようなことのないように、あらかじめ表記統一のガイドラインを決めておくと便利です。
・チェックする項目を一つに限定する
文章の校正といっても、確認する項目は、誤字・脱字であったり、書かれた内容の事実確認であったりと様々です。実は文章のチェックというものは、この誤字・脱字の修正を指す校正と、内容の事実を確認する「校閲」とを合わせた作業であり、便宜上、一括りにして校正と呼んでいます。この両方を同時にこなそうとすると、どうしても無理が生じてしまいます。そこで、最初は誤字・脱字がないかに気を配り、二回目は書かれている内容が事実に反していないか、確認するとよいでしょう。
校正と校閲との違いは?
よく校正と混同されてしまいますが、「校閲」という作業があります。校閲とは、原稿を読み込んで、その内容が事実と違っていないか、文章に矛盾がないか、確認する作業です。大手の新聞社や雑誌社には専属の校閲者がいて、記事や原稿の内容に誤りがないかのチェックに心血を注いでいます。地味ながら専門性の高い仕事であり、ドラマ「校閲ガール」でも有名になりました。個人名や企業名、地名などの固有名詞や、公共機関が公表しているデータ、過去の史実など、多岐に渡る項目を確認していきます。調べる方法も、インターネットによる検索だけに頼るのではなく、文献や書籍などの一次資料をあさるなど、あらゆる手を尽くすことが望まれます。
校正・校閲を軽視するとどんなトラブルが起こるか
新聞や雑誌の記事、あるいはパンフレットやチラシのコピーなど、紙を介したメディアであると、掲載した文章に誤字・脱字、または事実と反する内容が含まれていると事態は深刻です。一度印刷された活字は修正ができませんから、最悪の場合、刷り直しが発生し、多大なコストを被ることにもなりかねません。また販売価格やサービス代金など、金額の数字にミスが生じると、損害はさらに拡大することになります。
ではインターネットで公開されるコンテンツではどうかというと、紙媒体ほど校正に神経を削らなくても良いとお考えの方は、多いのではないでしょうか。確かにネット上のメディアであれば、紙媒体に比べて修正は容易かもしれません。しかし、紙のメディアよりも拡散力は圧倒的であり、ひとたび間違った情報を発信したら、世界中を駆け巡ることもあり得るのです。そして、一度拡散した誤字・脱字などのミスや誤った情報は、永遠に消えることはありません。もし自社メディアから発信したコンテンツに、事実無根の内容が含まれていれば、誤情報を流した企業としての汚名は、消し去ることはできないのです。
まとめ:校正のプロを活用して自社コンテンツの質の向上を図ろう
大手メディアのみならず、一般企業でもコンテンツを自由に発信できる今、校正の重要性は益々、高くなっています。コンテンツに不適切な表現や、事実関係が疑わしい内容が含まれていると、オウンドメディアの信頼性を損なう結果を招くことにもなります。
掲載する文章の校正作業を徹底することにより、コンテンツの質を向上させたいところです。ただ大手はともかく、中小企業であれば、社内に専属の校正担当者を置く余裕は、中々見いだせないものです。
そこで注目したいのが、外部のプロの存在です。プロによる校正・校閲サービスを提供する、コンサルティング会社もいくつかあります。上手に利用して、御社のコンテンツマーケティング施策を成功に導いてください。
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