コンテンツマーケティングとは何か?/メリット・デメリット、その歴史から施策の意味を問う

赤い床に「NEXT STAGE」の文字

コンテンツマーケティングについて、現在、施策に取り組んでいる企業の方はもちろん、まだ着手していない企業の方でも、その効果についてはある程度、お聞き及びでしょう。ただ同時に、一朝一夕に効果が現れるような、簡単な施策ではないことも、既にご存知のはずです。

「マーケティングの潮流の先端にある施策であることは分かるけど、我社にはハードルが高いな」と諦める前に、コンテンツマーケティングについて、今一度、理解を深めてみてはいかがでしょう。

コンテンツマーケティングの存在が注目された背景や、必要とされる理由、メリットやデメリットなど、多角的に捉えることにより、自社において実践する上で、具体的なイメージが湧くのではないでしょうか。

そこで今回は、コンテンツマーケティングを行う意味について、あらゆる視点から見つめ直してみたいと思います。

この記事の目次

コンテンツマーケティングとは何か?

いきなり、直球の質問ですが、コンテンツマーケティングとは何でしょう?

その答えは、コンテンツマーケティングの先駆者の言葉の中にあります。

コンテンツマーケティングの伝道師であり、CONTENT MARKETING INSTITUTE※1
の創始者でもあるJoe・Pulizzi氏は、コンテンツマーケティングを下記のように定義しています。

「コンテンツマーケティングとは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチです。明確に定義されたオーディエンスを引き付けて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としています」。

この定義から、コンテンツマーケティングの施策がどのようなものか、何となく想像できるのではないでしょうか。

ターゲットと定める顧客に対し、彼ら・彼女らにとって価値のあるコンテンツを継続して提供することにより、自社の存在に気付かせ、自社の製品・サービスに興味を抱いてもらい、最終的には購入してもらうことなのです。

※1 CONTENT MARKETING INSTITUTE
https://contentmarketinginstitute.com/

なぜ、コンテンツマーケティングが注目されるのか?

コンテンツマーケティングというマーケティング手法が、ビジネスシーンで注目を浴びるようになったのは、マーケティング先進国のアメリカでは2010年頃、日本ではそれに遅れて2014年頃だったでしょうか。

では、新しいマーケティングの手法が忽然と現れたのか、というとそうではありません。コンテンツマーケティングとは、コンテンツを活用したプロモーションの一環ですが、これはこれまでにも行われてきました。ではなぜ、ここにきて、マーケティングの最前線に躍り出てきたのでしょうか。

それには、幾つかの背景があります。

従来のマーケティング手法の限界

マーケティングが生まれたのは、19世紀の終わりから20世紀初めのアメリカであるというのが一般的です。当時のアメリカでは、フォードの自動車生産による大量生産技術があらゆる産業で採用され、生産段階での効率化が追い求められ、コスト削減、競争力強化が図られました。

しかし、供給体制を構築して、市場における優位性を獲得しても、製品が売れなければ成功を勝ち取ることはできません。

マーケティングは、販売を体系的、効率的にサポートするために生まれた概念です。企業が供給体制を構築する中で、「どうすれば製品が売れるのか」を解決する手法が、マーケティングの原点です。

日本の産業界において、本格的にマーケティングが活用され始めたのは、第二次大戦後の1950年代後半からと言われています。当時は高度経済成長を背景に、急速に需給がひっ迫し、「製品を作れば売れる」という状況でした。従って、当時のマーケティングは、「生産した製品をいかに売るか」という「プロダクトアウト」の視点に立っていたのです。

しかし1970年代中頃からは、経済成長の勢いは衰え始め、その後の1990年代に入るとバブル経済が崩壊しました。長い経済低迷期を経て、「モノが売れない」時代が到来します。そこで、消費者が買いたくなる製品をいかに作るかという、「マーケットイン」のマーケティング、すなわち、顧客志向のマーケティングが求められるようになったのです。

時代の変化や消費者のニーズに伴い、企業側はそれに適った消費者へのアプローチ方法を選ぶ必要があります。本来、自社とは何の関係もない消費者と接点を見い出し、新規の顧客を獲得する行為は、企業が事業を維持・拡大していく上で不可欠と言えます。そのために、より多くの消費者に自社の存在を認知させ、製品・サービスを知ってもらう手段として、マーケティングが重要な意味を持つことになりました。

企業が活用する情報発信ツールとしては、テレビやラジオのCMや新聞・雑誌広告などのマスメディア広告、企業が媒体社に対して送るパブリシティ、営業担当者やテレアポの手によるテレマーケティング、ダイレクトメールなどが挙げられます。

企業がツールを用いて、消費者に向けて情報発信する場合、情報を発信する企業が主体となり、一方的にアプローチを仕掛ける方法でもあるので、「プッシュ型」とも称されています。プッシュ型は、企業側が自社の都合により、伝えたい情報だけを前面に押し出す手法でもあり、消費者側は自身の意思とは関係なく、受動的に情報を受け取ることになります。

インターネットが台頭する以前は、消費者の情報源は限られていました。消費者がある商品に関心を持ち、情報を得ようとした場合、テレビやラジオCMや、店頭で配るパンフレット、営業マンや販売員から口頭で聞く営業トーク、展示会での商品説明など、企業側でコントロールの効く手法ばかりです。「プッシュ型」という性格上、消費者の都合はお構いなしで、ともすれば、押しつけがましい印象が付きまといました。これが、消費者の広告・宣伝に対する煩わしさを醸成した遠因ともなったのです。

また、企業が自社の都合で、伝えたい情報のみを載せる広告は、消費者からすれば、本当に知りたい情報、例えば、「その製品を購入することによるデメリットは何か」という事実は隠されてしまいます。

このようなことから、企業発信の広告の内容は、いつの間にか消費者からは、猜疑の目を向けられるようにもなり、それがもとで広告の効果にも陰りが見られるようになったのです。

インターネットの台頭による消費者の変化

1990年後半からは日本においても、急速にインターネットが発展・普及し、社会生活、経済活動の両面において、様々な影響をもたらしました。消費者の購買行動の観点からも、インターネット上には新たな購買の機会が発生し、従来とは比較にならないほど、大量な情報の取得を可能にしたのです。インターネットはコミュニケーションズの手段であり、消費者にしてみれば、3つの有力な情報源が与えられることになりました。

1つ目は、企業、組織・団体、個人レベルで開設・運営するWEBページです。消費者は、パソコンやスマートフォン、タブレットを駆使して、あらゆるWEBページを訪れ、サイト内公開されているコンテンツを閲覧して、望みの情報を探し出すことが可能になりました。

2つ目は、インターネットのコミュニケーションツールとしての側面です。消費者は、企業サイトのEメールアドレスや、問い合わせフォームから、企業側の担当者とダイレクトにやり取りできるようになります。また企業からも、より詳しい製品説明の提供や、セミナーへの勧誘などを、ターゲットごとに行えるようになったのです。

そして3つ目は、インターネット上で、ユーザーからの情報と投稿内容の集合体として生成されるWEBサイト、及びネットサービスです。それが、消費者生成メディア、CGM=Consumer Generated Media です。CGMには、ソーシャルメディア(SNS)、ブログ、口コミサイト、写真・動画共有サイト、ウィキペディアなどが見られます。さらに、サイトに掲載されるコンテンツが企業から提供するものだとしても、サイトの一部にユーザーからの投稿内容を含んだ形態も見られるようになり、これはユーザーが生成したコンテンツ、UGC=User Generated Contentと呼ばれています。オンラインショップや食べログなどのレビュー、あるいはニュースを掲載するサイトのコメント欄などが挙げられます。多くの人々が書き込み、閲覧できるインターネット上のコミュニティ、「ネットコミュニティ」が形成され、消費者はあらゆる情報を手に入れることが可能になったのです。

消費者が手に入れた2つの能力

インターネットの台頭と、社会生活及び経済活動への浸透、パソコンやスマートフォンなど、ITツールの消費者への普及とともに、消費者には2つの大きな能力が与えられたのです。

1つは、「情報収集能力」です。インターネットが台頭するまで、消費者があるテーマについて情報を集めようとした時、限られた手段しかありませんでした。ある企業の新製品について知りたいと思ったら、営業担当者に連絡を取り、製品に関しての情報を得るか、展示会に参加して、商品に関しての説明を受けるぐらいしかなかったのです。

インターネットが普及すると、消費者は強靭な情報収集能力を手にしました。ある製品についての情報が欲しければ、その製品を扱う企業のWEBサイトから、一通りの情報は、簡単に取り出すことができるようになりました。

もう1つは、「情報発信能力」です。消費者はスマートフォンさえあれば、ふと思いついた個人的なつぶやきや、写真機能を用いて撮ったスナップショットを、時間や場所を選ばずに、世界中の誰にでも送ることが可能になりました。日本の地方都市に暮らすOLの晩御飯が、SNSを介してブラジルに住む人たちの目に触れるようになります。視聴者が撮影した交通事故の決定的瞬間の映像が、地上波のテレビ番組で報道されることは、もはや日常茶飯事のこととなりました。

そのような状況が生まれると、これまで情報発信の受け身であった消費者は、「モノ言う消費者」へと変貌を遂げます。先に触れたCGMやUGCには、ユーザーから膨大な情報が投稿され、インターネット上には、無数のネットコミュニティが形成されました。そこで接する情報は、それこそ玉石混交であり、ある企業の製品に関してであれば、ユーザーからのレビューが掲載されることになりました。

問題は、そのレビューの中身です。必ずしも、当該製品について、好評価を下すものばかりではないからです。これは、企業側からすると、見過ごせない現象でした。企業発信の情報であると、自社に都合のよいデータばかりを揃え、自社製品・サービスの優れた点ばかりを訴求する、片寄った内容になりがちです。その点、ネットコミュニティに投稿されるレビューは、利害関係のない第三者によるものであり、まれには根拠のない誹謗中傷もあるでしょうが、その中には、信憑性のある情報も含まれていると、消費者には映るのです。

もちろん、そのような現象に対し、企業側も、ただ傍観していたわけではありません。消費者に提供する情報についても、自社のWEBサイトで公開するコンテンツを中心に、思慮深く見直す必要に迫られたのです。

それまで、自社サイトに掲載する情報は、自社の製品に精通した技術者や宣伝担当者が、製品の機能の高さと事例などを集約して、コンテンツとして公開していました。しかし、誰もがインターネットを介して、簡単に情報を収集できる今日、消費者はより能動的に行動するようになります。企業のWEBサイトは言うに及ばず、口コミサイトやSNSで目にするレビューなど、あらゆる手段を講じて、貪欲に情報を探し始めたのです。

それと並行して、彼ら・彼女らは、情報を独自に判断する知識を習得します。企業からの一方的な情報発信に対しては、受け入れることもあるし、意に反すれば、自らの手でシャットアウトしてしまいます。これまで当たり前だった「プッシュ型」のプロモーションは、場合によっては敬遠されることになり、企業はその代わりとなるマーケティング手法を探し始めたのです。

インターネットが浸透した社会では、企業と消費者との間では、情報の非対称性は解消されつつあり、両者の関係はイーブンなものへと変わりました。企業から発信された情報は、それを受け取るかどうかは、消費者の手に委ねられることになったのです。そのような状況では、企業が自社サイト公開するコンテンツの基準は、「消費者に有益かどうか」ということになりました。

企業側は、消費者にとって有益なコンテンツを作成し、消費者の方から積極的に動いて見つけてもらい、購買行動までの流れを歩んでもらうことが重要であることに気付いたのです。このマーケティングの手法は、コンテンツの力で消費者を企業側へと引き込むことから、「プル型」とも称され、ついには、「コンテンツマーケティング」という施策へと昇華したのです。

コンテンツマーケティングのメリット・デメリット

企業の業務として、一定の資金と人的リソースをつぎ込む以上、それに見合うだけの利益が得られなければなりません。

コンテンツマーケティングに着手する以上、メリット・デメリットについては、しっかりと把握しておく必要があります。そうすることで、コンテンツマーケティングが、投資に釣り合う意味のある施策か否か、判断する基準を手にすることができるからです。

コンテンツマーケティングのメリット

a. 誰でもすぐに始められる

メリットとして先ず挙げられるのが、手軽に始められる点です。記事をブログ形式で配信するなら、パソコンとインターネットの環境、それと記事を作成する人員のみです。

自社の既存の顧客や、将来、自社の製品・サービスを購入してくれるであろう見込み顧客が、「こんな情報を知りたがっている」と思い浮かべながら、まずは文章を書いてみることです。

コンテンツマーケティングのコンテンツは、テキストはもちろん、イラスト、動画、音声など、あらゆるデータ形式が存在します。ただ、文章を書いて配信する分には、日常業務の延長上ですから、すぐに始められるでしょう。他の広告手法に比べて、初心者でも手を付けやすいのが、まず挙げられるコンテンツマーケティングのメリットです。

 

b. 広告費を節約できる

企業のイメージアップや商品を宣伝するには、テレビやラジオ、新聞・雑誌などのマスメディアに費用を支払って、広告出稿を行います。マス広告における広告出稿は、あらゆる層に情報を拡散する点においては、優れた手法です。広告効果もすぐに現れるため、大手企業のプロモーションにおいては、主要な戦略であったことは間違いありません。

しかし、広告の効果を長く維持するためには、広告費が高額になることは、覚悟しておかなければなりません。また、出稿を止めてしまえば、広告効果は長くは続きません。

WEBメディアにおいても同様です。リスティング広告を出す場合でも、広告費を支払い続けなければ、自社サイトへの流入はストップしてしまうのです。

一方、コンテンツマーケティングは、記事の作成を外注すれば、その費用はかかりますが、一旦公開すれば、それ以上のコストはかかりません。さらに広告とは違って、広告費を払い続けなくても、コンテンツを閲覧するために、読者はサイトに流入してくるでしょう。コンテンツマーケティングは、広告費を削減する効果もあるのです。

 

c. 顧客ロイヤリティの向上

コンテンツマーケティングの先進国であるアメリカでは、P&G(プロクターアンドギャンブル)やマイクロソフト、シスコシステムズなど、世界有数の有名企業が、コンテンツマーケティングを効果的に活用しています。これらの企業がコンテンツマーケティングを採用する理由として、売り上げ数値の増加、コストの削減に加えて、「企業に忠誠心を抱く、良好な顧客を獲得できる」からと答えています。

このように、顧客が企業に抱く忠誠心を、「顧客ロイヤリティ」と称しています。
顧客ロイヤリティとは、企業や製品・サービスに対し、消費者が愛着を感じることを意味します。自社サイトへの訪問者に、読みたくなるような記事を継続して提供することにより、「このサイトに来れば、有益な情報が手に入る」という認識を持たせることが重要です。これを繰り返すことにより、訪問者はその企業の製品やサービスにも関心を持ち、いつか同じような製品を購入しようとする時には、他社ブランドではなく、その企業のブランドを思い浮かべ、購入するようになるのです。

 

d. コンテンツの資産化

広告を出稿すると、即効性のある効果が得られることは既に述べました。ただし、出稿を止めてしまえば、せっかく作成した広告コンテンツは人目に触れず、消滅してしまいます。

一方、コンテンツマーケティングでは、一旦、コンテンツを作成して公開すれば、サイトを閉鎖でもしなければ、読者はいつでも閲覧することができます。ブログ記事などであれば、本数が増えるほど、記事の内容に興味を抱く見込み顧客=リードの流入経路は拡大します。コンテンツマーケティングを継続することにより、コンテンツはリード獲得のために資産化され、アーカイブとして蓄積されるのです。

コンテンツマーケティングのデメリット

では今度は、この施策のデメリットについても見ておきましょう。

 

a. 効果が現れるまでに時間がかかる

コンテンツマーケティングは、見込み顧客(リード)や顧客にとって有益な情報を、継続して配信し、自社の存在に気付かせ、取り扱う製品・サービスに関心を抱かせ、ゆくゆくは購買行動を起こしてもらうための施策です。

リードの意識は、企業から働きかけても、即、反応するものではありません。従って、コンテンツマーケティングの運用を始めた段階では、すぐに効果が現れることを期待すると、あてが外れてしまいます。即効性を期待するのであれば、多額な資金をかけて広告出稿した方が手っ取り早いでしょう。

 

b. オーディエンスの欲しがっている情報が掴めない

先に触れたコンテンツマーケティングの定義には、「コンテンツマーケティングは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチ」とあります。

「価値のある一貫したコンテンツ」とは、誰にとって価値のあるコンテンツなのでしょうか。それはもちろん、自社がターゲットとするオーディエンスです。企業目線で、自社商品やサービスを一方的に売り込んでも、最早、誰も相手にしません。オーディエンスが欲しがっているコンテンツを、最適なタイミングで提供できなければ、見込み顧客や顧客を獲得し、購買行動にまで誘導することはできないのです。

ただ、自社がターゲットとするオーディエンスといっても、顔が見える訳ではないので、彼ら・彼女らにとっての価値あるコンテンツの選定は、容易に行えるものではありません。セオリーに従えば、ペルソナの設定、検索キーワードからの検索意図の解析などが考えられるのですが、素人では一朝一夕にできるものではないのです。これも、この施策を継続して行うためには、障壁の一つとなっています。

 

c. コンテンツマーケティングの目的を定めることが難しい

企業がこぞってマーケティング活動に、コンテンツマーケティングという手法を取り入れはじめた頃、WEB担当者が「マーケティングのトレンドだから」と、半ば見切り発車でオウンドメディアを起ち上げた会社も目立ちました。

それらの企業のうち、コンテンツマーケティングを軌道に乗せた会社は、あまり多くはなかったようです。はじめは多くの企業が競って始めたオウンドメディアも、継続して運用されているケースは少なかったように見受けます。

施策が立ち行かなくなった原因としては、スタート時に、コンテンツマーケティングの目的を明確に設定していないことが挙げられます。ゴールが定まっていなければ、どの方向へ進めばよいのか判断できないのは当然のことです。そうは言っても、走りはじめに施策の目的を設定することは難しいかもしれません。これもコンテンツマーケティングのデメリット、と言えるでしょう。

 

d. 明確な効果測定が難しい

コンテンツマーケティングを効果的に実施する上で、最も大切なことはゴールの設定です。一口にゴールといっても、サイトへのアクセス数、見込み顧客の獲得数、売り上げ増加など様々です。

企業が事業目標を達成する上で、指標の一つとするのが「KPI=Key Performance Indicator (重要業績評価指数)」です。これにより、施策が目標達成にどれだけ貢献しているか、プロセスを可視化することができるのです。

コンテンツマーケティングにおいて、この効果測定が適切に行われていないと、施策が効果的に行われているかの判断ができません。

そして、コンテンツマーケティングは、作成・配信して終わり、というものではありません。コンテンツが見込み顧客に対し、確実にリーチしているか、オーディエンスに受け入れられているかなど、毎日確かめながら、コンテンツを修正していく必要があるのです。

それには、しっかりとした効果測定により、PDCAを効率よく回していく必要があります。この効果測定の段階で、つまずいてしまう企業も多く、コンテンツマーケティングの失敗の原因となっています。

 

e. 運用体制を確立することが困難

自社サイトで公開するコンテンツは、オーディエンスにとって有益な情報であることは重要ですが、それと同等に大切な要素があります。それは、コンテンツを継続して配信できるか、ということです。

コンテンツマーケティングは、効果が現れるまでには一定の時間を必要とします。どんなに優れたコンテンツでも、わずかな回数で配信が終わってしまったのでは、意味がありません。良質なコンテンツを作成し、継続して提供するには、社内にオウンドメディアを運用する体制を、構築しておかなければなりません。何の準備もせずに、気軽にオウンドメディアを立ち上げた企業の多くは、この体制作りにまで手が回らず、施策を途中で投げ出してしまうことになるようです。

コンテンツマーケティングの歴史

アメリカにおいて、コンテンツマーケティングが注目され始めたのは、2000年頃からですが、先にご紹介したCONTENT MARKETING INSTITUTE が創立されると、概念の確立や実践方法などの研究が、盛り上がりを見せ始めます。

こう述べると、あたかも新しいマーケティング・コンセプトのように思われますが、考え方自体は、はるか紀元前にまで遡ることができます。

コンテンツマーケティングの意味を探る上で、その歩みを辿ることは、原点に立ち返ることであり、施策の変遷は、見過していた気付きを与えてくれる教科書でもあります。

そこでこの項では、コンテンツマーケティングの歴史をひも解いてみることにします。

太古の昔からあったコンテンツマーケティング

コンテンツの力によって、何かを成し遂げようとする試みは、原始に生きていた人類の営みに垣間見ることができます。

紀元前4,200年前に書かれた、洞窟の壁画が現存しています。もちろん、言語が使用されるはるか昔ですから、何を目的に書かれたのか、その真意は謎に包まれています。

しかし、少し想像力を働かせることで、書いた人物の心のうちを図ることはできるでしょう。

CONTENT MARKETING INSTITUTEのサイトでは、「A BRIEF HISTORY OF CONTENT MARKETING」というインスタグラムを公開しています。このイラストに付された
タイトルは、「槍で熊から身を守る6つの方法」です。

もしかしたら、この壁画を描いた人物は、槍を作る当時の職人? だったのかもしれません。彼は、人々が熊に襲われる悲劇を憂いて、槍の使い方を壁画に描いて伝授し、その先の槍の需要を見込んだとは考えられないでしょうか。

「John Deere」の農家向けの雑誌「The Furrow」

時計をグッと進めて、時は1895年のアメリカ。

当時、農機具メーカーの「John Deere」※2は、農家向けの雑誌「The Furrow」を発行しました。この雑誌は、農業として成功するためのノウハウや秘訣、その時代の最新農業技術の紹介など、農家が知りたがりそうな情報の提供に終始していて、自社商品の売り込みらしき広告や記事は見当たりません。

創刊以来、購読者は右肩上がりに増加し、120年以上経た今日でも、紙媒体から電子版へと形は変わりましたが、40ヶ国以上、150万人の読者に読み継がれています。

「The Furrow」は、読者である農家の人々が、どうすれば農業で成功できるか、そこにこだわった編集内容になっています。また情報収集の手段が限られていた時代に、最新の農業関連情報を掲載することにより、農家が情報格差で損害を被らないように腐心しています。

※2「John Deere」
https://www.deere.com/en/

美食家のバイブル「ミシュランガイド」

世界中の美食家のバイブルとも言える、「ミシュランガイド」。※3

フランスのタイヤメーカーであるミシュランタイヤが、1900年に創刊しました。ガイドブックの内容は、車のメンテナンス方法や、フランス各地の宿泊施設の紹介、もちろん、現在の料理ガイドブックの原型ともなるレストランの紹介など、多岐に渡ります。現在、ミシュランシリーズは、世界23か国、27ガイドブックが発刊され、全世界の料理人やグルマンからも愛されています。

※3「ミシュランガイド」
https://www.tgtourism.tv/2015/03/come-nasce-il-mito-delle-guide-michelin-2275

ミシュランガイドは、ドライバーが自動車をメンテナンスするため、必要な知識を400ページにも及ぶガイドブックにまとめました。これにより、まだ自動車が一般には普及していない当時、自動車による旅行の垣根を低くすることに成功しました。さらに、各地のホテルやレストランの情報を伝えることで、人々を旅行へと駆り立てたのです。

ミシュランタイヤの場合、まず読者に、ガイドブックで自動車に関する知識を身に付けさせ、自動車を利用した旅行を市民生活に浸透させました。次に、各地域にあるレストランやホテルの魅了を伝え、読者の意識を地方へと向けさせたのです。

現在ほど、公共交通機関が発達していない当時では、自動車は格好の移動手段でした。人々がこぞって自動車で旅行に繰り出せば、タイヤの消費が促され、最終的には自社のタイヤが売れる、という構図です。

先人に学ぶ「コンテンツマーケティングの神髄」

「The Furrow」と[ミシュランガイド]の事例をご覧になって、何か気付かれたことはおありでしょうか。

業界も、取り扱う商材も全く異なる両者ですが、「The Furrow」も「ミシュランガイド」も、共通した視点に立っています。それは、「どのような情報を提供すれば、読者は喜び、得をするのか」という、読者本位の目線です。

John Deereもミシュランタイヤも、雑誌やガイドブックの発刊により、すぐに自社の商品が爆発的に売れた、ということはありません。

声高に自社の製品やサービスを宣伝するのではなく、読者の利益を第一に考え、彼ら・彼女らに有益なコンテンツを提供することにより、自社に好意を抱かせるには効果的です。いつの間にか、消費者でもある読者の脳裡には、「農機具ならJohn Deere」、「タイヤを買うならミシュランタイヤ」という認識が生まれることになるのです。

そしてその先が大事なポイントですが、消費者がいざ、農機具やタイヤを必要とした時、Joh Deereやミシュランタイヤの社名が頭をよぎり、営業マンに連絡を取るか、店頭に出向くようになるでしょう。

前述したように、コンテンツマーケティングは、コンテンツの力を活用したマーケティングです。コンテンツというものは、情報の集合体であり、そのもの自体に価値はありません。その情報を必要としている人間に届けられ、活用されて初めて価値を発揮するのです。

そのコンテンツを必要としているユーザーに、適切な方法で届け、こちらが意図する行動を取らせること、これこそが、コンテンツマーケティングの真髄です。

コンテンツについての理解

ここまで、コンテンツマーケティングについて、色々と述べてきましたが、では肝心の「コンテンツ」とは何でしょう。

ただ一口にコンテンツと言っても、様々な種類があり、施策を成功へと導くためには、達成するべき目標に合わせて、最適なコンテンツを選ぶ必要があります。それには予め、コンテンツの種類を理解しておかなければなりません。

コラム記事型コンテンツ

コンテンツマーケティングのコンテンツとしては、コラム記事型が最も一般的な形です。テキストベースのコラム記事は、誰でも容易に始められますし、目的に応じて書き分けることにより、1つのテーマを幾つものコンテンツとして再利用することができます。

コラム記事型は、以下のように分類できます。

 

a. お役立ち系コラム

コラム記事型の中では、「お役立ち系記事」は、多くの企業が採用しています。大半のオーディエンスは、自分が何かについて知りたいと思い立ったら、まずインターネットの検索機能を使って調べるでしょう。検索キーワードで上位表示されたサイトを訪問し、求める情報が見当たらなければ、別のサイトへと移る、その繰り返しです。

しかし、たまたま訪れたサイトに、いわゆる「お役立ち情報」が掲載されていたらどうでしょう。サイトを訪問したオーディエンスは、気に留めるかもしれません。コラム記事を一読してくれれば、それだけでも、来訪者のサイトでの滞在時間を延ばすことができます。ユーザーがブックマークを付けてくれれば、何度もサイトを訪れてくれるかも知れません。ユーザーに自社の存在に気付いてもらい、取り扱う商品やサービスにも興味を抱いてもらえれば、コンテンツの役割は十分に果たしたことになるでしょう。

コンテンツマーケティングにおいて、一定の成果を上げている企業サイトの多くは、お役立ち系記事を積極的に取り入れています。

例えば、ある食品メーカーが運営しているオウンドメディアでは、サイトのコンセプトを「食と生活」と捉え、「健康」、「食材と栄養」、「手抜き簡単料理」、はては「ライフスタイル」まで、およそ人の生活にまつわるコラム記事を豊富に取り揃えています。訪問者が食や料理レシピ、健康に意識の高い、この企業がターゲットとする主婦・主夫層であれば、つい読んでしまいたくなるような内容ばかりです。

 

b. 面白系・バズり型コラム

インターネットの普及に伴い、消費者の情報発信力は飛躍的に高まりました。

自分が面白いと思ったネタは、SNSなどを通じて、すぐに拡散(シェア)できるようになりました。ある案件が、インターネット上の口コミを介して、各種のメディアで取り上げられることを「バズる」といいます。

自社の公開したコンテンツが、SNSでうまくバズらせることができれば、広告費用をかけずに情報拡散することが可能です。また、拡散された情報を読んだ他のユーザーが、興味を抱いてサイトに訪問してくることもあるかもしれません。面白系・バズり型コラムは、意図した情報の拡散以外にも、サイトへの自然流入を増加させる効果が見込めるコンテンツでもあるのです。

 

c. アンケート・調査系

ネットリサーチを利用して、消費者へのアンケートを実施し、その調査の結果を公開しているサイトが多く見受けられるようになりました。実際のデータに基づいて書かれた記事は、読者からの信頼性が高く、注目を集めやすいコンテンツとして認識されています。

「Questant」※4や「Google フォーム」※5など、無料で提供されるテンプレートを使って、自社の製品やサービスについて満足しているか、していなければその理由は何かなど、顧客の率直な意見を収集することができます。顧客の生の声は、製品の向上に活かすことができますし、アンケートの集計結果に自社の意見を交え、読者に公表することで、立派な記事コンテンツとして成立します。

※4「Questant」
https://questant.jp/

※5「Google フォーム」
https://www.google.com/intl/ja_jp/forms/about/

 

d. 経営者・社員へのインタビュー

社内にあるリソースを有効に活用して、記事に反映させる事例として、「インタビュー記事」が挙げられます。

経営者へのインタビューでは、創業から連綿と貫かれる企業理念や、事業を通して社会へ伝えたい信念など、トップだからこそ語ることのできるメッセージを聞き出すのです。

また社員には、その会社で働くことにより、どのようなやりがいや喜びが得られるか、あるいは仕事での苦労話や失敗談など、人となりや職場の雰囲気がイメージできるエピソードを聞いて記事にまとめます。

主に採用サイト向きのコンテンツですが、「企業は人なり」というように、働く人たちの素顔が垣間見える記事は、会社のカラーが如実に現れるものです。
経営者が語る企業理念や思いに共感した顧客が、自社と他社との差別化して、
自社製品を購入し続けるきっかけにもなり、顧客エンゲージメントの醸成にも繋がるのです。

他にもある色々な種類のコンテンツ

オウンドメディアを軸として公開するコンテンツは、従来は文章や静止画像主体のコラム記事が主流でした。しかしコンテンツは、コラム記事型だけではなく、動画や音声など、色々な種類が存在します。

コンテンツの種類を数多く知り、豊富に選択肢を揃えておくことにより、コンテンツマーケティングの戦略の裾野を広げるようにしておきたいものです。

 

a. ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、企業である課題を抱え、打開策を知りたいと考えているB to Bビジネスの関係者に対しては、より技術性に富んだ報告書、という性格が強いようです。

自社製品の導入事例、独自に行ったアンケートや調査結果、あるいは商品の取り扱い説明、テクノロジーの解説など、多岐に渡ります。

ホワイトペーパーは、自社が扱う商品・サービスについて、開発者や技術担当者の意見をドキュメント化したものも多く、サイト上では公開しきれないほどのボリュームと、より専門的な内容が詰まっています。映画に例えると、WEBサイトに掲載されている記事は予告編、ホワイトペーパーは本編、ということになるでしょうか。

また、ホワイトペーパーの入手方法には、ある工夫が見て取れます。サイト内の記事の内容に沿って、関連キーワードに近い場所へクリックボタンを設置しておき、それ以上の情報を欲している読者を入力フォームへと誘い込むのです。

入力フォームでは、読者は「氏名」、「年齢」、「所属している業界・業種」、「企業名」、「メールアドレス」、「連絡可能な電話番号」など、個人情報の入力を要求されます。企業側はこれらの情報を、ホワイトペーパーの提供と引き換えに入手できる仕組みになっています。

企業の方では、読者を単なるサイトへの訪問者か、見込み顧客=リードの可能性のあるユーザーか、見極めたいと思っています。「個人情報と引き換えてでも、製品の詳細な情報が欲しい」という意気込みを図り、単なるオーディエンスから、もう1つ上のステップである見込み顧客=リードになる可能性がある、というジャッジを下しているのです。

 

b. 動画コンテンツ

動画コンテンツは、その訴求力の高さから、今後、増々注目が集まるものと思われます。

テキストや静止画のみのコラム記事に比べ、動きや音声の効果により、視覚や聴覚に訴えかける効果は抜群です。文章だけでは伝えづらい、商品の説明や取り扱い方法、事例の紹介などには、その情報量の多さから、動画はブログ記事型より適していると言ってよいでしょう。

ただ、文書化さえすれば、すぐに公開できるブログ記事とは違って、動画の作成には、色々と準備や時間、場合によっては金銭的なコストがかかってきます。動画のクオリティを追い求めるのであれば、それ相応の撮影・編集技術が必要になるのです。社内の担当者に、動画に関しての知識と、それなりのスキルがあれば問題はありませんが、そうした人材がいなければ、社外の業者に頼むことになるでしょう。そうなると、外部のプロダクションに作成を依頼することになりますので、その分の費用が発生することになります。

しかし動画は、一旦、完成させてしまえば、オウンドメディアで配信することはもちろん、SNSで公開したり、WEB広告で利用したりと、コンテンツの活用の幅を広げることができるでしょう。

昨今のトレンドとしては、自社で作成した動画を、まずYoutubeなどの動画サイトへ登録し、リンク先を自社サイトに定めて明記しておきます。動画を閲覧して、さらにその内容に興味を持ったオーディエンスが、リンクをクリックして自社サイトへと訪問できる仕掛けを施しておくのです。

今までとは逆の流れを作ることにより、自社サイトへの流入増を図る取り組みが、今後は拡大していくでしょう。

 

c. メールマガジン

メールマガジンは、コンテンツマーケティングがビジネスシーンで注目される前から、見込み顧客を囲い込むためのツールとして、一般的に活用されてきた手法です。企業側から、伝えたい情報を不特定多数の相手に、一斉に届けることが可能です。

ただし、他のコンテンツに比べると、プッシュ型としての性格が強いため、相手が関心を持たない内容のメールを執拗に送ると、企業への心証は悪くなってしまいます。配信の頻度はさじ加減が必要で、そこが難しいところです。

うまく使えば、インサイドセールスなどでも利用しているように、見込み顧客の育成=リードナーチャリングにも効果を発揮する手法ではあります。

これまでは、マーケティング部門が作成したリードリストをもとに、企業の担当者が人手を使い、自身で頃合いを見計らってメール配信していました。

ところが近年では、MA=マーケティング・オートメーションツールを用いて、自動的に配信作業を行えるようになったのです。

一括りにリードといっても、今は購入の意思のないコールドリードと、すぐにでも購入を検討しているホットリードとでは、配信するメールの内容は異なります。相手の開封率や問い合わせの頻度を見ながら、リードをランク付けし、各ランクに合わせてメールの内容を変えることも可能になります。

相手が購買行動プロセスのどの位置にいるかを、MAが自動的に判断し、成約確度の高いコンテンツを提供できるようになりました。

 

d. ランディングページ

Landing Page=ランディングページには、2つの意味合いがあります。

1つは、そのサイトを訪れる読者が、最初に閲覧するページを意味します。もう1つは、リスティング広告やSNSを見たユーザーが、バナーやリンクをクリックして訪れる、商品・サービスの情報に特化したページを指します。

コンテンツマーケティングでランディングページと言えば、後者の意味で使うことがほとんどです。ランディングページは、ページの訪問者に対し、ある特定の行動を起こしてもらうことを意図して作成されているのです。

ページ訪問者に起こして欲しいアクションの一つには、商品についての問い合わせがあります。これは自社の、商品・サービスの売り上げに直結する行為です。

また、もう一つのアクションとしては、無料の会員登録やサンプルの申し込みが挙げられます。これにより、潜在顧客の個人情報を入手できます。さらには、展示会や説明会など、イベントへの参加の勧誘もあり、これは見込み顧客の獲得が想定できます。

企業側は、サイトへの訪問者は当初から、商品・サービスについて、何らかの関心を持っているものと期待しています。従って、ランディングページに掲載されるコンテンツは、該当する商品・サービスに絞り込まれた情報のみ、という形態が主流です。そして、ランディングページから離脱してしまわないように、他のページへのリンクをあえて設置せずに、訪問者を囲い込んでしまうのです。そうすることにより、CVR=Conversion rate、つまりコンバージョン率を上げることができるからです。

 

e. セミナー

コンテンツマーケティングにおいては、コンテンツというとオンラインコンテンツに目が向きがちですが、例えば店舗に置かれた商品説明書やチラシ、営業マンや販売員の口頭による説明など、オフラインのコンテンツもあります。

その中でも、セミナーの開催は、強力なコンテンツに数えられています。セミナーへの参加者にしてみれば、自身が抱える疑問に、専門家が直接答えてくれる、またとないチャンスです。また、普段なら会えない有識者と、対面でやり取りができる機会も与えられるのですから一石二鳥です。

ただ、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、リアルなセミナーは敬遠されるようになり、WEB上でのオンラインセミナー=ウェビナーが定着し始めています。

CONTENT MARKETING INSTITUTEは2020年に、アメリカのB to B企業に属するマーケッターにアンケートを実施し、その結果を「B2B CONTENT MARKETING 2022 Benchmarks, Budgets, and Trends -North America」※6という調査報告書にまとめました。

それによると、「過去12か月間で、最も成功したコンテンツアセット(資産)は何か?」との質問に対しては、全体の58%が「バーチャルイベント/ウェビナー」と回答し、「リサーチリポート」と「3,000文字以下の短い記事」の48%、「eBook/ホワイトペーパー」の47%を抑えて第1位となりました。

※6「B2B CONTENT MARKETING 2022 Benchmarks, Budgets, and Trends -North America」
https://www.reputiva.com/12th-annual-b2b-content-marketing-benchmarks-budgets-and-trends-insights-for-2022/

オンラインセミナーでは、主催者と参加者との双方が、パソコンあるいは、スマートフォンの画面を通して、お互いの顔を見ながら会話を進めます。このため、主催側は参加者に、実際の会場にいるようなライブ感覚を与えることができるのです。参加者は、企業側に直接質問したり、参加者同士で会話を交わしたりと、双方向なやり取りができることが魅力となっています。

また、主催者側は、オンラインセミナー開催中に、参加者の動向をリアルタイムで観察することができます。ネットを介して、参加者が双方向的にやり取りできるため、プレゼン中のコンテンツについての関心の度合いを、リアルにモニタリングすることが可能なのです。

セミナーの内容は録画しておくことにより、参加できなかった人でも、後日、コンテンツを参照できます。さらに、録画したセミナーの内容は、自社オリジナルの動画コンテンツとして、オウンドメディアで配信したり、Youtubeなどの動画サイトやSNSで公開したりと、新たなコンテンツとして、二次利用、三次利用が見込めます。

オンラインセミナーでは、参加者は実際の会場に行く必要がないため、オフィスや移動中の車中、カフェなど、都合の良い場所から視聴が可能です。移動時間が節約できるため、オンラインセミナーを視聴する前後に、リモート商談やミーティングをセッティングすることもできます。

これまで、セミナーへ参加する場合は、半日か、時には一日がかりでしたが、オンラインによる開催であれば、ネット環境とPCがあれば参加できるので、仕事のスケジューリングも柔軟に行えます。このような理由から、オンラインセミナーへは、気軽に参加する人も増えています。

購買行動プロセスに則ったコンテンツを提供する

マーケティングにおいて、消費者の購買に至るまでの行動変容を、購買行動プロセスと呼びます。ここからは、どのコンテンツを、どのようなタイミングで提供するべきか、顧客の購買行動プロセスに照らし合わせて考えてみましょう。

認知段階

この段階では、自社が見込み顧客と定めるターゲットに対し、オウンドメディアで彼ら・彼女らが興味を持ちそうな記事を作成・提供することにより、PV数を増やすことが求められます。

ここで用意するべきコンテンツは、コラム記事型です。また、コンテンツの伝達チャネルは、自社サイト、サイトへの検索流入、メールマガジン、リスティング広告、SNSなどが存在します。

興味/関心段階

この段階では、自社のオウンドメディアで、コンテンツを閲覧した見込み顧客=リードに対し、扱ったテーマについて、さらに深く理解してもらうことが重要です。セミナー(オンラインセミナー)への参加を呼び掛けるなど、情報に対する興味や関心を、さらに高めてもらうことが必須となります。

この段階で求められるコンテンツは、ホワイトペーパー、動画コンテンツ、セミナー(オンラインセミナー)などです。伝達チャネルは、サイト内にあるバナー広告、ポップアップ画面から誘導する申し込みフォームなどです。

比較検討段階

この段階まで進むと、リードは自社の存在を既に認知し、商品・サービスへの関心も次第に高まっているものと考えられます。

消費者がある商材に興味を抱くと、次に起こす行動は他社との比較です。比較する項目は商品の性能、デザイン、価格など多岐に渡るため、ある程度のボリュームが必要になるため、ホワイトペーパーなどのダウンロードコンテンツが相応しいでしょう。

ホワイトペーパーは、画像や詳細なデータなどで、きちんと作り込んでおく必要があります。また、商品の操作方法や取扱説明などは、より分かりやすく表現する上で、動きと音声を加えた動画コンテンツが好ましいでしょう。

さらに、キャンペーンの告知や特典を付与し、セミナー(オンラインセミナー)への参加を促すなど、継続してメール配信するように心掛けてください。

購買検討段階

前述したように、見込み顧客(リード)は、今は自社や自社製品・サービスに興味を持たない「コールドリード」と、購買まであと一歩のところまできている「ホットリード」に分けられます。

本来、両者は別々に存在するのではなく、はじめはコールドリードでも、「育てる」ことにより、徐々にホットリードへと変貌させていくことができるのです。コールドリードを、ホットリードへと育てることを、「リードナーチャリング」と呼びます。

リードにとってのお役立ち情報や、課題解決に結び付くコンテンツの提供を通して、どのような利益が得られるか、より鮮明にイメージさせることが大切です。それにより、リードの購買意欲はさらに高まり、具体的な購買行動を取るようになります。この時点で、コールドリードはホットリードへと昇華するのです。

共有/拡散段階

インターネットの社会への浸透に伴い、消費者はSNSなどを通じて、強靭な情報発信力を獲得しました。消費者がある商品を購入し、予想以上の満足を得ることができれば、その感想を、TwitterやInstagramなどのSNSで拡散するでしょう。

そして、その拡散された情報は、他の消費者が目にすれば、利害関係のない第三者からの情報として、信頼感を持って受け取るでしょう。これが、「口コミ」と呼ばれる効果です。口コミ効果は、新規顧客の獲得に資する上に、既に購入した顧客をさらに惹きつけ、自社ブランドの向上に繋げることもできるのです。

SNSによる情報のシェアは、顧客の自主的な行為ですから、企業側でコントロールすることはできません。自社の製品・サービスにより、顧客体験を高めることで、顧客は自身の体験を他者と共有しようとします。

企業側としては、製品の今後のバージョンアップ情報や、購入後のアフターフォローなど、顧客が欲しがりそうなサービスを、先手先手で提供することにより、顧客によるSNSでの拡散を促すことが可能になります。

まとめ:ターゲットが喜び、得をする情報を届け、こちらの意図する行動を取らせる

今回は、コンテンツマーケティングという施策には、どのような意味があるのか、色々な角度から考察しました。

コンテンツマーケティングとは、自社がターゲットと定める顧客に対し、彼ら・彼女らにとって価値のあるコンテンツを継続して提供することにより、自社の存在に気付かせ、自社の製品・サービスに興味を抱いてもらい、最終的には購入してもらうことが目的です。

コンテンツマーケティングが近年、注目される理由は、従来のマーケティングの効果が見えにくくなっていることが挙げられます。これまでのマーケティングは、大量に生産された製品をいかに売りさばくかという、「プロダクトアウト」の発想に立っていました。

ところが市場に商品が溢れ、「モノが売れない時代」を迎えると、消費者が購入したくなる製品をいかに作るかという、「マーケットイン」の顧客志向のマーケティングが求められるようになりました。

そして、インターネットが社会生活やビジネスシーンに浸透すると、消費者には3つの情報源が与えられました。オンライン上のWEBサイト、コミュニケーションツールとしての電子メールや問い合わせフォーム、ソーシャルメディア(SNS)や口コミサイトを代表とするネットコミュニティです。

さらに、スマートフォンやPC、タブレットを手にした消費者は、「情報収集力」と「情報拡散力」という力を手に入れます。このことにより、企業と消費者は情報のやり取りに関して、対等な関係性を結びました。

加えて消費者は、能動的に行動するようになり、何か知りたいと思い立ったら、情報源である企業サイトや、ネットコミュニティを飛び回り、貪欲に情報を集めるようになります。この状況を前にして、企業側も変革を迫られます。消費者にとって有益なコンテンツを作成し、消費者の方から積極的に動いて見つけてもらい、購買行動までの流れを歩んでもらうことが重要であることに気付いたのです。

コンテンツマーケティングのメリットとしては、特別な準備がなくてもすぐに始められること、広告費の節約、顧客ロイヤルティの向上、コンテンツの資産化などが挙げられます。

またデメリットとしては、目に見える効果が現れるまでには時間がかかること、ターゲットとする顧客が何を望んでいるかが読めないこと、施策の目的を定めにくいこと、明確な効果測定が難しいこと、社内に運用体制を容易に構築できないこと、などが数えられます。

コンテンツマーケティングを成功に導くには、良質なコンテンツの確保が重要な課題となるのですが、それにはコンテンツの種類を把握しておく必要があります。コンテンツの種類としては、「お役立ち系」、「面白系・バズリ系」、アンケート、インタビューなどのコラム型記事があります。

それ以外にも、ホワイトペーパー、動画コンテンツ、メールマガジン、ランディングページ、対面・非対面(オンライン)のセミナーなどが存在します。

コンテンツマーケティング自体は、新しいコンセプトではなく、歴史をひも解けば、コンテンツを利用した取り組みは、枚挙にいとまがありません。それを、コンテンツマーケティングと捉えるなら、過去から現在まで、一貫した姿勢が見て取れます。それは、「どのような情報を提供すれば、相手が喜び、得をするのか」という視点です。この視点を会得することにより、コンテンツを必要としている相手に届け、こちらが望んだ行動を取らせることができるのです。これこそが、コンテンツマーケティングを実施する意味と言えるでしょう。

総合コンテンツ制作会社である弊社には、コンテンツ制作および、SNSを介してのアプローチ方法など、コンテンツマーケティングの効果を最大化させるスキルと知見を有した人材が、多数在籍しております。
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大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
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