【初心者必見】コンテンツマーケティングの導入に際し、運用のポイントを解説

黒板に「CONTENT MARKETING」の文字」

オウンドメディアの集客、見込み客の獲得など、マーケティング手法の1つとして、マーケティング業界はもとより、経営者や広報担当者の間でも注目を集める「コンテンツマーケティング」。

欧米の大手を中心に、インサイドセールスと並んで、新たなプロモーション手法として実践している企業では数多くあります。

コンテンツマーケティングの先進国であるアメリカに比べ、5年は遅れている日本のビジネスシーンでも、この施策に着手する企業はここ数年で増えています。

これから導入を検討している企業の経営者、あるいは施策の検討を一任されている担当者の方に向けて、コンテンツマーケティングとはどのような施策か、また始めるにあたって、基本的な取り組み方、おすすめのツールなど、詳しく解説します。

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この記事の目次

コンテンツマーケティングの本質を理解


コンテンツマーケティングについて、まずは本質について理解しておきましょう。

コンテンツマーケティングの定義

コンテンツマーケティングの第一人者にして、CONTENT MARKETING INSTITUTE(以下、CMI)の創始者としても知られるJoe・Pulizzi氏は、コンテンツマーケティングを次のように定義しています。※1

「コンテンツマーケティングとは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチである。明確に定義されたオーディエンスを引き付けて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としている」。

ここに、コンテンツマーケティングの本質が示されています。

つまり、ターゲットと定める顧客に対し、彼ら・彼女らが求める、本当に価値のある、良質なコンテンツを継続して提供することにより、自社を認知し、自社の製品・サービスに関心を寄せて、最終的には購買してもらうこと、ということになるでしょう。

昨今では、その考えをさらに推し進めて、顧客に対して自社への「ファン化」を促し、SNSなどで自社製品・サービスの拡散を図ることにより、口コミ効果を狙い、他社との差別化を図ろうとする企業も増えています。

※1 「What is Content Marketing」
https://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing/

コンテンツマーケティングを統計で見る


先に触れたCMIは、「B2B Content Marketing~BENCHMARKS,BUDGETS AND TRENDS~」※2という報告書の中で、アメリカにおける、2022年のコンテンツマーケティングの傾向について、興味深い調査結果を発表しています。

それによると、大手、中小企業に在籍するマーケターに対し、「あなたの企業はコンテンツマーケティング施策を実行していますか?」の質問に、全体の77%がコンテンツマーケティング戦略を取り入れていると回答しました。

また、「過去1年の間に、コンテンツマーケティングの施策に成功しましたか?」の問いかけに対し、「とても成功した」、「成功した」、「まあまあ成功した」を合わせると、回答者全体の84%が「コンテンツマーケティングに効果を感じている」と答えていることが分かりました。

さらに、2020年と比較して、2021年のコンテンツマーケティングの予算は、43%が「増えている」と回答。加えて、今後の見通しとして、2021年に比べて、2022年のコンテンツマーケティングの予算は増加すると期待するマーケターは、全体の66%を占めていることが判明しています。

※2「B2B Content Marketing~BENCHMARKS,BUDGETS AND TRENDS~」
https://contentmarketinginstitute.com/wp-content/uploads/2021/10/B2B_2022_Research.pdf

コンテンツマーケティングのメリット


では実際に、コンテンツマーケティングの施策を行うことにより、企業はどのようなメリットを享受できるでしょうか。

広告費の節約

まずは、コスト削減という、一番実利的なメリットからご説明しましょう。

一般的に、商品の宣伝を行ったり、企業イメージの向上を図るには、テレビやラジオ、新聞・雑誌などのマスメディアに、費用をかけて出稿します。しかしこれでは、広告費が高額になりますし、出稿を打ち切ってしまえば、広告効果は継続しません。

WEBメディアにおいて、リフティング広告を出す場合でも、広告費を支払い続けることで、自社サイトへの読者の流入を維持しているのです。

一方、コンテンツマーケティングは、記事などのコンテンツの作成を外注すればその費用はかかりますが、一旦、オウンドメディアで公開すれば、それ以上のコストはかかりません。しかも広告とは異なり、広告費を払い続けなくても、コンテンツを閲覧するために、一定の読者は流入してくるでしょう。コンテンツマーケティングは、広告費を削減する効果が期待できます。

コンテンツの資産化

広告出稿の場合、出稿を止めてしまえば、折角作成した広告コンテンツは、人目に触れることはなくなります。従って、企業認知や商品の宣伝を広告に依存すると、戦略効果は限定的なものに終わってしまうでしょう。

一方、コンテンツマーケティングでは、一度、コンテンツを作成して配信すれば、サイトのアカウントを削除でもしなければ、読者はいつでも閲覧することができます。ブログ記事などは、本数が増えれば増えるほど、記事の内容に興味を持つ読者の流入経路は拡大します。

また、サイト内での個別記事ページのボリュームが増えるほど、googleの検索エンジンの評価は上がるので、サイトは上位表示されやすくなります。

コンテンツマーケティングを継続することにより、コンテンツは潜在顧客及び、見込み顧客(リード)獲得のための資産として蓄積されるのです。

顧客エンゲージメントの向上

「顧客エンゲージメント=Customer Engagement」とは、企業や商品・サービスに対し、消費者が愛着や親密さを抱くことを指します。

顧客エンゲージメントが高まることにより、顧客は自社と競合社との差別化を図り、自社の製品・サービスを購入し続けてくれるのです。

自社サイトへの訪問者に、彼ら・彼女らが読みたくなるような記事を継続して提供することで、「このサイトに来れば、欲しい情報が手に入る」という認識を持たせることが重要になります。

その結果、訪問者はその企業の製品やサービスにも興味を抱き、同じような商品を購入しようと検討する際は、他社ブランドではなく、その企業のブランドを選ぶようになるのです。

さらに、顧客エンゲージメントを向上させることにより、顧客は企業活動そのものを支援しようという意識を持ち始めます。参考事例として、トヨタ自動車の社会貢献活動が挙げられます。同社は、事業活動を通じて、社会ひいては地球の持続可能な発展に貢献するため、1960年代から環境への取り組みを行っています。サステナビリティに関連する方針を社内で共有し、社会に愛され、信頼される企業を目指しています。

このような企業の姿勢に共感し、常にトヨタ自動車の製品を選ぶ顧客は少なくありません。企業側から見ると、このような顧客は「優良顧客」であり、「ファン」と言い換えても差し支えはないでしょう。

 

コンテンツマーケティングの導入手順


ではここからは、具体的なコンテンツマーケティング施策の導入方法について、詳細に見ていきましょう。

目的の設定

企業が、予算と人材を投じて事業を行うからには、定められた期間に、事前に決められた目標を達成することが求められます。

コンテンツマーケティングという施策においても、明確な目的の設定が欠かせません。ただ、他社も行っているからと、見切り発車でコンテンツマーケティングを始めた企業の多くは、この目的をしっかりと定めていないばかりに、施策の効果が得られないのです。目的は、企業の存在や自社製品・サービスの認知なのか、問い合わせの件数を増やすことなのか、あるいはサイトへのアクセス数やセッション率の向上など、企業により様々であり、それに伴い、作成するべきコンテンツの内容も違ってきます。

ただ、思い出して頂きたいのは、コンテンツマーケティングの定義です。コンテンツマーケティングは、価値のあるコンテンツを作成・公開することで、自社の見込み客に関心を抱かせ、最終的には収益性の高い購買行動を促すことが最終ゴールなのです。

従って、いくつかある目的は、見込み客を自社製品・サービスの購入へと導くためにある指標と言えます。

最終ゴールがKGI(Key Goal indicator=重要目標達成指数)であるならば、各目的はKPI(Key Performance indicator=重要業績評価指数)ということになります。

現状の分析

成し遂げるべき目的に対して、現状で何が実現できていて、何が実行できていないのかを明確にチェックします。

自社が主戦場としている市場や業界、競合他社の動向を調べ、外部環境の分析を行います。また、自社の顧客に対してインタビューやアンケート、営業部門へのヒアリングなどを実施し、内部環境も分析しましょう。

外部環境と内部環境とを併せて把握することにより、コンテンツマーケティングにおける情報発信のテーマが明らかになるのです。

ペルソナの設計

目的の設定、現状分析が終わったら、次にペルソナの設計を行います。

企業がある商品を開発する時には、ターゲットとする顧客の人物像を設定します。これを、「ペルソナ」と呼びます。

ペルソナの設定は、コンテンツマーケティングにおいても、重要な位置を占めています。

性別や年齢、職業、家族構成、血液型などの定量的データに加え、趣味・趣向、将来への夢など、定性的なデータも合わせて、人物像を細かく肉付けすることが大切です。これにより、ターゲットとする読者が、関心を持ちそうなコンテンツを作成するヒントになるのです。

 

コンテンツの設計

いよいよ、コンテンツの設計に移りましょう。

しかしその前に、設定したペルソナが、どのような経緯で潜在的なニーズを顕在化させ、購買行動をおこすのか、その過程を認識しておく必要があります。

マーケティングにおいては、見込み顧客が、自社の存在や製品・サービスを認知し、購入に至るまでの一連の流れを、「購買行動プロセス」と呼びます。そして、見込み顧客が商品・サービスに出会い、購入・成約に至るまでの道筋を、旅になぞらえて「カスタマージャーニー」と称しています。

1920年代、マーケティングの概念が登場して以降、色々なモデルが提唱されてきました。

マス広告が主流な時代は、ポピュラーなものとして「AIDMA」が挙げられます。
すなわち、「Attention=認知」、「Interest=興味・関心」、「Desire=欲求」、「Memory=記憶」、「Action=行動(購入)」の5つの行動パターンを経て、購買行動を取るという考え方です。

2000年に入り、インターネットの普及とともに、消費者は情報収集にも能動的になります。これに伴い、購買行動プロセスも大きく変化を遂げるのです。マーケティングにおいては、その変化を取り込んで、新たな理論が提唱されました。それが、「AISAS」です。

「Attention=認知」、「Interest=興味・関心」、「Seach=検索」、「Action=行動(購入)」、「Share=共有(拡散)」の5つの行動パターンです。

ここで注目したいのは、新たに「Seach=検索」と「Share=共有(拡散)」が加わっている点です。インターネットを介した情報検索とともに、消費者の情報発信力は飛躍的に向上しました。

マス広告主流の時代には、AIDMA理論においては、購買行動プロセスは行動(購入)で完結していましたが、AISAS理論では、購入した後の消費者行動にも目を向けています。

ある企業の商品やサービスを購入し、満足が得られれば、レビューやSNSなどで評価を拡散するのです。これを見た別の消費者は、その商品・サービスを知らなくても、企業のサイトを訪れて、自ら情報を集め始めます。この連鎖を、口コミ効果と称し、企業側はここまでを想定して、施策を練る必要があるのです。

コンテンツマーケティングは、潜在顧客を見込み客に変え、商品を購入する顧客に育て、最後は自社のファンにして、製品・サービスを他人に薦めてもらうシステムづくりでもあります。それぞれの段階の顧客ニーズを満たす情報を、コンテンツとして作成し、適切なタイミングで提供することが求められるのです。

運用体制の構築

コンテンツマーケティングは、成果が顕在化するまでには、設定したスケジュール通りに業務工程を踏み、一定の時間を要する施策です。即効性のあるマーケティング手法ではありません。短期間で効率的に売上向上を狙うなら、マス広告やリスティング広告への出稿など、広告プロモーションの展開の方が効果的です。

コンテンツマーケティングは、長期的なスパンで継続して行うことが前提となります。そのためには、しっかりとした運用チーム体制を構築しておくことが必要です。誰がコンテンツを作成・公開し、誰がその後のコンテンツの管理と運営を行うのか。さらには、コンテンツを配信後、SNSの反応やCVR(コンバージョン率)に気を配り、きちんと効果測定を行うのは誰か、作業内容と担当を決める必要があるのです。

効果測定の実施

コンテンツマーケティングは、コンテンツを作成して公開したら終わり、という単純な施策ではありません。

それぞれのターゲットに向けて配信されたコンテンツが、目的を達成するためにどれだけ成果を上げたのか、定期的に測定し、実績を確認することが重要です。

それには、指標となるKPIを定める必要があります。このKPIは、サイトのユーザー数、PV数、問い合わせの数、SNSでのシェア数など、様々です。貢献度を測りながらPDCAをこまめに回し、リライトなどの改善を繰り返して、コンテンツを最適なものへと近付けていく努力が必要なのです。

施策の導入期に最低限必要なツール


ここからは、コンテンツマーケティングを実行する上で、最低限必要なツールについてご説明します。

最初に、オウンドメディアを立ち上げることが先決です。
企業が持つ情報発信手段の総称がオウンドメディアであり、これには、WEBサイトをはじめ、メールマガジンやホワイトペーパー、eブックなどの電子媒体、会社案内や商品説明書などの紙媒体も含まれますが、今回は狭義の電子媒体のみに限定します。

そして、オウンドメディアを立ち上げ、運営するために欠かせないものがサーバーと、「WordPress=ワードプレス」でおなじみのCMS=Content Management Systemです。

サーバー

サーバーとは、ネットワーク上でつながれた別々のコンピュータ同士で、データファイルをやり取りするコンピュータやプログラムを指します。

このサーバーが介在することにより、世界中どこにいても、情報の受信と発信が可能になりました。大手企業では、自社でサーバーを保有しているケースも多く見られますが、初期投資や運営費用にはまとまった資金が必要になります。そこまで予算を用意できない中小企業や個人事業主では、安価にサーバーをレンタルする場合が一般的です。

レンタルサーバーを選ぶ上で、気を付けたいポイントは2つあります。

1つは、自社のサイトで何をしたいのかを、明確にすることです。自社サイトを初めて立ち上げる時、レンタルサーバー選びで失敗しやすいのが、必要のない機能まで装備されたマシンを選択してしまうことです。これは、一度も使用しない機能に、無駄な金額を払ってしまうことになってしまいます。

もう1つは、検討中のレンタルサーバーが、SSL対応しているか否かです。SSLとは、「Secure Sockets Layer」の略で、インターネット上の通信を暗号化する技術です。インターネットを介したデータ通信は、常に悪意の第三者の目に晒されていると思ってください。

SSL対応のサーバーであれば、データ通信は暗号化されているため、個人情報の流出や改ざんなどを未然に防止することが可能です。自社サイトのセキュリティを強化することで、来訪者は安心してアクセスすることが可能になるのです。

個人情報が容易に、外部にハックされる時代。情報漏洩によるリスクを避け、自社サイトへの来訪者を守ることは、オウンドメディアを運営する側の義務と言えるでしょう。

CMS

コンテンツマーケティングを本格的に運営するならば、それなりの知見とスキルを持つプロに任せるのが安心です。

ただ、短いテキストベースの記事の更新や、サイトの簡単なレイアウト変更程度であれば、自社の担当者が行った方が良いでしょう。

とは言え、まったく知識のない人であれば、HTMLなどのプログラミング言語の勉強や、ウェブデザインの習得に、時間と経費を取られてしまいます。そこで上手に利用したいのが、「WordPress」です。

CMS=Content Management Systemの種類であるWordPressは、世界中で多くの人々に利用されています。WEBの知識がない人でも、簡単にWEBサイトを作成することができます。ソフトウェアの利用は無料で、操作性や利便性に優れています。自社のコーポレートカラーを利用したデザインにカスタマイズすることも、多種類のプラグイン機能を使えば容易に実現できます。さらに、複数の人間による編集も行えるため、スマートフォンを駆使して、場所を選ばずに記事を投稿・修正することも可能です。

 

まとめ:施策の運用は外部のプロに依頼


今回は、コンテンツマーケティングの導入を検討している経営者、及び上層部から運営を一任されている担当者の方に向けて、コンテンツマーケティングの施策を導入する上でのポイントについて、詳しく解説しました。

コンテンツマーケティングの先進国であるアメリカでは、アンケートの回答企業の約77%が施策を実行しています。企業に属するマーケターの84%がその効果を感じており、66%が2022年のコンテンツマーケティングに割かれる予算は増加するものと期待しています。

コンテンツマーケティングを実施するメリットとしては、広告費の節約、コンテンツの資産化、顧客エンゲージメントの向上などが挙げられます。

コンテンツマーケティングの導入手順としては、目的の設定、自社を取り巻く現状の分析、ペルソナ設計、それらを踏まえてのコンテンツ設計、運営体制の構築、効果測定の実施とコンテンツの修正を繰り返すことが重要になります。

コンテンツマーケティングの導入にあたっては、オウンドメディアの立ち上げとともに、サーバーの確保やCMSの活用などが望まれます。

コンテンツマーケティングは、効果が顕在化するまでには時間がかかる施策です。目的を明確にし、自社に専任者をおいて業務にあたらなければ、持続することは困難です。ツールの選定にはじまり、記事の執筆やコンテンツの作成、SEO対策など、業務内容は多岐に渡ります。

とはいえ、大手企業はともかく、予算も人的リソースも限られた中小企業や、個人事業主であれば、内製化は難しいかもしれません。そのような場合は、例えばコンテンツ作成だけでも、外部の知見とスキル、実績を備えたプロに任せるという選択肢もあります。または、企画の立案から戦略設計、アクセス分析などの専門分野に長けた人材を擁し、webマーケティング全般に関するコンサルティングまでが委託可能な業者も存在します。

弊社は、プロのライターの技術と専門家の視点と知見により、コンテンツ作成の代行を承ります。
是非、お気軽にご相談ください。

株式会社デファクトコミュニケーションズ
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大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
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