コンテンツマーケティングに必要なフリーランスとは/WEBマーケターからライターまで 種類と職種を紹介

デスクトップパソコンの前で握手するビジネスマンの腕

コンテンツマーケティングの主戦場として、その存在感を高めるオウンドメディア。効率的に運用することにより、売上の増大に繋げるほか、ブランドの向上が図れるなど、効果は計り知れません。ただ、施策を軌道に乗せるには、ある程度の期間を要し、継続して事業を遂行するためには、専門的な知識とスキルを持つ人員を確保し、安定した体制の構築が欠かせません。

とは言え、大手企業ならともかく、中小企業や小規模事業者であると、人件費を計上し、担当者として人材を採用する余裕は、中々見出せないかもしれません。

そうであるならば、フリーランスに目を向けてみてはいかがでしょう。それぞれの専門性に特化した知見と技術を擁し、柔軟な働き方が可能なフリーランスは、必要な時にだけ力を借りられる心強い存在です。

そこでこの稿では、コンテンツマーケティングに関連するフリーランスについて、仕事の種類や働き方の特徴など、詳しく考察してみたいと思います。

この記事の目次

コンテンツマーケティング関連のフリーランス

コンテンツマーケティング関連のフリーランス

自社でコンテンツマーケティング施策に乗り出そうとした際、社内に足りないリソースをフリーランスに依頼して補おうとした時、実際にはどのような職種が存在するでしょうか。

すぐに浮かぶのは、記事の作成を代行するライターや、サイト内のデザインや設計を担うWEBデザイナーなどでしょう。ただ、ご承知のように、コンテンツマーケティングは、自社がターゲットとするオーディエンスに対し、彼ら・彼女らにとって有益な情報(コンテンツ)を最適なチャネル、タイミングで提供し、最終的には購買行動へと誘う手法です。言葉で言うのは簡単ですが、実践するためには、市場や競合の分析、ペルソナ設定、購買行動プロセスの理解、コンテンツ作成、リードナーチャリング、SEO対策、効果測定など、多岐に渡ります。それに伴い、各業務を担当する人材に求められる、知識やスキルも様々です。

上記のような業務を網羅する職種としては、マーケターが存在します。では、フリーランスのマーケターには、どのような種類があるのでしょうか。

フリーランスマーケターの種類

フリーランスマーケターの種類

ではここからは、フリーランスのマーケターには、どのような種類があるか、詳細に見ておきましょう。

戦略設計者

コンテンツマーケティングを実践するにあたって、戦略の設計や事業の改善など、事業の上流部分を担当する役割です。

a.事業改善業務

マーケティング業務は端的に言うと、「市場や競合、消費者を調査・分析して、消費者ニーズを正しく理解し、商品・サービスに反映させ、常に自社を選んでもらえる仕組み作り」に集約されることになります。

大量生産・大量消費時代においては、大規模生産システムで作り出した自社の製品を、いかに消費者に売り込むかという「プロダクトアウト」の考え方が主流でした。しかし、市場にモノが溢れ、他社との差別化が難しい今日のマーケット事情では、消費者ニーズに合わせて商品・サービスを開発・生産すること、そしてそれらの商品・サービスの価値をいかに消費者にアピールするか、という「マーケットイン」の視点が欠かせなくなりました。

その原点として、「自社がターゲットする顧客の理解」が重要になります。顧客を深く理解するためには、これまでの取り引きから収集された顧客の定量データに加え、インタビューなどの定性データから、新たな価値を発見し、顧客とのコミュニケーション設計が必要になってきます。

時代や環境が変化し、顧客が商品・サービスに求める価値観がうつろえば、自社が扱う商品・サービスやコミュニケーション方法も変貌を遂げることが望まれます。従って、自社の顧客ニーズを十分に把握し、自社の商品・サービスの価値に精通して、両者を最適な形でマッチングさせる、戦略設計者となり得る人材が必須となります。

必要な経験・スキルとしては、新商品の開発経験、事業計画の作成経験、マーケティング組織やクリエイティブチームの運営経験、WEB広告及び新聞・雑誌広告等の作成経験、コールセンター運営改善によるLTV(ライフタイムバリュー)向上スキル、自社製品購入後のCRM構築スキル及びPDCAサイクル改善経験などが挙げられます。

b.組織構築業務

社内のシステムや人事体制などを整理・調整しつつ、事業開発やマーケティング業務に携わることで、長期的な視野で、継続して売り上げを向上させていく企業体制の構築を担う業務です。

求められるスキルは、組織構築と運営経験、マーケティング並びに営業部門の統括経験、組織の改善及び人事・評価制度の構築経験、などです。

c.グロースハック業務

「グロースハック=Growth Hack」とは、組織におけるマーケティング部門や営業部門、生産部門など、各部門間を横断的に連携させ、市場ニーズを正確に把握するデータ分析結果や商品価値を共有し、顧客へのアプローチを高速で改善・検証して、事業の成長に貢献するマーケティング手法です。

部門間の障壁を取り除き、リアルタイムでデータを共有・管理できる体制作りは、意思決定がスムーズに行われ、実行までのスピードは加速されます。

必要なスキルは、デジタルマーケティングの企画立案と実行経験、WEB解析や統計分析スキル、膨大なデータを収集・分析・加工し、経営戦略のための意思決定を支援する「ビジネス・インテリジェンス=Business Intelligence」スキル、MA及びCRMのとのツールの運用経験、などです。

d.市場調査業務

新規の商品・サービスを市場に展開する場合、市場規模の正確な認識や、顧客理解は重要です。市場調査=マーケットリサーチの目的は、市場規模を数値化し、マーケティングに投下できる資金の目安、新規の商品・サービスがどの程度売れるのかの判断を下すことです。

市場調査により、自社がターゲットとする顧客が明確になり、ニーズが把握できます。また、ニーズに則した商品・サービスを開発できるほか、ターゲットとする顧客ごとにマーケティング施策を打つことが可能になります。

反対にこれを怠ると、顧客ニーズにそぐわない商品・サービスを市場投下してしまい売上に繋がらない、マーケティングコストを回収できない、などの弊害が生じてしまいます。

このポジションでは、商品の開発やマーケティングにおいて、活動の指針となる「仮説」の設定と、その仮説が正しいかを判断する評価基準の策定、そして誰が調査するのかという人選が任されます。また、市場の定量調査から、「自社の新商品が、どの程度売れるのか」という分析と、インタビューなどの定性調査から、顧客の分析業務を担当することになるでしょう。

さらには、自社のターゲット顧客のニーズに則した商品開発と、顧客の購買行動プロセスに合わせた、適切なコミュニケーション戦略の選定と実施するまでのスキルが問われます。

求められる経験・スキルは、自社の顧客の分析経験、インターネット調査や顧客アンケートの実施などの定量調査経験、デプスインタビューやグループインタビューなどの定性調査経験、市場調査における仮説設定・検証・分析スキル、調査結果を商品開発やマーケティング施策へ反映させた経験、などが挙げられます。

e.ブランド戦略業務

企業活動や企業の存続において、極めて重要なコンセプトが「ブランド」です。

昨今の市場において、一定のクオリティを保持していなければ、その商品・サービスは消費者からは相手にされません。つまり、「良質な商品・サービス」を提供するだけでは、他社との差別化は図れないのです。

では、発想を逆にして考えると、消費者は何を基準にして、商品やサービスを選んでいるのでしょうか。消費者は、「何となく」商品・サービスを購入している訳ではありません。そこには、確固とした基準があります。それは、「何が、自分を最も満足させてくれるか」という思いです。これを一言で、「満足感」と表すなら、満足感には、商品・サービスの質はもちろん、価格、デザイン、ロゴマークなど、全ての要素が含まれています。加えて、商品にまつわるストーリー、企業イメージが与える信頼感や安心感など、有形・無形のものまでをひっくるめて、消費者は満足感を求めており、この満足感こそが「ブランド」なのです。

自社の商品・サービスに、ブランドという付加価値を提供できる企業のみが、他社との差別化を図り、常に消費者に選ばれる存在となり得るのです。それには、市場において、消費者にどのような価値を認めてもらえるように働きかけるか、というブランド戦略の設計と推進を託せる人材が求められます。

必要とされるスキルと経験は、CI(コーポレートアイデンティティ)/BI(ブランドアイデンティティ)開発及び、ロゴデザインなどのVI(ヴィジュアルアイデンティティ)開発の経験、マーケティング・デジタルブランディング・プロモーション・コミュニケーション戦略におけるいずれかの経験、メディアや動画を駆使したプランニングスキルなどが挙げられます。

プロダクトマネージャー

戦略設計者からの指示・管理に基づき、事業を推進し、適切にPDCAサイクルを運営できる人材が必要です。

a.メディア事業運営業務

取りあえず、オウンドメディアを起ち上げ、PV数は稼げたものの、売り上げなどの目に見えた成果に繋がらないという話はよく聞きます。また、サイトの訪問者から見ても、ブログの記事や動画は参考になったが、運営する企業の商品を購入したり、あるいは課金対象となるサービスを利用したことはない、というケースは往々にしてあり得ます。

逆に、最初からダイレクト課金を意識して、コンテンツの閲覧で収益化を図ろうとすると、現場取材や著名人へのインタビューなど、希少な一次情報を得るために、プロの人員を手配して、それなりの時間をかけなければなりません。

このように、人的リソースと長期の時間を要し、収益化に至るまでには道のりの長いメディア事業は、遂行するにはしっかりとした戦略の立案が欠かせません。またチャネルにマッチしたコンテンツ制作から、最適な形でのタッチポイントの選定、さらにはコンテンツを複数のメディアで、横断的に展開するメディアミックスなど、専門性が求められます。

収益化を意識したメディアを設計し、売上数字をKGIとして、そこから逆算したKPIの設定など、綿密に事業計画を練っていきます。その後は、派生する業務を洗い出して優先順位をつけ、社内人員や外部の業者へ業務を振り分けていきます。例えば、ブログ記事の作成を外部のライターに依頼する場合、ライターの選定からアサイン、仕事を発注した後の連携など、細部に渡っての業務をこなす必要があります。

求められるスキルと経験は、コンセプトやペルソナの設定など、メディアの上流行程にあたる部分の設計業務経験、記事作成スキルやライターのディレクション経験、流入チャネルに則したコンテンツの立案と作成経験、さらには、広告業界での営業戦略立案とマネジメント経験があると望ましいでしょう。

b.リードジェネレーション業務

リードジェネレーションとは、リード=見込み顧客を獲得する行為を指します。従来は、主に営業部門がその役割を担っていました。いわゆる、「新規開拓」営業と呼ばれる業務です。飛び込み営業やテレフォンアポインメントなど、ともすれば根性論がまかり通る、力ずくの営業から、展示会やセミナーを開催し、参加者との名刺交換まで、手法は様々ありました。

しかし、インターネットの社会やビジネスシーンへの浸透とともに、状況は一変します。ある商品・サービスについて、消費者が関心を寄せた時、彼ら・彼女らは能動的に情報収集に動くことで、その企業の営業に会う前に、事前調査は済ませています。では、消費者は情報収集をどこで行うのかといえば、主な情報源は、その商品・サービスを提供する企業のサイト、SNSや口コミサイトなどが挙げられます。

そうなると企業側は、これまで以上に、オウンドメディアにおけるコンテンツの強化が必須となります。自社のターゲットは誰で、どのようにコミュニケーションを図るのか、などを戦略的に設計し、社内のメディア担当、広告担当、さらにオフラインでの制作担当、セミナー担当と横断的に連携し、共有することが重要になるのです。

最初は、自社商品・サービスのターゲットは誰かを明確にし、「実際に提供できる価値は何か」、「他社もある中で、なぜ(自社は)この商品・サービスを提供するのか」、といった側面から定義付けを行い、ペルソナのイメージをより鮮明にすることが重要です。その上で、リード獲得という視点から、メディアや広告の運用を行い、コンテンツの作成・配信する能力が問われるのです。

スキル・経験としては、ペルソナの設計とコミュニケーション戦略の設定経験、WEB広告の運用経験、B to B ビジネス企業でのオウンドメディア運営経験、LP(ランディングページ)の成果目標設定やCVRの改善経験、オンラインセミナーやダウンロードコンテンツ(ホワイトペーパーなど)を用いた集客経験、ROAS(広告出稿における費用対効果)やROI(投資利益率)の計測を踏まえた効果測定スキルなどが求められます。

c.リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、収集したリード(見込み顧客)に対し、最適な方法で継続して働きかけを行い、徐々に自社の存在を認知させ、購入意欲を高めることにより、最終的には購買行動に繋げるマーケティング手法です。この業務は、マーケティング部門や営業部門が行ってきましたが、近年ではインサイドセールス部門が担当する企業が増えました。メールマガジンの送信や、テレアポによる声掛けなど、オペレーターの微妙なさじ加減で、コールドリードをホットリードへと昇華させる力量が問われるのです。

その後、インターネットの普及とIT技術の発達が進むとともに、MA(マーケティング・オートメーション)ツールの使用により、リードのWEB上での行動が可視化され、同時に企業側にはヒアリング力と提案力が求められるようになったのです。

B to Bビジネスにおいては、相手企業の役職や担当部署に合わせて、提案内容を変える必要があります。また、B to Cビジネスでは、相手の購入意欲を推し量り、架電のタイミングを計ることが大切です。そのためには、リアルタイムでのリード情報の可視化と共有、テレアポのオペレーション管理、マーケティング部門から営業部門へリード情報を受け渡す「送客」業務が必須となります。

マーケティング部門や営業部門とは、必要とされるスキルが異なり、それだけに専門性が高い分、採用活動で人材を確保することは難しくなっています。

求められるスキルと経験は、インサイドセールス体制の構築業務の経験、MAツールのセッティングと運営経験、CRM(カスタマー・リレーション・マネジメント)やSFA(セールス・フォース・オートメーション)による分析を通した効果測定スキル、リードナーチャリングの設計経験、インサイドセールス体制の構築経験などです。

ディレクター(実行・作業者)

課題解決のために、実際に作業を行う人材です。そのためには、「集客」、「サイトの構築」、「顧客の育成」において、それぞれ改善策が求められ、その実行のために必要な業務が発生します。

【集客における改善業務】

a.総合的なSEO対策業務

「メディアを起ち上げて、ブログ記事のボリュウムを増やし、PV数を稼いだまではいいが、そこからCV(コンバージョン)にまで繋げられない」、というオウンドメディア運用担当者の愚痴は良く聞かれます。サイト訪問者の回遊率の向上や、各記事からCVポイントまでの動線の改善、CVR(コンバージョン率)を上げるための仮設設定と検証業務が求められます。

また、最終的なKGIとして収益化(マネタイズ)を設定している場合、KGI達成のために、売上から逆算した事業計画や戦略の設計、KPIの見直し、CVRの目標設定業務が発生します。

ディレクターは、サイトの企画立案から設計、作成まで、全ての行程に携わります。SEO対策による記事のライティングや、外部へ発注する際のディレクション業務など、コンテンツマーケティング施策に必要なトータルな運用ができる能力が必要とされます。

必要なスキルと経験は、メディア戦略の策定及び、事業計画の作成経験、アフィリエイト広告・広告枠の営業経験、サイト内の動線設計・ディレクション業務の経験、検索キーワードの選定からサイトの構成設計、外注指示や管理経験、ライターへの記事作成指示と校正・校閲を含む記事チェックの経験、SEOに役立つ諸ツール(Google Analytics、Google サーチコンソール、ヒートマップなど)の操作スキルなどが挙げられます。

b.コンテンツマーケティング業務

コンテンツマーケティングの定義によると、「コンテンツマーケティングとは、自社がターゲットに定めるユーザーに対し、有益な情報を継続して配信することにより、自社の存在に気付かせ、最終的には購買行動へと至らせる、マーケティング手法である」ということになります。

施策の実施においては、3つの視点が重要な意味を持ちます。1つは、「有益なコンテンツの作成」、もう1つは「顧客との接点を最適化するチャネルの選択」、そして今1つは「顧客の購買行動プロセスを理解し、各フェーズで効果的な情報発信を行うこと」です。

目的に合わせて、コンテンツの内容を定めます。一言にコンテンツといっても、ブログ記事、ダウンロードコンテンツ、動画、SNS投稿用の記事など、様々です。施策の段階がどの位置にあるかを把握し、相応しいコンテンツを選びます。次にコンテンツ作成のエキスパートを選定し、コンセプトを共有しながら作成指示を出します。コンテンツが納品されるまでの、行程管理とディレクション業務が生じます。

どんなに良質なコンテンツも、ユーザーの目に触れなければ、宝の持ち腐れでしかありません。そこで、ターゲットユーザと、作成したコンテンツとのタッチポイントをどのように設定するか、という戦略が必要になってきます。コンテンツを伝える手段であるチャネルには、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアなど、色々とあります。ユーザーが今求めている情報を把握し、各チャネルのフォーマットに合わせてコンテンツを公開し、反応を見ながらユーザーとのコミュニケーションを図ります。社内に属するスタッフに対しては、商品と顧客への理解を促し、各チャネルのエキスパートと協調して、コンテンツマーケティングを実行する力量が求められます。

必要なスキルと経験は、ターゲット顧客とのコミュニケーション設計経験、コンテンツ企画・作成のディレクション業務経験、ディレクターやライターとの連携業務経験、主要SNSのアカウント運用とディレクションおよび、Youtubeなどの動画サイトを活用した動画コンテンツのディレクションスキル、CRMを活用した既存顧客へのメール配信業務の管理経験などです。

c.SNS活用業務

FacebookやTwitter、Instagramなど、主要なSNS(ソーシャルメディア)の社会への浸透は、情報のやり取りにおいて、企業と消費者とのパワーバランスを変容させました。かつては、企業から発信される商品・サービスに関する情報は、消費者側はその真偽に関わらず、受け入れるしかありませんでした。しかし、インターネットの広がりと、スマートフォンをはじめとするITツールの普及に伴い、状況は一変します。消費者は、かつてないほどの情報収集力と情報発信力を手に入れたのです。

時を同じくして、ユーザーが作り上げたソーシャルメディアの台頭により、広大な情報ソースが出現したのです。このソースには、企業の商品・サービスを購入し、その顧客体験をレビューとして扱う情報も含まれています。当然、その中には、商品を好評価するものもあれば、こき下ろすものまで、多様化しています。消費者が、ある商品に興味を持ち、何かしらの情報を得たいと思い立った時、ネット検索でレビューや口コミを参考にするのは、もはや当たり前のこととなっています。

この現象は、企業経営者やマーケティング担当者にとって、見過ごせないものとなりました。企業のマーケティング戦略に、変更を迫るほどの影響力をもたらしたのです。マス広告やインターネット広告など、企業発信の情報であれば、自社の商品・サービスの優れた点や、アピールポイントのみを訴求すれば事足りました。ところが、SNSに漂う情報は、企業側でコントロールすることができません。そこで、企業自らがSNSのアカウントを取得し、情報発信に動き出したのです。

とは言え、これまでのように、企業にとって都合の良い情報ばかりを配信しても、ユーザーには拒絶されるだけです。SNSの最大の特徴は、リアルタイムでの双方向的なコミュニケーションが図れることです。企業が投稿した情報に対し、ユーザーはコメントや、「いいね」などのリアクションを返してきます。これらの反応に対しては、企業側はある時は感覚的に、またある時は、数字に裏付けられたデータを元に理論的なレスポオンスを返すという、きめ細かい対応の積み重ねが重要になりました。

もちろん、ユーザーからのコメントは、企業のとって好ましいものばかりではありません。中には、辛辣な意見も多く見られるかもしれません。しかし、そのような意見に対し、企業の担当者は背を向けてはならないのです。なぜなら、ユーザーからのコメントは、事実無根な中傷もあれば、歯に衣着せぬ表現ながらも的を射たものまで、多種多様だからです。そのようなコメントに対し、企業側は真摯に対応する必要があります。なぜなら、企業とユーザーとのやり取りの一部始終を、他のユーザーも見ているからです。ユーザーからのコメントに対し、正解となる回答はないかもしれません。しかしそれでも、担当者が誠実に対応する姿勢は、ユーザーの企業への好感度を増し、いずれは自社のファンへと昇華させていく可能性を秘めているのです。

ただ、SNSを活用したマーケティング施策は、効果が現れるまでに一定の時間を要します。それだけに、アカウント運用に関しては、短期と長期の目標設定が欠かせません。そして、ターゲットを潜在顧客と顕在・既存顧客とに分け、それぞれに合わせたコンテンツの企画・作成、データ分析から導かれるコンテンツの評価により、次の打ち手を繰り出して、成果に近づけていく努力が求められるのです。

必要となるスキルと経験は、SNS戦略の企画立案と実務経験、SNS施策の実行業務経験、インフルエンサーを巻き込んだイベントの企画立案と実施経験、UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)への対応施策スキルなどです。

【サイト設計の改善業務】

a.サイト制作業務

当該サイトのターゲット選定と、購買行動プロセスの理解、成果を数値化する評価の設定など、サイトの運用方針を決定します。現状サイトの弱点はどこにあるのか、改善の有無を見極め、必要であれば優先順位を定めます。サイト設計において重要なポイント、制作スケジュールとコストを確認しておきます。

その上で、戦略に沿った実際のサイトの構成と制作順序を決め、デザインに落とし込んでいきます。各所のデザインのすり合わせを行い、共有しておきます。作業に入り、システムやデザインの実装が終了したら、サイト運営へと移ります。どの程度の更新頻度で、どのデータを解析し、いかにPDCAを回していくのか、各担当者と共同での業務が任せられる人材が必要です。

必須のスキルと経験は、サイトのデザインコンサルティング経験、コーポレートサイトやLP(ランディングページ)、ECサイトのWordPress制作経験とスキル、HTML/CSS/PHP などのコーディング経験とスキル、サイトのUI(ユーザーインターフェイス)/UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン及びグラフィックデザイン経験とスキルなどです。

b.LP(ラディングページ)制作業務

LP(ランディングページ)とは、訪問者が最初に着地するページを指します。そこから派生して、WEB広告をクリックしたり、検索エンジンから流入してきたユーザーが、最初に閲覧するWEBページを意味します。サイト運営者が、訪問者に問合わせや申し込みなど、何らかのアクションを誘導するために、自社の商品・サービスの解説を1ページにまとめたものをLPと呼びます。

LPの目的は、訪問してきたユーザーに、商品の問い合わせや資料請求、あるいは購入などの行動を起こさせることです。商品やサービスの情報を1ページに集約し、なるべく他のページへ移動させない工夫が凝らされているのが特徴です。ユーザーに伝えたい情報のみで、コンテンツ内容を完結させ、最終的な成果としてのCV(コンバージョン)を獲得することだけを意識して作られています。

対象とするターゲットの選定と、LPの位置関係を設定し、コミュニケーション戦略とCTA(Call to Action=コール・トゥー・アクション)の設計業務が生じます。また、チャネルに則したLPデザインの設計、コーディングまでを担当します。

望まれる経験とスキルは、LPの制作やディレクション経験、B to C ビジネスにおけるマーケティング業務経験、コーポレートサイトやLP(ランディングページ)、ECサイトのWordPress制作経験とスキル、HTML/CSS/PHP などのコーディング経験とスキル、サイトのUI(ユーザーインターフェイス)/UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイン及びグラフィックデザイン経験とスキルなどが挙げられます。

c.動画制作業務

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツ制作において、動画の存在感は日増しに高まっています。オウンドメディアで展開するコンテンツでは、検索エンジンに直接作用するテキストベースの記事は欠かせません。ただ、コンテンツマーケティングの根本である、、「ユーザーに役立つサイト」に貢献するという意味では、動画はその訴求力において、テキストを上回る効果が見込めます。

どのようなメッセージを発信するか、また、動画によってどのように伝えるか、というイメージのすり合わせが重要な業務です。映像の企画立案から構成の作成、クリエーターとの打ち合わせ、ディレクション、機材発注・撮影・編集までを手掛ける業務をカバーする人材が必要です。

求められる経験とスキルは、企業PRや集客に関するプロモーション動画の制作経験、動画サイト用映像の制作経験、外注管理、動画撮影・編集の業務経験とスキルなどです。

【リードナーチャリング改善業務】

コンテンツマーケティングにおける3つの重要な視点、「顧客の購買行動プロセスを理解し、各フェーズで効果的な情報発信を行う」ことは、この施策の中でも高度なスキルを要します。リードジェネレーションにより、多くの潜在顧客を獲得しても、購買に繋がる見込み顧客=リードへと育てるには、数え切れない工数と相応の時間がかかります。

さらに、コールドリードからホットリードへと引き上げ、最終的な購買行動へと導くには、顧客の購買行動プロセスを理解した上で、各フェーズに応じた情報提供を継続して行う必要があります。この一連の過程が、「リードナーチャリング」であり、フリーランスのマーケターにも求められる業務です。

a.ステップメール業務

現在のビジネスシーンにおいて、コミュニケーションツールとして重要なポジションにあるのがメールです。メールアドレスを取得した相手に対し、定期的にメールマガジンを配信することにより、ブログ更新やセミナーのお知らせ、商品・サービスのリリース情報などを、ピンポイントで知らせることが可能になりました。

顧客との関係構築において、メールマーケティングは効率よく活用されてきました。個人ごとに異なる商品検討サイクルに応じて、段階的に情報を届けることが求められます。そのリードが、どのタイミングでホワイトペーパーをダウンロードしたか、あるいはいつ資料請求したか、などのリードの行動を起点として、継続して内容の異なるメールを配信し、良好な関係を築くことを「ステップメール」と称しています。

担当者やオペレーターが、人海戦術的に手動でメール送信することも可能ですが、昨今ではMA(Marketing Automation=マーケティング・オートメーション)や、CRM(Customer Relation Management=カスタマー・リレーション・マネジメント)などのツールを用いて、自動的かつ効果的にメールマーケティングを行っています。

ステップメールは、複数回に分けてメールを配信するため、個人個人とのコミュニケーション設計が重要です。顧客を深く理解した上でコンテンツの内容を決め、データ分析から配信するタイミングを細かく設定し、その都度、改善ポイントを指摘できる能力が必要になります。

メールアドレスの管理並びに、ターゲット顧客の購買行動プロセスを全て把握し、ペルソナ設定、カスタマージャーニー設計を行います。さらに、ステップメールの目的を明らかにし、最終的なKGIから逆算したクリック数、開封率などのKPI設定業務を行います。メールの配信後は、メールの開封率やリンクポイントのクリック率のデータを解析し、改善点を洗い出していきます。

購買までの検討期間が長いコールドリードに対しては、ステップメールで継続的なアプローチを仕掛けてコミュニケーションを図り、検討段階がどのあたりまで来ているかを判断します。そして、コールドリードがホットリードにまで進んだタイミングで、営業部門あるいはインサイドセールス部門へと引き渡すのです。

必要なスキルと経験は、MAやCRMツールの運用経験、コミュニケーション設計スキル、B to Bマーケティングでの業務経験、ECサイトでのマーケティング業務経験、メールマーケティングの実務経験などです。

b.CRM運用業務

営業を経験した方であれば、新規顧客を開拓する難しさは、よくお分かりのはずです。それに比べて、既存顧客は少なくとも一度は、自社の商品やサービスを購入してくれた存在です。従って、再度の購入を促したり、新たな商品・サービスの提案も、最小限のコストで行うことが可能です。

顧客との良好な関係を築き、長期的な取り引きを続けることができれば、コストを最低限に抑えて利益を生み出すことが可能になるのです。マーケティングでは、「LTV=Lifetime Value/顧客生涯価値」という考え方があります。これは、顧客から生涯に渡り、得られる利益を指しています。

LTVが重要視される背景には、飽和状態となった市場環境が関係しています。マーケットが成長期にあれば、新規顧客を多く獲得し、シェアを競うことで、売上数字を伸ばすことができます。企業側は、次から次へと新商品を市場へ投入し、プロモーションを仕掛ければ、商品は売れていきました。

しかし、類似した商品が溢れ、市場が成熟期を迎えると、他社との差別化が難しくなり、新規の需要を呼び起こすことは至難の業となりました。この段階において、今ある顧客との関係性を良好に保つことで、「既存顧客の深掘り」が再評価されることになりました。そしてLTVは、マーケティング戦略を進める上で、重要な指針となったのです。

CRM(Customer Relation Management)は、このように一度接点のあった消費者を顧客データとして管理し、彼ら・彼女らのニーズを予測して、プロダクトやコンテンツを提供することで、顧客との関係性を長期に渡って築くマーケティング手法です。マーケットが成熟期を迎えた今日、企業は顧客との関係性を見つめ直す時期に来ています。そのために、顧客データ管理並びに顧客分析、情報発信に対する顧客の反応を、リアルタイムで実行するCRMツールの活用は必須のものとなりつつあります。

顧客管理における顧客属性の分類、顧客1人1人の成果目標の設定と、施策に落とし込むことによるKPI設定業務が発生します。メールやLINEを介してのコンテンツ企画の立案、評価目標の数値化による改善策の提案を行います。さらには、CRMツールを導入するにあたっては、顧客データの抽出からシステムごとのデータフォーマットのインポート作業、各配信ツールとの連携作業が見込まれます。

必要とされるスキルと経験は、「Salesforce」や「SATORI」、「HubSpot」などのCRMツールの導入・運用経験、マーケティングにおけるタスク管理及び実務作業経験、顧客のデータベース管理・顧客属性の分類業務経験、コンテンツやキャンペーンの企画立案や社内ディレクションの業務経験などです。

まとめ:フリーランスの職種は様々あり、自社に相応しいプロの見極めが大切

フリーランスの職種は様々

今回は、コンテンツマーケティングの施策を実施する上で、不足する人的リソースを補う際、プロのフリーランスに目を向けてみました。

コンテンツマーケティングを推進するにあたっては、フリーランスとしては、記事作成を代行するライターや、サイトを構築するWEBデザイナーなどがすぐに思い浮かぶことでしょう。コンテンツマーケティングは、ターゲットとする顧客に対し、コンテンツの力で良好な関係を築き、購買行動へと導くマーケティング手法です。目に見える効果が現れるまでには一定の時間を要し、必要な工程は数多くあります。
実践するためには、市場・競合の分析、ペルソナ設定、購買行動プロセスの理解、コンテンツ作成、リードナーチャリング、SEO対策、効果想定など、多岐に渡ります。従って、各業務を担当する人材に必要な知識やスキルも様々です。
このような業務のフローを一通り把握し、ディレクションまで行える職種としては、マーケターが存在します。

フリーランスのマーケターには、3つの役割が存在します。
1つ目は、戦略の設計や事業の改善など、事業の上流部分を担当する戦略設計者です。事業改善業務、組織構築業務、グロースハック業務、市場調査業務、ブランド戦略業務などを担うポジションです。

2つ目は、戦略設計者からの指示でPDCAを回し、具体的に事業を推進していく役割を担うプロダクトマネージャーです。メディア事業運営業務、リードジェネレーション業務、リードナーチャリング業務などをディレクション・監督します。

そして3つ目は、課題解決のため、実際に作業を行う人材です。「集客における改善業務」、「サイト設計の改善業務」、「リードナーチャリング改善業務」などを、実行に移していく業務をこなしていきます。

フリーランスに求められる知識や経験、スキルは多岐に渡ります。自社が設定するコンテンツマーケティング施策の目標、ボトルネックとなる人的リソースや知見の不足により、依頼するフリーランスの職種も変わってきます。

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大庭隆之
大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
コンテンツマーケティングを成功に導く3つのステップ