コンテンツマーケティングにおける効果とは?/正しく理解して効果を最大化するには

PCに集まる小さな人間たちのイラスト

日本のビジネスシーンにおいて、経営者や広報担当の間で、「コンテンツマーケティング」という用語が使われ始めたのは、2014年頃だったでしょうか。
当時はまだ、マーケティングのトレンドということで、「SEOの新手法だ」、あるいは「自社サイトにビジネス系のコラムを掲載することだ」など、その捉え方はまちまちでした。
あれから8年が経過しようとしていますが、単なる流行に終わらず、マーケティングの一手法として、しっかり根付いているようも思われます。
事業の一環である以上、かけたコストに見合う成果が認められなければ、コンテンツマーケティングという施策も、とっくに淘汰されていたでしょう。
ところが今や、同施策を手掛ける企業は、大手・中小企業を問わず、枚挙にいとまがありません。
これは、コンテンツマーケティングの効果が、実感されているからにほかなりません。しかし一方で、あまり目に見える形で効果を感ぜず、施策を打ち切ってしまったケースも多く見られます。
では一体、コンテンツマーケティングにおける効果とは、何を指すのでしょう?
そこで今回は、コンテンツマーケティングの効果とは何を指すのか、効果を上げるには何をするべきか、深く考察してみたいと思います。

この記事の目次

コンテンツマーケティングとは?

モバイルPCを前に悩むビジネスマン
まずは、コンテンツマーケティングの定義と目的について、立ち返って確認することにしましょう。

コンテンツマーケティングの定義

コンテンツマーケティングの第一人者であり、Content Marketing Instituteの創始者の
Joe・Pulizzi氏は、コンテンツマーケティングの定義を以下のように述べています。
「コンテンツマーケティングとは、自社が明確に顧客と位置付けるユーザーを引きつけて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すマーケティング手法である。そのために、ユーザーにとって価値があり、関連性があり、一貫性のあるコンテンツを、作成・配布することを重視して、戦略的にアプローチを図る必要がある」。※1
一方的に自社製品やサービスを売り込むのではなく、自社がターゲットに定める見込み客や顧客が直面する課題を解決するため、彼らにとって有益なコンテンツを提供すること。これが、コンテンツマーケティングの本質です。
※1「CONTENT MARKETING INSTITUTE」
https://contentmarketinginstitute.com/

コンテンツマーケティングの目的

色々な服装の女性たち
企業が資金と人材を投じて事業を行うからには、一定の期間内に、事前に定められた目標を達成することが大前提となります。
コンテンツマーケティングという施策においても、明確な目的の設定が求められます。ただマーケティングのトレンディだからと、取りあえずコンテンツマーケティングに着手した企業の多くは、この目的をしっかりと定めていないために、施策の目に見える効果が現れていないのです。
コンテンツマーケティングの目的は、企業名や自社製品・サービスの認知なのか、あるいは、問い合わせの件数を増やすことなのかによって、作成するべきコンテンツの内容は違ってきます。
ただ、コンテンツマーケティングの定義を思い出してください。
コンテンツマーケティングは、価値のあるコンテンツを作成・公開することで、自社の見込み客を引き付け、最終的には収益性の高い購買行動を促すことが最終ゴールなのです。つまり、いくつかある目的は、見込み客を自社製品・サービスの購入へと導くためにある、道しるべと考えられます。

コンテンツマーケティングのメリット

天秤はかりにかけられている「merit」「demerit」の文字
コンテンツマーケティングを行なうことにより、どのようなメリットが見込めるのでしょうか。

顧客ロイヤリティの向上

「顧客ロイヤリティ」とは、ある会社や商品に対し、消費者が愛着を感じることを指します。
自社サイトへの訪問者に、読みたくなるような記事を継続して公開することにより、「このサイトなら、自分の欲しい情報が手に入る」という認識を持たせることが大切なのです。
訪問者は、何回かサイトに訪れるうちに、その企業の製品やサービスにも興味を抱きくようになります。そして今すぐではなくても、、いつか同じような商品を購入しようと検討する際は、他社のブランドではなく、その企業のブランドを選ぶようになるでしょう。

広告費の削減効果

通常、企業イメージや、商品の宣伝には、テレビや新聞、ラジオ、雑誌などのマスメディアに、広告費を支払って行います。
しかしこの場合、高額な費用が必要であるばかりでなく、出稿を止めてしまえば、広告効果は長くは続きません。
WEBメディアにおいて、リフティング広告を打つ場合でも、広告費を支払い続けなければ、自社サイトへの自然流入は止まってしまいます。
一方、コンテンツマーケティングは、記事の作成を外注すればその費用はかかりますが、一旦、公開してしまえば、それ以外の費用はかかりません。しかも広告とは異なり、広告費を払い続けなくても、コンテンツの閲覧を目的にある程度の読者は流入してくるでしょう。コンテンツマーケティングは、広告費を削減する効果も見込めるのです。

コンテンツの資産化

マス広告やWEB広告などのペイドメディアの場合、出稿を差し止めてしまえば、手間と費用をかけて作成した広告コンテンツは、人目に触れることはありません。
一方、コンテンツマーケティングでは、一旦、コンテンツを作成して配信すれば、自社サイトを閉鎖しない限り、ユーザーはいつでも閲覧することが可能です。
コラムやブログ記事などは、本数が増えれば増えるほど、記事の内容に興味を持つ読者の流入経路は拡大します。これは、見込み客=リードの獲得に大きく貢献します。
コンテンツマーケティングを継続することにより、コンテンツは見込み客獲得、さらには、新規顧客開拓のための資産として蓄積されるのです。

SEO対策から見るコンテンツマーケティングの重要性

モバイルPCを膝に乗せ、ガッツポーズを取る若い女性
良質なコンテンツを作成しても、人目に触れなければ意味はありません。
オウンドメディである自社サイトとっては、自然流入からの訪問者の拡大は、重要課題です。
そのためには、SEO対策にも気を配らねばなりません。
ご存じのように、SEOとは、「Seach Engin Optimization」の頭文字を取ったもので、日本語に訳すと、「検索エンジン最適化」となります。
その検索エンジンに実装され、WEBページの重要性や関連性を適切に評価し、検索結果における表示順位を決定するのが、検索アルゴリズムです。
この検索アルゴリズムは、どのような基準と要素により、表示ランキングを決めているのか、理解しておきましょう。ここでは、日本の市場の90%以上を占める、Googleの検索アルゴリズムを例にとります。

検索アルゴリズムの関連性

Googleの検索エンジンでは、複数の検索アルゴリズムを活用しており、その一部が公開されています。その中で、検索結果を決定づける4つの要素に注目が集まっています。
【検索意図の把握】
ユーザーが検索する際に使用する、検索クエリと呼ばれる語句の意味を理解し、関連性の高い内容を持つサイトを探します。検索エンジンは、検索意図を読み解き、その検索が幅広い意味に向けられたものなのか、ある特定の事柄についてなのか、アルゴリズムによって分析します。その分析結果をもとに、データベースから相応しいWEBページを表示するのです。
【WEBページとの関連性】
検索クエリにマッチする、検索者が知りたい情報を含むサイトを探します。アルゴリズムは、検索クエリと同じ語句が使われている本文内の見出しやタイトルを分析し、関連性が高く、有益で良質なページを推定します。
【コンテンツの品質】
WEBページに掲載されているコンテンツの中に、検索クエリと一致する語句がいくつあるか、UX=ユーザーエクスペリエンス、つまり顧客体験の質などを分析するのです。そして、信ぴょう性のない、利用価値の低いコンテンツは、検索結果から排除するようにプログラムされています。
【ユーザビリティ】
Googleの検索エンジンは、質の高いコンテンツを上位表示させるため、ユーザビリティ=使いやすさを高く評価しています。
WEBサイトが、パソコン、スマートフォンなど、形状の異なるデバイスにも最適化され、正しく表示されるか、検索結果がストレスなく表示されるかが、重要視されているのです。

アルゴリズムのアップデートに伴う対応策

Googleのアルゴリズムは、2011年以降、何度かアップデート(内容の更新)がなされています。このアップデート後、検索順位に大きな変化が起こる可能性があります。万一、自社サイトの順位が、アップデートによりの影響を受けた場合、どのような対処が必要でしょうか。
【E・A・Tへの対策】
「E・A・T」とは、Googleの検索エンジンが、そのサイトに掲載されているコンテンツを評価するための指針の一つです。「Expertise=専門性」、「Authoritativeness=権威性」、「TrustをTrustworthiness=信頼性」の頭文字を取ったものです。Googleのコンテンツ評価は、この専門性、権威性、信頼性を基準に行われています。コンテンツの作成においては、一つの専門性に特化したテーマを取り上げ、扱う情報が信頼に足るものである必要があります。権威性は、「この情報は誰が言っているのか」を確かめることと同義です。あるテーマについて、その業界で専門性を有する人物や組織、サイトからの言及や引用、被リンクの数などで確かめることが可能です。
【顧客体験の向上】
サイトの読み込みが遅く、検索者にストレスを与えていないか、画面がスマホ対応になっているか、期限切れの情報を掲載したままにしていないかなど。ユーザーの使い勝手が尊重されているか、再度、確認してみましょう。
【コンテンツの質】
検索アルゴリズムがアップデートされた後に、自社サイトの検索順位が大幅に下がった場合、原則としては、自社サイトに掲載しているコンテンツを見直す作業が優先されます。検索クエリの意味や、ユーザーが本当に求めている情報を正確に文書化し、SEO対策を施したコンテンツをもう一度意識して、作成してみましょう。

コンテンツマーケティングにおける効果想定とは?

廊下で腕を組み、微笑む若い女性

KPIの設定

それには、指標となるKPI(Key Performance Indicator)が大切な鍵となります。
これは、サイトのPV数、ユーザー数、サイト内の回遊率、問い合わせ件数、SNSでの拡散率など、何をCV(コンバージョン=訪問者にとって欲しい行動)に設定するかにより変わってきます。
コンテンツを見るために、どれだけのユーザーが来てくれたのかは、Googleアナリティクス※2を利用すれば、アクセス解析が可能です。読者が集まるコンテンツの把握や、何度もサイトを訪れるユーザーの年齢・性別・趣味などの属性が分かるため、ターゲット層に対して、効果的なコンテンツ施策が打てるでしょう。

PDCAサイクルの活用

そしてもう1つ、有効活用したいのが、「PDCA」サイクルです。
これは事業活動で成果を上げるため、多くの業界で利用されているチェック手法です。
Pは「Plan(計画)」、Dは「Do(実行)」、Cは「Check(評価)」、Aは「Action(改善)」の頭文字を取っています。
コンテンツマーケティングの効果を測定する上でも、このPDCAサイクルが大きく貢献します。
P、D、C、Aそれぞれに、以下の設定を行います。
Plan(計画):ペルソナの設定
コンテンツマーケティングは定義にも謳っている通り、リードや顧客にとって価値のあるコンテンツを継続して発信する手法です。それには、ターゲットとなるユーザー像の設定が、何よりも優先されます。可能な限り、詳細なデータをペルソナに反映し、人物像を肉付けすることにより、コンテンツの計画は立てやすくなるのです。
Do (実行):コンテンツを構築
ペルソナ設定が終わり、コンテンツやサイトデザインを作成したら、コンテンツマーケティングの運用をスタートさせます。
Check (評価):KPIの設定
KPIの指標は、何をCVに定めるかによって異なります。コンテンツマーケティング実施前のPV数、セッション数、ホワイトペーパーやeブックのダウンロード数、問い合わせのメール数などの分析データと、実施後のそれらのデータとを比較しましょう。施策の実施前と後とで、どの部分の数値が変化したか、明確になるはずです。
Action (改善):改善策を検討
コンテンツマーケティングの施策を実行に移した後は、それまでに集めた解析データを基準に、改善策を検討します。記事コンテンツのボリュームは十分足りているか、コンテンツの内容はユーザーのニーズに沿っているか、サイトのデザインやフォントサイズは適切かなど、サイト全体の見直しを行いましょう。
Googleアナリティクス※2
https://marketingplatform.google.com/about/analytics/

まとめ: コンテンツマーケティングの効果を確かなものにしよう

モバイルPCを開いて微笑む若い女性
今回は、コンテンツマーケティングの効果について、色々な角度から考察してみました。
コンテンツマーケティングの実践により、顧客ロイヤリティの向上、広告費の削減効果、コンテンツの資産化などのメリットが見込めます。
中でも、SEO対策には重要な役割を果たします。
検索順位を決定づける検索アルゴリズムは、いくつかの要素があり、その中でもコンテンツの品質が大きく関わっています。
コンテンツマーケティングにおける効果測定は重要です。それを測る指標はKPIですが、何をCVに定めるかにより異なります。
施策実施の前と後とで、変化した数値を見極め、データを解析して改善策に繋げるようにしてください。
コンテンツマーケティングという施策は、効果を最大化するためには、あらゆる角度から考察することが大切です。ただそれには、より専門性の高い知識とスキルが必要になります。大手企業ならともかく、中小企業においてはリソースの確保に苦労するかもしれません。
その場合は、外部のプロの知見を借りる、という選択肢もあります。
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大庭隆之
大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
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