コンテンツマーケティングの成功事例に学ぶ/厳選した企業サイトをご紹介


コンテンツマーケティングは、比較的新しいマーケティングの概念ですが、ビジネスシーンで登場し始めたのは、欧米で2010年ごろ、日本では2015年ごろでしょうか。
当初は、オウンドメディアにしても、「自社や自社製品・サービスのアピール」のツールとしての認識しかなかったようです。
コンテンツマーケティングのイメージも、「新しいSEOの手法である」、または、「ビジネスに関連したブログ記事を定期的に更新する」程度のものだったでしょう。
マーケティングのトレンドとして、ともかく始めてみた企業は多かったでしょうが、目覚ましい効果を実感できずに、なんとなく施策を打ち切ってしまったケースは枚挙にいとまがありません。
そんな中、コンテンツマーケティングという施策の本質を見抜き、自社のコアコンピタンスを背景としたコンテンツ戦略を行った結果、目覚ましい成果を上げている企業があります。
今回は、そのような企業の事例を追うことで、どこに成功の秘訣があるのか、推察してみたいと思います。

この記事の目次

コンテンツマーケティングの基本をおさえよう

微笑みながら両手の人差し指を差しのべる女性


コンテンツマーケティングとは何か、その定義と本質をしっかりおさえておくことは、他社の成功例を検証する上でも、重要な視点を与えてくれます。

コンテンツマーケティングの定義

「コンテンツマーケティング」という言葉が、日本のマーケティング関係者の間で使われ始めたころ、「新しいSEOの手法である」あるいは、「ビジネス関連のブログ記事を作成することである」という程度の認識にとどまっていました。
コンテンツマーケティングの第一人者にして知られ、コンテンツマーケティング・インスティテュートの創始者でもあるジョー・ピューリッジ氏は、コンテンツマーケティングの定義を次のように定めています。
「コンテンツマーケティングは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチである。自社の見込み客を引き付け、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としている」。

コンテンツマーケティングの本質とは?

コンテンツマーケティングは言うまでもなく、マーケティングの一手法に過ぎません。マーケティングとは、「企業と顧客とが良好な関係を築き、顧客が自社の製品やサービスを購入し続ける仕組み」を作ることにほかなりません。
自社の製品やサービスを闇雲にアピールするのではなく、見込み客や顧客が関心を持つであろうコンテンツを常に発信し、自社に関心を抱かせることがはじめの一歩です。そこから次第に製品・サービスに興味を起こさせ、最終的には購買行動に至らせることが、この施策の本質です。
では他社は、どのようにコンテンツマーケティングを行い、成果に結び付けているのでしょうか。その秘訣を、さっそく覗いてみることにしましょう。

成功事例1「HubSpot」


CRMプラットフォームを提供する、HubSpotが運営しているサイトです。
「ブログ記事の書き方」では、ブログ投稿の方法について詳細に説明しています。
記事の中では、無料でダウンロードできるテンプレートが紹介されており、自然な動線の流れで、読者の属性情報を入手する工夫が為されています。
他にも、「顧客維持」、「カスタマーエクスペリエンス」、「SEO」、「Instagramマーケティング」、「メールマーケティング」、「セールスプロスペクティング」など、セールスやマーケティングに携わる人に向けて、幅広く話題を取り入れており、
コンテンツマーケティングを実践する上で、示唆に富んだ情報がコンテンツとして扱われています。
☆「HubSpot」
https://www.hubspot.com/

成功事例2「salesforce blog」


クラウドアプリケーションやクラウドプラットフォームを提供している、株式会社セールスフォース・ドットコムが運営しているオウンドメディアです。
顧客情報を、マーケティングやセールス、サービス、ITなどすべての部門で共有するための、統合型CRMプラットフォームの普及を目的に、ツールの活用事例などが詳細に紹介されています。
また、「ビッグデータを使ったマーケティングのポイントと活用事例」や、「最近よく聞く『CDP』とは?そろそろ次世代の顧客体験を提供する基盤を考えよう」など、マーケティングのトレンドを意識したテーマを積極的に取り上げ、詳細に解説している記事も数多く掲載しています。
さらには、セミナーやウェビナーの開催を積極的に行っていますが、そのリポートもブログ記事として、面白く読めるように心配りがなされています。これは、見込み客=リードだけではなく、既存顧客の層に向けて、ツールのパフォーマンスを最大化させようという狙いがあり、ツール導入後もサービス向上に繋げています。
☆「salesforce blog」
https://www.salesforce.com/jp/blog/home

成功事例3「The Red BULLETIN」


同社は、エナジードリンクを提供する飲料メーカーであり、「The Red BULLETIN」は、同社が運営するオウンドメディア。
スポーツ好きの若者は、同社の扱う商品のターゲット層であり、彼ら向けに、興味を持ちそうな話題を取り上げています。
「セカンドウィンド:ロビー・ナッシュ」や、「五十嵐カノア:フリーワン」、「カルロス・サンタナのお気に入りのギターソロ」など、スポーツ界の第一人者やロック界の先駆者についてなど、多彩なトピックを取り上げています。一見、商品とは関係のない記事ばかりで、商品を売り込もうという意図は微塵も感じさせません。
商品の宣伝は一切行わず、ひたすらターゲット層が欲しがる情報を公開することで、自社への信頼を獲得しているのです。加えて、TwitterやInstagramへの拡散を狙い、検索によらない自然流入の拡大にも努めています。
☆「The Red BULLETIN」
https://www.redbull.com/us-en/theredbulletin

成功事例4「確定拠出年金スタートクラブ」


ここからは、国内の事例を見てみましょう。
株式会社りそな銀行が運営している、確定拠出型年金(iDeCo)に関する情報を発信しているサイトです。
ターゲットとする読者を、確定拠出型年金の初心者と仮定し、「確定拠出型年金とは?」、「確定拠出型年金の基礎知識」、「確定拠出型年金の商品」、「資産運用・資産形成」などにカテゴリーを分け、各々、詳細に解説しています。
ブログ記事は、「初心者向けコンテンツ」、「女性向けコンテンツ」、「公務員向けコンテンツ」に分かれており、それぞれの立場に密着した内容が充実しています。

「初心者向けコンテンツ」

人生の節目ごとに、おおよそいくら必要になるのか、モデルケースを参考に必要額を算出。資金確保の手段の一つとして、確定拠出型年金に興味を抱いてもらうことを目的としています。

「女性向けコンテンツ」

「主婦はiDeco(個人型確定拠出年金)で節税できるの?」では、収入のない専業主婦にフォーカス。iDecoに加入することで、税制面で優遇されるかなど、加入することによるメリット、デメリットなどを分かりやすく解説しています。

「公務員向けコンテンツ」

「もしもあの刑事ドラマの警察官二人がiDecoに加入したら」では、人気ドラマの登場人物がiDecoに加入するとどうなるか、楽しみながら確定拠出型年金への理解を深められるよう、記事にも読ませるアイディアがこらされています。
会員登録すると、確定拠出型年金に関する情報や、会員限定のコンテンツを入手できるようになっています。
☆「確定拠出年金スタートクラブ」
https://dc-startclub.com/

成功事例5「ferret One」

オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret one」を提供している、株式会社ベーシックが運営するWebマーケティングメディアです。
自分の欲求にまだ気付いていないユーザーよりも、目的意識がはっきりしている見込み客を前提としたサイト設計と、コンテンツ内容になっています。
「課題/業界別活用法」では、「サイトを立ち上げたい」、「DXを推進したい」、「業務効率化したい」、「LPを作りたい」、「IT/SaaS業界の活用法」、「製造業の活用法」、「コンサル行の活用法」など、業務別・業界別の課題を取り上げ、ferret Oenでどのように解決できるのかを明示しています。
また「導入事例・制作事例」では、会社規模や業種別に細かくセグメント化されており、読者は同ツールの持つ機能を、より身近にイメージすることが可能です。
☆「ferret One」
https://ferret-one.com/

成功事例6「MONEY PLUS」


会計ソフトや家計簿アプリを手掛ける、株式会社マネーフォワードが運営するオウンドメディア。お金全般に関わるトピックを、バランスよく取り上げています。
「ホワイトソース不要!『里芋マカロニグラタン』」や、「年末年始太りできるだけお金をかけず、健康的に解消する地道な習慣とは?」など、日々の食生活や健康などについての話題や、読者からの家計やローン、保険に関する悩みにフィナンシャルプランナーが解答するコーナーなど、記事の内容は多岐に渡ります。
また、不動産投資や資産形成セミナーなど、無料の各種ウェビナーへの参加もさかんに行っています。
同サイトのコンセプトは、「日々の暮らし、人生を豊かにする『くらしの経済メディア』」。とかく難しく捉えられがちな「お金」というものを、読者がより身近に、分かりやすく、自分事として考えられるようにすることを目的としています。人生設計に不可欠な資産・投資運用、保険、住宅ローンなど、各ライフステージで必要となるお金について、必要に迫られて対応するのでは遅いのです。日ごろから意識するように、無理なく情報に接することを心掛けて、サイト作りがなされています。
☆「MONEY PLUS」
https://media.moneyforward.com/

成功事例7「Gaiax ソーシャルメディアラボ」


SNS運用代行及びコンサルティング、Twitterアクティブサポート、ソーシャルリスニング(SNSの口コミ分析、)、各種データ分析などの事業を手がける、株式会社ガイアックスが運営しているSNS運用に特化した情報発信サイトです。
同オウンドメディアの開設目的を、「マーケターや企業の広報担当者が、ソーシャルメディアを有効に活用できるよう、実践的な利用方法の研究・情報発信」と定めています。
取り扱う具体的な内容としては、FacebookやTwitter、LINE、Instagramなどのソーシャルメディアに関連した、最新ニュースや運用ノウハウ、事例などをいち早くキャッチして、同社の知見に照らし合わせて分析・公開しています。
ツール開発担当者や、先進事例を持つ企業の広報担当者に実際に取材をかけてインタビュー記事に仕上げ、貴重な一次情報を読者に提供していることも特徴の一つです。
☆「Gaiax ソーシャルメディアラボ」
https://gaiax-socialmedialab.jp/

成功事例8「A Tropical Garden」


福岡に拠点を置き、観葉植物レンタル、グリーンディスプレイの制作を請け負う井上熱帯園株式会社は、「A Tropical Garden」というオウンドメディアを運営しています。
掲載されている記事は、観葉植物についての知識や、育て方のノウハウなど、観葉植物に特化した内容になっています。
サイトを立ち上げる際のコンセプトは、「日本で一番良い観葉植物のメディア」というものです。もっと、観葉植物の良さを多くの人に知ってほしい、という情熱が伝わってくるとともに、観葉植物を手掛ける同社の姿勢がうかがわれます。
この事例から分かるように、コンテンツを観葉植物やオフィスの緑化に特化して扱うことにより、読者から「ちょっと覗いてみよう」という興味を引き出すことができます。そして、いつしか、「観葉植物ならこの会社」というように、
専門性を獲得し、企業に対する信頼感を勝ち得たのです。
コンテンツの作成においては、「これなら、どの会社にも負けない」というテーマを絞り、自社の強みをコンテンツで表現することで、ブランディングにつなげることが可能になるのです。
☆井上熱帯園株式会社「A Tropical Garden」
https://a-t-g.jp/

成功事例に共通するポイント

外国の街並みと「MARKETING」の文字」


以上、国内外のコンテンツマーケティングの成功事例を、いくつかご紹介しました。ここまで読まれた方は、あることにお気づきになられたことでしょう。
そう、以下の2点です。

自社の宣伝のように、押しつけがましい情報がない

どのメディアを見ても、自社の製品・サービスを大きく取り上げているサイトは皆無です。いずれも生活者の視点に立ち、一見その企業とは関係なさそうなトピックを取り上げ、読者に記事を楽しく読ませる工夫を凝らしています。
「MONEY PLUS」では、料理のレシピや健康にまつわるエピソードなど、日常で会話のきっかけになりそうな話題を扱っています。
日本では昔から、「お金」というものに対し、「おおっぴらに扱わない」といった忌避する観念がありました。
生活に身近なトピックを発信し続けることにより、ライフステージで付きものの「お金」に関する意識を高めるよう、コンテンツが用意されています。
同サイトを運営しているマネーフォワードは、会計ソフトや家計簿アプリを手掛けている企業です。読者に無理なくお金に関する情報に接してもらい、お金に対するアレルギーを解消してもらう。そしてお金を効率よく管理したいと思い立った時には、同社の名前が頭に浮かぶという具合です。
他社についても同様で、声高に自社の名前や商品を叫ぶのではなく、さりげなく匂わせるだけにとどめます。そして何度も自社サイトに訪問してもらうことで、自社の存在を読者に刷り込む。これはまさに、コンテンツマーケティングのブランディング効果といえるでしょう。

マス広告、SNSとうまくコラボレーションしている

企業が情報発信する上で、重要な役割を果たす3つのメディアがあります。
一つは、マスメディアを代表とする「ペイドメディア」。これは、費用を払って、企業名や商品などを宣伝させるメディアです。一時的に情報を広範囲で広めたい時には有効です。インターネットが普及するまでは、情報を発信する手段としては主流でした。
もう一つは、SNSなどの「ソーシャルメディア」です。これには、FacebookやTwitter、Instagramなどが含まれます。SNSが活用されることにより、一般消費者の情報発信力は格段に向上しました。ある商品の購入を検討している人は、まずSNSで口コミを調べ、それからメーカーのサイトに流入し、基本情報を得る、という新たな訪問ルートが見られます。
そして最後は、「オウンドメディア」です。企業のオウンドメディアは、ここ数年で盛り上がりを見せていますが、主に企業サイトに注目が集まっています。既にご存じのように、オウンドメディアとは、ネット上のサイトはもちろん、会社案内やチラシなどの紙媒体、メールマガジンなど、その企業の持つすべてのメディアを指しています。コンテンツマーケティングの主戦場は企業サイトですが、これらあらゆるメディアから流入してくる訪問者が相手となるのです。
上記で述べた3つのメディアを、「トリプルメディア」と称して、相互活用することにより、そのシナジー効果を狙った展開が多く見られるようになっています。
先に触れた「The Red BULLETIN」は、テレビCM「レッドブル、翼をさずける」でおなじみのRedBULL社は、ドリンクメーカーとしての認知は十分に獲得しています。これにより、検索サイトからの自然流入は促進され、スポーツやエクササイズに関心を寄せる読者を定着させるきっかけ作りになるでしょう。
また、「Gaiax ソーシャルメディアラボ」は、まさにSNS運用に特化した情報発信サイトです。、FacebookやTwitter、LINE、Instagramなどのソーシャルメディアで扱われた最新のトピックを、素早くキャッチして、独自の知見で分析・公開しています。

まとめ:成功事例から学ぶコンテンツマーケティング

笑顔で右手の人差し指を出す女性。


今回は、コンテンツマーケティングの施策について、企業の成功事例を国内、海外を交えてご紹介しました。
どの企業を見ても、一方的な自社製品・サービスの宣伝はありません。その代わりに、自社がターゲットとする読者が関心を寄せそうな情報、あるいは役立ちそうな情報を、継続して配信することに心を砕いています。
これにより、企業ブランドの刷り込みに成功しています。
また、オウインドメディア単独での施策ではなく、ペイドメディア、ソーシャルメディアとの連携により、トリプルメディアの相乗効果を狙っている企業が目立っています。
弊社は、コンテンツマーケティングには欠かせない、コンテンツ制作の代行はもちろん、SNSでコンテンツマーケティングを効果的に展開させるスキルを有しています。
お気軽に、ご相談ください。
デファクトコミュニケーションズ
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大庭隆之
大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
コンテンツマーケティングを成功に導く3つのステップ