「クリニックを新規に開業したい」「新たな顧客層を開拓したい」といった場合、いかに広くクリニックの良さを知ってもらうのかが重要な課題です。総務省が公表している「通信利用動向調査」によると、2019年における個人のインターネット利用率は89.8%でした。もはやサイトによる集客は、ごく当たり前の運営戦略ですが、ただサイトを開設しても、新しい患者さんは訪れません。似たようなクリニックのサイトが並ぶ中で、「いかに自クリニックの魅力を伝えられるサイトを作れるか」が大きなカギとなるでしょう。
ここでは、患者数の増加が期待できる有用なサイト作りのためのSEOの知識と、効果的なコンテンツについて解説していきます。
この記事の目次
クリニック経営とSEO対策
東京都の調査によると身体に不調を感じたとき、医療機関を探すのにインターネットを使う人の割合は7割にも及びます。検索の目的は、ただ近くにあるクリニックを探すだけではありません。受診したい診療科について、開業時間といった基本情報のほか、専門性などの詳細な情報まで調べるのに利用されています。
つまり、新規患者の来院は、「インターネット上に患者が求める情報をどのくらい提供できるのか」に大きく関係しているのです。患者に自分のクリニックの情報を見てもらうためには、まずクリニックのサイトに誘導する必要があります。
インターネットでクリニックを探すときに多くの人が使う検索サイトでは、検索結果の順位が下になればなるほど、クリックされる率が低下します。つまり、検索サイトから自サイトへの流入を増やすためには、SEO対策を行いサイト上位に表示されることが重要なのです。
漫然とクリニック紹介のサイトを作って安心していては、患者を逃すことになりかねません。これからのクリニック経営において実施すべきは、充実した情報を提供するサイトの構築とSEO対策です。
SEO対策の成功のカギ
SEOとは、「Search Engine Optimization」の略語で、日本語では「検索エンジン最適化」と呼ばれています。SEOについて検討するためには、まず検索エンジンの仕組みについて正しく理解することが大切です。
検索結果上位に表示されるためには、ある一定の条件があり、検索エンジンが条件に対して適切と判断したサイトが、上位表示されます。検索サイトに「好まれる」サイトとは、どのようなものなのでしょうか?
検索エンジンの仕組みは、簡単に説明すると以下のような流れです。
- クローラーと呼ばれるプログラムがインターネット上にある情報を収集する
- 解析によって検索キーワードとの関連性を判断し、検索結果に表示する
検索エンジンの評価項目は、200以上あるといわれています。キーワードの適切な配置や各種タグの設置、整理されたサイト構造などが有名です。そうした技術的なもの以外にも重要なのが、コンテンツの中身といえるでしょう。
コンテンツの価値は、「専門性」「権威性」「網羅性」「信頼」といった指標によって判断されます。つまり、ユーザーにとって有益な情報を分かりやすく伝えられていることが大切なのです。例えば、いくらページ数が多くても、内容が薄くキーワードに対して関連性のない記事ばかりであれば、検索エンジンは評価してくれません。
クリニックのサイトへ医療機関を探す患者を呼び込むためには、技術面とともにコンテンツの充実を図ることが必要です。
患者は何を求めている?クリニックで求められるサイトコンテンツとは
SEO対策を施して上位表示が成功しても、サイト自体が患者のニーズに応えていなければ、来院するまでには至らない可能性もあります。クリニックのサイト作りで考えなければならない具体的なポイントとは、いったいどんなことでしょうか。
クリニックに限らず、ユーザーから求められるのは、ユーザビリティの高さです。何かを知ろうとしている人に対しては、すぐに情報を差し出さなければなりません。特に、クリニックを探しているのは、何らかの症状を抱えた患者や、患者の家族などです。
どこをクリックしても見たい情報が出てこないサイトでは、すぐに見捨てられてしまいかねません。情報が見やすいサイトは、構造がシンプルで良く整理されています。検索サイトからも高く評価され、結果的にSEOとしても有効です。
次に、クリニックのサイトとして必要なコンテンツを考えます。診療科については、「具体的にどのような診察を行っているのか」など、設備面を含めて示すと具体性が増すでしょう。内視鏡や、超音波、エコー、スパイロメーター、眼底カメラなど検査や治療に関わる機器や設備を紹介することで、クリニックの診療範囲がイメージしやすくなります。
院長をはじめとする医師については、経歴や実績に加えて人柄も紹介するなど工夫をすることで親近感や安心感が増します。その他の医療スタッフについても、顔写真入りで掲載すると、より一層効果的です。美しくモダンなイメージ写真を掲載しているところもありますが、具体的な情報を伝える意識が大切になります。
さらに、初めて来院する人に対しては、外観写真があると探しやすくなるため、患者のニーズを満たすことが期待できるでしょう。診察室や処置室、待合室、キッズスペース、手洗い所、駐車場などの様子が分かると、初診でも安心して来院できます。見落としがちですが、エントランスの階段や玄関での脱着についても、画像で伝えておくと親切です。
一般的な必須情報としては、以下のようなものがあります。
・住所・電話番号
・最寄り駅(徒歩〇分など)
・診療時間・休診日
・予約必要の有無
さらに、コンテンツの充実を図るために、差別化できる要素を探します。専門家としての知見を活かし、診療分野に関わる情報をコラムやブログといった形で発信するのは、非常に強力なコンテンツとなるでしょう。なかには、「診察に訪れる前に自分の状態について確認したい」「知識として病気について知っておきたい」という人もたくさんいます。
患者ではなく、一般の人に対してもクリニックの存在を認知される機会を広げる非常に有効な方法です。サイトのコンテンツで情報を発信しながら、潜在的顧客にアプローチする手法をコンテンツマーケティングと呼びます。クリニックのサイトにおいても、この手法を取り入れることで、これまで以上に集客のチャンスが得られる可能性があります。
患者の満足度を向上させられるコンテンツを盛り込んだサイトは、選ばれるクリニックとなるための大きな武器です。ストレスなく欲しい情報が入手でき、クリニックを選ぶメリットと来院のイメージを与えられるサイトが理想的といえるでしょう。
クリニックにおけるコンテンツマーケティング成功事例
クリニックでサイトを使った集客の成功事例と、コンテンツ内容の特徴を3つ紹介します。
・とうきょうスカイツリー駅前内科(東京都墨田区)
難病とされながら、なかなか知る機会のない、リウマチや膠原病に特化した情報を発信。新しい治療法や海外の例、暮らし方への注意やアドバイスといった内容を幅広く、分かりやすく伝えています。
病気で苦しむ患者や、その家族・周囲の人に対しても、役立つ情報を提供。専門クリニックとしての認知度向上に寄与する、優良コンテンツのお手本となりそうです。
・おかざき歯科クリニック(神奈川県横浜市戸塚区)
「歯医者が教える歯のブログ」が掲載されるクリニックのサイトは、本格始動した2014年4月から約5ヵ月で月間500万PVを記録するほどの人気となりました。虫歯治療や、インプラント、歯列矯正、親知らずの抜歯など、各年代層が気になるテーマを歯科医ならではの視点から分かりやすく解説。
「診療圏を広げたい」というブログ開設の狙い通り、遠方のエリアからの診療希望者が増加しています。
・耳鼻咽喉科 渡辺医院(千葉県松戸市)
他人には理解されにくく、つらい「耳鳴り」や「めまい」。こうした症状についての原因や治療法に特化した、他ではあまり見られないサイトです。耳鳴りの基本情報や、セルフチェックの方法、耳鳴りの種類などが網羅的に解説されています。
サイト内からは、耳鳴り外来の予約に進むことができ、情報を読みながら来院へとつながる流れができています。患者が欲しい情報を的確に提供し、来院を促すクリニックのサイトとして、秀逸な作りといえるでしょう。
SEOを知らずにクリニックの集客は成功しない
クリニックが患者数を増やしたいのであれば、現代社会の患者の行動と、検索サイトの仕組みを理解することが必要です。SEO対策を施したサイトにより、検索サイトからの流入を戦略的に図ることで、クリニックを探す患者が実際に来院することへとつながっていくでしょう。
患者にとって使いやすく、優れたコンテンツで有益な情報提供をするサイトこそが、SEO対策の要です。充実したSEO対策と共に有益な情報を提供するベストなサイト作りを目指しましょう。
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