他社との差別化を図る上で、重要な戦略の1つが「ブランディング」です。この「ブランディング」という言葉はビジネスに身を置く方であれば、頻繁に耳にする用語ではないでしょうか。今回は、Apple社の足跡を辿りながら、コーポレートブランディングとそのデザイン方法について解説していきましょう。
この記事の目次
スマートフォンのスタンダードとしての存在
今や世界的なハードウェア及び、ソフトウェアメーカーとして君臨するApple社。代表的な製品であるiPhoneやMacbookに共通するのは、デザインのシンプルさではないでしょうか。
1997年、カリスマ経営者として名を馳せた故スティーブ・ジョブズ氏が経営不振にあえぐApple社にCEOとして復帰しました。その当時、 webサイト制作やその他のクリエイティブに関するデザイン業界では、シンプルさがトレンドの一つでした。その流れをいち早く自社の製品に取り入れたApple社の製品は、かなりのインパクトをもって市場に受け入れられたのです。メディアにも好意的に取り上げられました。
それ以来、常にジョブスに付き添い、ビジョンを共有しつつ、iPhoneやMacのデザインに携わったのが、ジョナサン・アイブ氏です。アイブ氏がデザインする上でイメージしたのは、「ユーザーが製品をどう受け止めるか」という点だったといいます。一般的にありがちな、「デザインはただの差別化に過ぎない」との考え方を否定したのです。
iMacの開発過程では、市場におけるシェアや演算処理速度ではなく「ユーザーがこの製品を使用した時に何を感じるか」にこだわったと言います。もちろんiPhoneの開発の際も、ディスプレイを尊重するデザインを心掛けたのです。
初号機が登場してから10年という時間をかけ、iPhoneはスマートフォンのスタンダードとしての存在にまでなりました。
「Apple社らしさ」への追求
プロダクトのデザインにおいて、アイブ氏が念頭に置いたのが、「デザインのシンプルさは、ユーザーのコンテンツを最適な状態で提示するためのもの」ということでした。流行に敏感に反応し、他社に先駆けてデザインにシンプルさを取り入れたことは、Apple社の先見の明を端的に表しています。
しかし、ただ製品の機能を削ぎ落し、シンプルさをアピールしたのではありません。アイブ氏は「デザインのはじめの段階で、製品のストーリーについて考える。ユーザーがその製品を使った時に何を感じるか。モノではなく、感情について語り合う」と述べています。
Apple社には、機能よりも優先するものがありました。それは、「その製品が、ユーザーの心のどの部分を占めるのか」という考えに基づき、自社の製品で顧客に満足を与える、というコンセプトです。その根底にあるのは、デザインとインターフェイスとの最適な統合であり、それこそが「Apple社らしさ」と呼べるのです。
自社でなければできない事業を考え抜く
Apple社は、デザインとユーザーの操作性との理想的な融合を目指しました。初代iPhoneをデザインした際、最も重要視されたのは「マルチタッチ」でした。指で操作を行えて、かつ妥協なく自然に使えるディスプレイの実現だったのです。人と機械を結ぶインターフェイスのデザインを追求する中で、世にApple社ブランドを浸透させることに成功しました。
ブランドを構築していく作業は、突き詰めれば、その企業でなければできない仕事を追求していくことにほかなりません。経営者は自社の理念や方向性を明らかにし、自社でなければできない事業を社会に示すべきなのです。
Apple社は、ユーザーがApple製品を使用することで、どのような満足が得られるか、徹底して考え抜きました。その結果、多くの熱烈なAppleファンに支えられ、「スマートフォンといえばiPhone」と連想させるまでに至りました。
市場シェアよりもユーザーの満足感に目を向け、それが「Appleらしさ」というブランドに結実しました。Appleブランドは、市場において二つとない存在感を示し、圧倒的な優位性を確立したのです。
まとめ
このように、発展途上にある中小企業こそ、規模は小さくても、自社にしかできない事業に取り組み、自社の企業文化を作っていくべきと考えます。
自社は何を大切にしているか?
コーポレートアイデンティティはどこにあるか?
経営者は社内や社外のすべてのステークホルダーに向けて、メッセージを発信するべきなのです。企業は利害関係のある他人の集合体ですから、明確な方向性を示す必要があります。ゴールを設定して、そこへたどり着くための考え方が重要です。そのためには、社員をまとめるコンセプトが必須となり、それこそが市場における優位性ではないでしょうか。
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