企業のマーケティング活動において、メディアを有効に使いこなすことは、トレンドであると同時に、これからまずまず重要な資質と言えるでしょう。メディアにも色々と種類がありますが、中でも昨今、注目を集めているのが「オウンドメディア」です。これは、企業サイト、メールマガジン、会社案内、商品の解説書など、企業が所有するメディアの総称です。
このオウンドメディアの機能を、最大化する上で要となるのが、「コンテンツマーケティング」です。
この稿では、コンテンツマーケティングの知識や、実務レベルでの知恵を学ぶ上で参考になる書籍をご紹介します。
この記事の目次
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングという概念が、日本のマーケティング関係者の間でもてはやされたのは、2015年以降ですが、当時はまだ、「SEOの新しい手法である」、あるいは「ビジネスに関連したブログ記事を、自社サイトに掲載することである」という程度の認識でしかありませんでした。
コンテンツマーケティングの先進国である米国では、既に、マイクロソフトやP&G(=プロクターアンドギャンブル)など、世界的な大企業が、コンテンツマーケティングを活用して効果を上げています。これらの企業が、コンテンツマーケティングを実施する理由について聞かれると、以下の3点を挙げています。
① コストの削減効果。
② 売上の拡大。
③ その企業に好意を抱く、優良な顧客の獲得。
コンテンツマーケティング・インスティテュートの創始者、ジョー・ビューリッジ氏はコンテンツマーケティングを以下のように定義しています。
「コンテンツマーケティングは、価値のある一貫したコンテンツを作成・配布することに焦点を当てた、戦略的なマーケティングアプローチです。自社の見込み客を引き付け、最終的には収益性の高い購買行動を促すことを目的としています。」
企業にとって、顧客との接点を良好に保つことは、マーケティングの第一歩です。それには適時、情報発信することが必要ですが、その際、自社製品・サービスを一方的に売り込むのではなく、自社がターゲットに定めた見込み客や顧客層が、関心を持ちそうなコンテンツを提供することが重要です。その行為を繰り返すことにより、彼らに製品・サービスに徐々に目を向けてもらい、購買行動を起こしてもらうこと。これが、コンテンツマーケティングの最終目標です。
コンテンツマーケティングを学ぶための書籍8選
ここでは、コンテンツマーケティングを学ぶ上で、参考になる書籍をいくつかご紹介しましょう。
「エピック・コンテンツマーケティング~顧客を呼び込む最強のコンテンツ~」
著者:ジョー・ビューリッジ氏 出版社:日本経済新聞社
著者は、コンテンツマーケティングの第一人者と称される、ジョー・ビューリッジ氏。「何を売るかではなく、顧客に何ができるか。」
コンテンツマーケティングの意義、作成・配布方法、管理方法までを、段階を踏んで分かりやすく解説しています。
本書では、コンテンツマーケティングを「有益で説得力のあるコンテンツを制作・配信することにより、オーディエンス・ターゲット(顧客)を引き寄せて獲得し、顧客エンゲージメントを作り出すための手法」と、かなり明確に定義しています。
具体的には、以下の5つの要素を満たすことが重要であると説きます。
1.自社にとって何を達成することが目標か、はっきり認識する。
2.自社がターゲットとする人物像、ペルソナをしっかりイメージする。本書では、「オーディエンスの定義」としています。
3.コンテンツマーケティングの活動を、販売サイクルにあてはめることが重要。
4.ニッチを選択することの意義。著者は「市場が小さければ小さいほど、大きな利益を生む」と述べています。
5.会社の存在意義を十分に議論し、関係者が共有すること。「ミッションステイとメント」の大切さを強調しています。
「Webコンテンツマーケティング~サイトを成功に導く現場の教科書~」
著者:株式会社日本SPセンター 出版社:エムディエヌコーポレーション
「コンテンツマーケティングを一から始めたい」と考えている、現場の担当者向けの実践書です。
本書は、全部で9章に分けられており、各章を学ぶことにより、コンテンツマーケティングの全体像を掴むことができるでしょう。
CHAPTER1:コンテンツマーケティングの基本概念
CHAPTER2:コンテンツマーケティングの始め方
CHAPTER3:マーケティングコンテンツのつくり方
CHAPTER4:コンテンツマーケティングの4つの型
CHAPTER5:購買態度変容フローで考えるコンテンツのアイデア
CHAPTER6:コンテンツを広める
CHAPTER7:コンテンツのチューニング
CHAPTER8:コンテンツマーケティングの成功事例
CHAPTER9:コンテンツマーケティングQ&A
本書では、コンテンツマーケティングを「コンテンツの重要性を見直す動き」と捉え、コンテンツを起点にマーケティング戦略全体を設計することを目的としています。コンテンツマーケティングの概念の説明に始まり、戦略の立て方、コンテンツの作り方など、実践方法について可能な限り、かなりの紙面を割いています。読者の個々の状況に合わせて使えるように、商品やサービス別の適用方法を紹介しているにほか、コンテンツマーケティングを適用しない方が良いケースにも触れている点がユニークです。
イラストや図解などを多用し、実践的な手順を簡易に説明している実用書です。
「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本~人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り~」
著者:宗像 淳(すなお)氏・亀山 將(まさし)氏 出版社:インプレス
コンテンツマーケティングの入門者に向けた、全体像としての概念や、実践的な手法について解説した実用書です。
販売チャネルが多様化する今日、無数の情報の中からいかに自社を選んでもらい、自社のコンテンツを興味深く受け入れてもらえるか、あらゆる角度から解説しています。また、自社コンテンツと他コンテンツとをいかに差別化するかについて、かなりのエネルギーをもって詳細に述べている点が特徴です。ペルソナを設定し、カスタマージャーニーマップやコンテンツカレンダーを作成して取り組むなど、最新のWebマーケティングアプローチの手順も詳しく説明されています。
Chapter1:コンテンツマーケティングの考え方をマスターしよう
Chapter2:コンテンツの種類や特徴を理解しよう
Chapter3:顧客視点のマーケティング戦略を理解しよう
Chapter4:読み手に響くコンテンツの作り方を理解しよう
Chapter5:制作したコンテンツの影響力を最大化しよう
Chapter6:KPIを設定してPDCAサイクルを回そう
Chapter7:ひとつ上のマーケティング
「できるところからスタートするコンテンツマーケティングの手法88」
著者:敷田憲司氏、岡崎良徳氏、岸 智志氏、納見健悟氏
出版社:エムディエヌコーポレーション
基本的なSEOやHTMLの知識、サイト構築、コンテンツ制作、読まれやすくなる記事のライティング方法、ユーザーの誘導・集客を目的としたリスティング広告など、企業サイトを運営する上で必要なポイントが分かりやすく書かれています。本書を読んだ読者が、「自社のユーザーにとって、何が適切なコンテンツなのか分からない」、「うまく落とし込めない」といった悩みを解決できるよう、一つ一つの理解を深めた上でコンテンツを作成し、改善策を講じることができるまで、工夫を凝らした執筆が為されています。コンテンツマーケティングに十分な予算を割けない、という中小企業のWeb担当者でも、実行できる有益な知識が盛り込まれています。
Chapter1:コンテンツマーケティングとSEOの基本
Chapter2:オウンドメディアとコンテンツ作成
Chapter3:SEOで効果を上げるライティング術
Chapter4:SEOを意識したWebサイトの制作
Chapter5:リスティング広告を使った誘導・集客
「KPI・目標必達のコンテンツマーケティング 成功の最新メソッド」
著者:敷田憲司氏・徳井ちひろ氏 出版社:エムディエヌコーポレーション
コンテンツマーケティングの本来の意味、種類、効果を知ることにより、コンテンツマーケティング施策を成功に導くための基本知識が紹介されています。また、「何を目標とするのか」、「KPIをどう設定するか」など、読者は自社のビジネスモデルと照らし合わせ、最適な道筋を探ることが可能です。加えて、目標やKPIを見据えたコンテンツ作成と、施策の一連の流れについて書かれており、ライティングやネタ作りの基礎も学べます。さらに、自社サイトにアップしているコンテンツを資産と捉え、日々の分析・運用・管理が大切であると説き、各種分析ツールの紹介、SEOの基本や集客方法なども分かりやすく解説しています。
業種・業界別に、最適なコンテンツ戦略や、実際に成功しているBtoB、BtoC企業のインタビューも掲載されています。
「BtoB企業のためのマーケティングコンテンツ制作ガイド」
著者:宮崎晃彦氏 出版社:金風舎
BtoB企業に特化した、マーケティング・セールスプロモーションに15年以上も取り組んできた著者が、従来型の非効率で属人的な営業手法を刷新し、「見込み客に見つけてもらい」、「選んでもらい」、継続した売上を作る仕組み化を提案しています。
Introduction
・デジタルツールの導入だけでは解決しない 巷で言われる「BtoBマーケティングの落とし穴」
・Btob企業の「売り方改革」 肝は「マーケティング」+「コンテンツ」+「アウトソース」
・Btob企業の「売り方改革」 経営層とマーケティング、営業推進担当者が理解すべきこと
Chapter1:マーケティング/日本のBtpB企業に必要な「売り方改革」とは?
Chapter2:BtoBセールスツール&コンテンツ 効果的な整備方法とアウトソース
Chapter3:BtoBマーケティング実践
Chapter4:これからのBtob企業マーケティング
「DX時代のコンテンツマーケティング」
著者:田所浩之氏 出版社:Content Marketing Academy
DX時代に最適化した、次世代を見据えたコンテンツマーケティング手法を整理した一冊です。
従来の実践ノウハウに加え、DXの視点を取り入れて、コンテンツマーケティングの応用範囲を広げる試みを行っています。また、BtoC、BtoBそれぞれ異なるコンテンツ戦略立案への理解を促しています。コピー発想法、コンテンツSEO、インフルエンサーマーケティングなど、コンテンツ制作及び拡散する上で役に立つ手法を幅広く整理しました。さらに、コンテンツマーケティングの手法をアップデートすることにより、CXやDXの現場においても、すぐに活用できる実践的な手法を紹介しています。
「オウンドメディアのやさしい教科書。ブランド力・業績を向上させるための戦略・制作・改善メソッド」
著者:山口耕平氏・徳井ちひろ氏 出版社:エムディエヌコーポレーション
多くの企業は、「オウンドメディアを立ち上げたいが、社内の理解が得られない」、「コンテンツを増やしても流入が増えない」、「折角来訪してくれたユーザーがすぐに帰ってしまう」、「効果測定の方法が分からない」などの課題を抱えています。
本書では、マーケティング担当者が、オウンドメディアを運営する上でつまずきやすい課題を取り上げ、オウンドメディアの基礎知識に始まり、Googleアナリティクスなど解析ツールの使い方など、課題解決に欠かせない要素について分かりやすく整理し、まとめています。
また、有名なオウンドメディアを運営する担当者に取材し、成功の秘訣について語ってもらっています。オウンドメディア初心者のみでなく、既にオウンドメディアを実践している方にとっても、成功へのヒントが見つかるのではないでしょうか。
オウンドメディアを始めるにあたっての準備、心構え、オウンドメディア自体の設置、コンテンツの作成、効果測定と改善ポイントまで、オウンドメディアの立ち上げと運営に関わる、あらゆる情報を網羅しています。
実際に成果を上げている成功事例のほかに、現場で発生しやすい失敗事例なども掲載されており、オウンドメディアを運営する上で、必要になるノウハウが習得できる一冊と言えるでしょう。
Chapter1:オウンドメディアとは
Chapter2:失敗するオウンドメディア
Chapter3:事前の準備
Chapter4:オウンドメディア制作
Chapter5:コンテンツ制作と運用
Chapter6:コンテンツの効果測定と改善
Chapter7:成果を上げるためにひつようなこと
Chapter8:成功しているオウンドメディア事例
まとめ:良書で知識を蓄えながら、常に実践に活かす意識を持とう
今回は、コンテンツマーケティングを本格的に学びたい方のために、お薦めの良書をご紹介しました。
一口にコンテンツマーケティングに関しての書籍と言っても、初心者向けに、基礎知識の紹介に終始した本がある一方、実務者レベルの現場ですぐに役に立つ情報を網羅したものなど、様々です。
実務書をやみくもに集めてみても、知識を詰め込むだけでは余り意味がありません。知識は蓄えながら、常に自身の業務にどのように活かせるかを意識し、実践することが求められます。
ただその際、全て自分だけの解釈で済まそうとすると、現実との齟齬が生じてしまうこともあるでしょう。そうならないためには、外部のプロの知見を参考にする、という選択肢もあります。
弊社では、コンテンツマーケティングを実施する上で欠かせない、オウンドメディア用のコンテンツの企画・制作を承っております。
お気軽に、ご相談ください。
デファクトコミュニケーションズ
コンテンツマーケティング
https://defacto-com.net/service/contents/contentsmarketing/
コンテンツ制作お役立ち資料
無料ダウンロード
業界別のお役立ち情報、
各種フレームワーク集などをご用意しました。