コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとは?/どのような意味を持ち、いくつ種類があるのか

黒板に「CONTENT MARKETING」の文字」

コンテンツマーケティングは、効果が現れるまでに時間がかかり、施策のターゲットとなる顧客に合わせて、コンテンツも相応しいものを選ばなければなりません。

それには、コンテンツの種類について、詳しく理解しておく必要があります。

そこで今回は、コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの意味と、その種類、そして利用するタイミングと効果について、詳細にご紹介しましょう。

この記事の目次

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングの定義と目的について、おさらいしておきましょう。それにより、理想とするコンテンツの姿が、おぼろげながら見えてくるのではないでしょうか。

コンテンツマーケティングの定義

コンテンツマーケティングの先進国であるアメリカにおいて、同施策の提唱者であるJoe・Pulizzi氏は、CONTENT MARKETING INSTITUTE(CMI)の創始者でもあります。

CMIはそのサイト内において、コンテンツマーケティングの定義を次のように述べています。

「コンテンツマーケティングとは、自社が明確に顧客と位置付けるユーザーを引きつけて維持し、最終的には収益性の高い購買行動を促すマーケティング手法である。そのために、ユーザーにとって価値があり、関連性があり、一貫性のあるコンテンツを、作成・配布することを重視して、戦略的にアプローチを図る必要がある」。※1

※1「CONTENT MARKETING INSTITUTE」

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コンテンツマーケティングの本質

企業側が一方的に、自社製品やサービスについての情報を発信する代わりに、自社がターゲットに定める見込み顧客や顧客が抱える課題を解決するため、彼らにとって有益なコンテンツを提供すること。これが、コンテンツマーケティングの本質です。

コンテンツマーケティングの目的

企業が、しかるべき予算と人材を投じて事業を行う以上、限られた期間内に、定められた目標を達成することが求められます。

コンテンツマーケティングという施策においても、明確な目的の設定が前提となります。流行りのマーケティング手法だからと、何の戦略もなくコンテンツマーケティングに着手した企業の多くは、この目的をしっかりと定めていないばかりに、施策の効果が目に見えて現れてこないのです。

コンテンツマーケティングの目的は、企業名や自社製品・サービスの認知なのか、あるいは、問い合わせの件数を増やすことなのか、売り上げの向上なのか。それにより、コンテンツの内容は異なります。

ただ、コンテンツマーケティングの定義を、今一度思い返してください。

コンテンツマーケティングは、価値のあるコンテンツを作成・配布することで、自社の見込み客を引き付け、最終的には収益性の高い購買行動を促すことが最終的なゴールなのです。つまり、いくつかある目的は、見込み客を自社製品・サービスの購入へと導くためにある、マイルストーンとみることができるのです。

「コンテンツ」とは何を指すのか?

では、「コンテンツ」とは、そもそも何を指すのでしょうか?

この記事をお読みの方の中には、コンテンツマーケティングの初心者が多いのではないでしょうか。当たり前のように使われているこの「コンテンツ」という言葉。どんな意味か、ご存じですか?

日常やビジネスシーンにあふれる「コンテンツ」

今や、日常生活では、インターネットを介したWEBサービスは、欠かせないアイテムとなっています。YouTubeを筆頭にした動画サイト。映画やドラマを配信する有料サイト。ほかにも、アニメーションやバラエティなど、多様なコンテンツで彩られています。

ビジネスシーンにおいても、企業が運営するサイトでは、その会社が扱う製品やサービスについて、盛んに情報発信が行われています。ネットが普及するまでは、ごく限られた関係者しか知り得なかった情報が、一般の消費者でも、指一本で手に入れることができるようになりました。

「コンテンツ」とはメッセージ

企業の情報発信の有力な手段として、ここ数年で注目を集めている「オウンドメディア」や、FacebookやTwitterに代表される「ソーシャルメディア」。

「メディア」とは、英語で「媒体」あるいは「媒介」を意味しますが、これは、「メディアは、メッセージを伝えるための媒体である」と解釈できます。

「メディア論」で有名な、カナダの英文学者であり、文明批評家としても名を馳せたHervert Marshall McLuhan(=ハーバート・マーシャル・マクルーハン)氏は、「メディアはメッセージである」と説きました。そして、自著の中で彼は、「電気の光はコンテンツのないメディアの代表である。しかし、それが何かを照らす時、その照らすものがコンテンツそのものなのだ」と述べています。

企業がある意図のもとに情報を発信する時、メディアを通して伝えられる「コンテンツ」は、メッセージと言えるでしょう。では、誰に対してのメッセージなのか。それはほかでもない、自社にとってターゲットとなる顧客です。

企業が自社の顧客に届けたいメッセージのすべてが、コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」なのです。

コンテンツマーケティングの種類

インターネット上で使用できるコンテンツには、いくつかの種類があります。コンテンツマーケティングを成功に導くには、これらコンテンツの種類と、その性質について理解しておく必要があります。

ブログ/コラム記事

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツといえば、コラムやブログなどの文字ベースの記事を思い浮かべる方がほとんどでしょう。

コラムとは、ある事実に基づいて、論歴的に文章を展開する記事の総称です。

例えば、ユーザーが睡眠について知りたいと思い、「睡眠」というキーワードでネット検索したとしましょう。

検索結果には、一位に「最適な睡眠時間って何時間? | 睡眠リズムラボ | 大塚製薬」が掲載されました。大手製薬企業が運営する、睡眠と体内リズムといった、健康に関する情報サイトです。掲載されているコラム記事は、「最適な睡眠時間て何時間?」、「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)とは?寝だめによる体内リズムの乱れ」など、厚生労働省が出す一時的データに基づいて書かれ、専門家の監修のもと、掲載されています。

記事の内容としては、一般的に知りたくなるようなテーマです。検索キーワードを意識することにより、同社のターゲットとなる、「健康や睡眠」に意識の高い読者向けに記事が書かれています。コラムを読んだ読者は、不眠で悩んでいるかもしれません。あるいは忙しくて睡眠時間を削り、体調不良を訴えているかもしれません。コラムを読み終えた読者は、サイト内を回遊し、同社が扱う製品を探すことも考えられます。

コラム記事は、企業が読者に伝えたい情報を、質・量ともに過不足なく発信するには、格好のコンテンツと言えるでしょう。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、主にB to Bにおいて、企業である課題を抱え、解決策を探りたいと思っている担当者に向けて書かれた報告書です。

その企業独自の調査やアンケートの結果、あるいは自社製品の導入事例、商品の使い方の解説など、様々です。

企業側は、読者を単なるサイト訪問者か、見込み顧客=リードの可能性のあるユーザーか、見極めたいと考えています。ホワイトペーパーは、自社が扱う商品・サービスについて、開発者や技術担当者の見解を文章化したり、その企業自らが調査したリポートなど、サイト上では公開しきれない内容が多いようです。

映画に例えると、サイトに掲載されている記事は予告編、ホワイトペーパーは本編、ということになるでしょうか。

そして、ホワイトペーパーの入手方法にも、「仕掛け」があります。サイト内の記事の内容に沿って、関連キーワードに近い位置にボタンを設置し、それ以上の情報を欲している読者を入力フォームへと誘います。

入力フォームには、「氏名」、「性別」、「年齢」、「所属している業界・業種」、「企業名」など、個人情報の入力を求められます。企業側はこれらの情報を、ホワイトペーパーの提供と引き換えに獲得できる訳です。

SEO対策で自然流入してくる読者は多くても、すぐに離脱されるのでは、オウンドメディアの効果も半減してしまいます。しかし、読者のこの行動により、企業は「この製品について、もっと詳しく知りたい」という、本気度を測っているのです。個人情報を差し出してでも、製品の詳細情報が欲しい、という意思から、単なる読者のその先、見込み顧客=リードになる見込みあり、という判断をしているのです。

動画コンテンツ

そのポテンシャルの高さから、これまで以上に注目が集まる動画コンテンツ。文字や静止画のみの情報に比べ、動きや音声の働きにより、視覚や聴覚に訴えかける効果は抜群です。文字のみでは伝えづらい、商品の解説、事例の紹介には、その情報量の多さから、打って付けと言えるでしょう。

ただ、書けばすぐにアップロードできる記事コンテンツとは違い、動画コンテンツは作成するには色々と手間がかかります。クオリティを追求すると、それなりのスキルを擁し、外部のプロダクションに委託するのであれば、費用もっ発生するでしょう。

しかし、一旦完成してしまえば、オウンドメディアで公開するだけではなく、SNSで公開したり、WEB広告に流用したりと、活用の幅ははるかに広がるでしょう。

ランディングページ

「Landing Page」は、広義には、そのサイトを訪れる読者が、最初に目にするページを指します。狭義では、検索結果やリスティング広告、あるいはSNSを見たユーザーが、バナーやリンク文字をクリックして訪れる、その商品・サービスについての情報に特化したページです。

コンテンツマーケティングでは、一般的にランディングページと言えば、この狭義の意味でのページを指します。ランディングページは、訪問者に対し、ある特定のアクションを起こしてもらうことを目的に、作り込まれています。

ある特定のアクションの一つには、「商品の問い合わせや注文」があり、これは直接、売り上げに繋げられます。また、もう一つのアクションは、「無料の会員登録や試作品の申し込み」が考えられ、これにより、潜在顧客の属性情報を入手できるのです。さらには、「内覧会や説明会など、イベントへの申し込み」であり、これは見込み顧客の獲得が期待されます。

サイトへの訪問者は、はじめから商品・サービスについて関心を持っているユーザーを想定しています。従って、ページに掲載されるコンテンツは、該当する商品・サービスのみの情報に限られています。また、CVR=コンバージョン率を上げるために、他のページへ回遊してしまわぬよう、ランディングページ以外のページへのリンクを閉ざしてしまうことが求められるのです。

セミナー(ウェビナー)

コンテンツマーケティングでは、セミナー開催も、有効なコンテンツとして認識しています。参加者にとっては、自分が持つ疑問に、有識者が直接答えてくれる、またとない機会です。また、普段なら会えない専門家に、面識を得るチャンスも与えられる、一石二鳥のイベントです。

しかし、新型コロナウィルスの感染が拡大して以降、リアルなセミナーは影を潜め、その多くはWEB上でのセミナーが主流となりつつあります。ウェブとセミナーとの造語である「ウェビナー」も、この2年の間にすっかり定着したようです。

ウェビナーの特徴としては、以下の5つが挙げられます。

【ライブ体験】

ウェビナーでは、主催者も参加者も、お互いにパソコンあるいは、スマートフォンの画面を通して向き合います。これにより、主催側は参加者に、実際の会場にいるようなライブ体験を与えることが可能です。加えて参加者は、プレゼンターに直接質問したり、参加者同士で会話したりと、双方向なやり取りができることが強みです。

【リアルタイムな配信】

参加を希望しているユーザーに対し、あらかじめ資料をアップロードしたり、WEBのURLを伝えてセミナーの告知を行うことができます。セミナーの開催中でも、話の内容に応じて即座に資料を差し替えたり、追加のファイルを共有することが可能です。セミナーの内容は録画しておけば、後日、欠席した応募者もコンテンツを参照できます。

【参加者のモニタリング】

主催者側は、ウェビナー開催中に、参加者の態度をリアルタイムで観察することができます。ネットを介して、参加者が双方向的な体験ができるため、プレゼン中のコンテンツについての関心度合い、参加度合いをリアルに受け止められるのです。

【優れた費用対効果】

ウェビナーは、開催者側も参加者にとっても、コストパフォーマンスが高いコンテンツです。リアルなセミナー開催の場合なら、開催側は会場費、配布する紙資料の費用、会場までの移動費などを負担しなければなりません。参加者にしても、会場までの移動費に加え、移動時間がかかってきます。WEB上のセミナーであれば、これらのコスト負担はゼロです。

また、セミナーの内容を録画しておけば、自社のオリジナルコンテンツとして、オウンドメディアで配信したり、SNSで公開したりと、二次利用、三次利用が見込めます。

【利便性の向上】

ウェビナーでは、参加者は実際に会場に移動する必要がないため、オフィスやカフェなど、都合の良い場所から視聴ができます。移動時間が節約できるため、ウェビナーを視聴する前後に、ミーティングやリモート商談をセッティングすることも可能です。これまで、セミナーへ参加するとなれば、半日あるいは一日がかりでしたが、ウェビナーにより仕事のスケジューリングも柔軟に対応できるため、ウェビナー参加へのハードルも低くなっているようです。

メールマガジン

こちらは、コンテンツマーケティングが注目される前から、顧客を獲得するツールとして活用されてきた手法です。

他のコンテンツに比べて、プッシュ型で配信するため、企業側が伝えたい情報を、不特定多数の相手に届けることが可能です。

インサイドセールスなどでも採用しているように、うまく使えば、リードナーチャリングにも利用できるコンテンツではあります。ただし、プッシュ型である以上、相手にメリットのないメールを強引に送ると、企業への心証は最悪なものになってしまうため、配信の頻度は細心の注意を払ってください。

購買行動プロセスに沿ったコンテンツの投下を考える

ここまで、コンテンツマーケティングの目的と、コンテンツの種類について見てきましたが、ここからは、どのタイミングでどのコンテンツを利用するべきかについて、顧客の認知フェーズに沿って考えてみましょう。

認知フェーズ

この段階では、自社が見込み顧客と定めるターゲットに対し、オウンドメディアで彼らが興味を持ちそうな記事を作成し、公開することにより、PV数を増やします。

このフェーズに相応しいコンテンツは、ブログ記事です。また、コンテンツの伝達ルートは、自社サイト、サイトのSEO対策による検索流入、メールマガジン、リスティング広告、SNSなどが考えられます。

興味/関心フェーズ

第2のフェーズでは、自社のオウンドメディアで、記事を読んだ見込み顧客に対し、その記事で扱ったテーマについて、さらに深く理解してもらうために、より詳細な解説を行ったり、セミナー(ウェビナー)への参加を勧めるなど、相手の興味や関心をさらに促すアクションを起こしましょう。この段階で求められるコンテンツは、ホワイトペーパー、動画コンテンツ、セミナー(ウェビナー)などです。伝達ルートは、サイト内にあるバナー、ポップアップ画面から誘導する申し込みフォームです。

比較検討フェーズ

ここまでくると、リードは自社の認知と共に、商品・サービスへの関心も徐々に高まっているでしょう。消費者がある商材に興味を抱いた時、起こす行動は他社との比較です。比較項目は機能、デザイン、価格など、多岐に渡るため、ホワイトペーパーなどで、詳細なデータと画像などで、しっかりと作り込んでおきましょう。また、操作方法などは、動画で動きと音声を加えて、より分かりやすく表現してみてください。もちろん、セミナー(ウェビナー)への招待をメールで行ったり、キャンペーンや特典のお知らせなども欠かせません。

商談化フェーズ

リードには、今の時点ではあまり、自社や自社製品・サービスに興味を持たない「コールドリード」と、購買まであともう少しのところまできている「ホットリード」に分かれます。と言っても、初めから二つに分かれているのではなく、当初はコールドリードでも、「育てる」ことにより、次第にホットリードへと変えていくことが可能です。このコールドリードを、ホットリードへと育てる行為が、「リードナーチャリング」です。

ここまで、各購買行動フェーズに合わせて、サイトを主としたオウンドメディアにおいて、コンテンツ配信やステップメールにより、お役立ち情報や、課題解決でリードにどのような利益が得られるか、より明確にイメージさせる努力をしてきました。これにより、案件化が期待される、確度の高いリードのリストが作成可能になります。

このリストをもとに、主に電話やメールを利用して、リードへ適度なコミュニケーションを取り、購買意欲を少しずつ高めていく手法を、「インサイドセールス」と呼び、大手企業では、マーケティング部門と営業部門との間に、インサイドセールス部門が設置されているところも多いようです。インサイドセールスでは、リードに架電した際、話しぶりから興味の度合いを測り、口頭によるフォローを行い、必要に応じて資料送付の案内をしたりと、臨機応変に対処します。

場合によってはこのタイミングで、オウンドメディアのコンテンツを案内することもあり、施策同士で相乗効果を高めることもできるのです。

まとめ:コンテンツの種類を把握し、コンテンツマーケティングの効果を確かなものに

今回は、コンテンツマーケティングにおける、コンテンツの種類について、詳細にご説明しました。

コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」とは、企業からターゲットとする顧客へのメッセージです。

コンテンツの種類には、「ブログ/コラム記事」、「ホワイトペーパー」、「動画コンテンツ」、「ランディングページ」、「セミナー(ウェビナー)」、「メールマガジン」などが挙げられます。

どの種類のコンテンツを、どのタイミングで利用するかは、見込み顧客が購買行動プロセスのどのフェーズにいるかで異なります。

購買行動プロセスには、「認知フェーズ」、「興味/関心フェーズ」、「比較検討フェーズ」、「商談化フェーズ」の4段階に分かれており、それぞれの見込み顧客をよりホットなリードへと昇華させる必要があるのです。

既にご案内のように、コンテンツマーケティングという施策は、効果が現れるまでに時間とコストがかかります。人的リソースだけでも、大手企業はともかく、中小企業では確保するのも困難です。

そこで、施策の一部を、外部のプロに任せるという選択肢も、視野に入れてみてはいかがでしょう。

弊社では、プロのライターの技術と専門家の知見により、コンテンツの制作はもちろん、コンテンツの有効な活用方法などをコンサルするサービスもご用意しております。

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大学卒業後、新聞社に勤務。企業へのインタビュー記事作成業務を経たのち、広告制作会社に勤務。退社後は、フリーランスのライターとして活動中。得意分野は、ビジネス、マーケティング、各種マーケットリサーチなど。
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