相続財産が少ないほうが揉める!遺言書を絶対に用意したほうが良いケースは?

相続で親族同士が争うことを「争族(あらそうぞく)」と呼ぶように、相続が発生すると仲が良かった家族に亀裂が入り、修復不可能になるケースも少なくありません。この記事では、相続で揉めやすいケースや揉めごとを避けるために用意したい遺言書について説明します。

相続財産が少ないほど揉める傾向にある

2019年度の裁判所のデータによると、遺産分割事件の件数は、1万3,040件でした。遺産分割事件の総数は、近年じわじわと増加傾向にあります。また、遺産分割事件となった相続財産の価格は、以下の通りです。

相続財産の価格件数割合
1,000万円以下 2,448約33.89%
5,000万円以下3,097約42.87%
1億円以下780約10.80%
5億円以下490約6.78%
算定不能・不詳 367約5.08%

相続財産価格5,000万円以下が約76.76%となっています。よく「うちはお金がないから相続の心配はいらない」という方がいますが、「争族」が他人ごとではないことがわかるのではないでしょうか。筆者の実家でも、相続財産で親族が揉めた苦い経験があるので、自分が相続する立場になったら、必ず対策をしておきたいと考えています。

遺言書はなぜ必要?

上述の通り、相続財産が多くないケースのほうが遺産分割で揉めるケースが多い傾向です。遺言書が残されていない場合には、相続人全員で遺産分割の内容について話し合う必要があります。

相続税の申請・支払期限は、被相続人(亡くなった人)の死後10ヵ月以内です。そのため、それまでに協議を終わらせる必要がありますが、それぞれの相続人に欲が働くと協議は進みません。相続人間の協議で決められない場合には、調停や裁判にもつれこみます。調停や裁判となれば、問題解決までに1年以上かかることがほとんどです。平日に何度も家庭裁判所に通う必要があります。

相続人が働いていたり、遠方に住んでいたりすると非常に負担が大きいでしょう。何より、家族仲の修復は非常に難しくなるかもしれません。

被相続人が遺言書を残しておけば、基本的には遺言書の内容に従って相続が行われます。ただ、その場合でも遺言書の内容に納得できずに争うケースも多々あるようです。遺言書に納得できないが、最低限遺留分は欲しいという親族は、遺留分を侵害している分を家庭裁判所へ申し立てするなど、相続に関してはトラブルがつきものです。

ただ、被相続人が考えた内容の遺言書が残っていれば「被相続人の意思だから仕方がない」と納得する場合もあるでしょう。可能ならば遺言書は作成しておいた方がいいかもしれません。

遺言書がなくて揉めるパターン

それでは、遺言書がなくて揉めやすいパターンについて紹介します。

相続人の1人が介護していた場合

相続人の1人が被相続人と同居して介護をしているパターンは揉めやすいでしょう。例えば、相続人の長男は海外赴任で数年に1度顔を合わせる程度で、相続人の長女は同居して何年も献身的な介護をしているというケースです。

長女は、「自分は被相続人のために、介護を行ったから財産をほとんど引き継ぐことができる」と思っている可能性があります。しかし、実態を把握していない長男からすれば「同居で一緒に旅行や食事に行くなど良い思いばかりしている」と感じるかもしれません。それぞれの相続人の立場で言い分があるので、話し合いで友好的な解決はしにくいでしょう。

この場合、長女の方の取り分を考えるならば、裁判所に寄与分の申し立てをするということも考えられます。

※寄与分とは被相続人に対して寄与(財産を維持または増加させたなど)したものについて相続財産に上乗せすることです。

特定の相続人が生前贈与を受けている場合

「家の建設費用を援助してもらった」「学費を援助してもらった」など、特定の相続人が他の相続人より多く生前贈与を受けている場合も揉めやすいでしょう。

これは、はっきりと生前贈与という形にして、金額などが明確であればそう問題はないのですが、そうでない場合に起こりやすくなります。

相続財産が自宅しかない場合

相続財産が自宅しかない場合、不動産をそのまま引き継ぐか、換金して相続人で分けることになります。例えば、思い出のある実家を手放したくない相続人と、1日でも早く売却して現金が欲しい相続人がいれば、当然揉めてしまうでしょう。

子どもがいない夫婦

子どもがいない夫婦の場合、被相続人の配偶者と健在であれば第2順位となる被相続人の両親、両親が亡くなっている場合には第3順位となる被相続人の兄弟姉妹と遺産分割を行うことが必要です。両親には、遺留分があるため、両親が相続放棄をしない限り両親には財産を渡す必要があります。

遺言書は何回でも書き換え可能

遺言書は、一度書いたらその内容で相続が決定するイメージかもしれませんが、実際には何回でも書き換えが可能です。例えば、財産内容が変わった場合や相続したい気持ちが変わった場合などに書き換えます。遺言書がないことによるデメリットは大きいので、特に上述のケースに当てはまる場合には、遺言書を作成した方がいいかもしれません。

遺言書を40代で用意している人もいましたが、たしかにいつ何があるかわからないので早い段階で作成しておいたほうがよさそうです。

家族円満を考えたら遺言書は必ず用意しよう

「遺言書=死」というマイナスなイメージから、作成するのは気が重いと感じる方もいるかもしれません。しかし、遺言書がない相続では、相続人の間で相続財産を巡って揉める可能性を高めてしまいます。残された家族に迷惑をかけないためにも、遺言書は必ず作成しておきたいところです。

また、自分の親がまだ健在の場合は、遺言書の必要性について説明し、作成してもらうと安心ですね。認知症が発症したら遺言書の作成はできなくなってしまうので、なるべく早めに取り組むようにしましょう。

文・勝目麻希
2級FP技能士、証券外務員1種。新卒でメガバンクに入社、大企業〜中小法人融資・資産運用を経験。結婚後商社勤務を経てフリーランスのライターへ。現在は実務経験を活かし、資金調達・資産運用・遺産相続など、金融系コンテンツの作成を多く手掛ける。

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