資金繰りを悪化させないためにすべきこととは?改善方法も考えてみよう

会社経営で大切なのは、適切に資金繰りを行うことです。資金繰りを悪化させないためにはどうすればいいのでしょうか。今回は、資金繰りの悪化とはどういった状態なのか、そして悪化させないためにできることは何かを探っていきます。

現在、資金繰りをどうすればいいのか迷っている人、これから会社経営を始めたいと考えている人は必見です。

資金繰りの悪化とは?

資金繰りの悪化とは、「すぐに使える会社のお金がなくなり、経営状態に影響を及ぼすこと」を指します。土地や建物などの資産を数多く保有していても、資金の準備ができないと資金繰りが悪化する場合もありますので注意しないといけません。会社の資金とは、具体的に以下のようなものを指します。

  • 現金
  • 普通預金
  • 当座預金
  • 譲渡性預金など

すぐに現金化し利用できるものが「資金」です。不動産や株式のように現金化に時間がかかるものは「資産」と呼ばれます。

資金繰りが悪化する6つの原因

では、会社の資金繰りが悪化する6つの原因を詳しく見ていきましょう。

  • 赤字経営になっている
  • 売上の急激な増加
  • 売上の急激な減少
  • 借入金が多すぎる
  • 売掛債権の貸し倒れ
  • 必要な運転資金が多すぎる

赤字経営になっている

「売上が伸びない」などの理由で赤字が出ている場合は注意が必要です。売上が上がらないと資金は入ってきません。資金が入ってこないと支払いの決済準備ができないため、資金繰りが悪化していきます。もし、赤字が出ている部分がどこなのかはっきり分かっている場合は、損失が大きくならないうちに対応することがおすすめです。

売上の急激な増加

売上が急激に増加することは必ずしも会社経営にとって安心材料とはなりません。なぜなら、売上の急激な増加に伴い、仕入れなどの買掛金決済も大きく膨らむ可能性が高いからです。会社の会計は、原則「発生主義」で記帳されます。

発生主義とは、資金が手元に入ってきていない場合でも、売上や費用が発生した時点で帳簿に計上する方法のことです。発生主義では、売上が急増して資金はまだ入ってきていない状態(売掛状態)でも、帳簿上は「売上:○○円」と計上します。

この時点で、現在保有する現金と売上のズレを認識していないと、帳簿上は黒字なのにもかかわらず、現金(資金)がない状態に陥るのです。特に、売上が計上された直後に、外注や仕入れなどの支払いが発生する予定の場合は、注意しておかないといけません。

帳簿上は黒字でも決済資金がなく支払いが滞る状態が続くと、最悪の場合「黒字倒産」に陥ることもあります。

売上の急激な減少

当然ですが、入ってくるお金が少なくなると、毎月の固定費など必要なものの支払いに困る可能性も出てきます。例えば、小売業など商品を販売する業種の場合は、売上の減少で過剰在庫を抱える原因にもなりかねません。

在庫が過剰に残ったままになると、倉庫を借りる費用が余計にかかる可能性があります。また、仕入れ資金を在庫で寝かしていることにもなるため、商品が回転していないことで資金繰りを悪化させる原因となるでしょう。

借入が多すぎる

会社の規模に比べて、借入金が多すぎることも資金繰り悪化につながります。借入した資金は、定期的に返済しないといけません。さらに、借入金には利息もかかります。資金繰り悪化に伴い、会社の資金が不足し、返済が滞ってしまうと延滞扱いになってしまうため注意してください。

延滞を繰り返していると、金融機関からの信用は低下してしまいます。場合によっては、期限の利益を喪失してしまい、一括返済を余儀なくされる可能性もあるため、注意が必要です。当然、今後の追加融資は非常に厳しいものとなります。

売掛債権の貸し倒れ

売掛債権の貸し倒れも資金繰り悪化の原因の一つです。売掛債権とは、掛取引で販売した売掛金や受取手形などを受け取ることができる権利のことを指します。

例えば、掛取引で商品を販売し、1ヵ月後に入金する契約だったとしましょう。本来なら1ヵ月で資金が回収できるはずが、販売先の何らかの理由で期日通りに資金が入金されなかったり、倒産して貸し倒れとなったりする場合もあります。

当然、入ってくる予定の資金が滞るわけですから、資金繰りの悪化につながりかねません。また、予定していた資金が入らなければ、買掛金決済などの支払いに困る可能性も出てきます。

必要な運転資金が多すぎる

会社の経営状態の良し悪しにかかわらず、毎月人件費や社会保険料、事務所の家賃、水道光熱費、電話・インターネット費用などの固定費がかかります。売上に対して、必要な運転資金が多すぎると、資金繰りに悪影響が出てくる可能性もあるでしょう。

資金繰りが悪化した場合の対処法

では、資金繰りが悪化してきたらどのように改善していけばいいのでしょうか。以下の5つの方法をご紹介します。

  • 赤字部門からの撤退
  • 人件費・固定費の見直し
  • 在庫管理
  • 資金調達
  • 売掛金の回収

赤字部門からの撤退

事業の中の一部門だけが赤字に陥り資金繰りが悪化している場合は、思い切って撤退を検討するのもいいかもしれません。赤字部門がなくなることで利益を出しやすくなる可能性もおおいにあります。ただし、撤退する際は次の4点をよく検討してからにしましょう。

  1. 今まで設備に関する費用や販促に関する費用などを適切に使っていたか、改善してそのまま事業を続けることはどうしてもできないか?
  2. 共同で仕入れをしているなど、赤字部門から撤退することで困る部門がないか?
  3. 赤字部門は始めたばかりの事業ではないか?これから黒字化が見込まれることは絶対にないか?
  4. 赤字部門から撤退することで、迷惑をかける顧客はいないか?

人件費・固定費の見直し

「不要な場所に過剰に人員を割いていないか」「人件費が多すぎないか」など、人件費の見直しも考えてみましょう。もし、人員が過剰な場合は、足りない部門に振り分けたり、新たな人員を増やさず現在の人数で対応したりする対策が必要です。

また、「広すぎる倉庫や事務所を借りている」ということはないでしょうか。これらを見直すことで、毎月の固定費を減らせる可能性も高くなります。

在庫管理

資金繰りが悪化している場合は、在庫の見直しを行うこともおすすめです。特に、売れない商品を大量に抱えている場合、それらを保管する場所を借りる費用もかかります。例えば、「在庫一掃セールで安く売る」「廃棄する」など、在庫をなくすことを考えてみてはいかがでしょうか。

資金調達

さまざまな対策を講じても資金が足りない場合は、追加の融資を申し込むことも検討しましょう。ただし、金融機関は、会社の経営状態や財務状況を審査したうえで融資の可否を決定します。

そのため、「経営がうまくいっていない」「資金繰りが悪すぎる」「赤字が多い」といった場合は、融資審査に通らなかったり、希望金額を融資してもらえなかったりする可能性も否めません。

また、追加融資で調達した資金も毎月返済が必要となるため、融資を申し込む前に「返済をきちんと続けられるのか」についても、資金繰りに組み込んでおきましょう。

売掛金の回収

もし、入金期限を過ぎている売掛金があるのならば、そちらを回収しましょう。本来ならば入っていないといけないお金です。売掛金の未回収が多くなると、資金繰りにも大きな影響があるため、日頃から売掛金の管理には気を配ってください。

資金繰り表の作成で資金繰りの悪化を防ごう!

これまで、資金繰り悪化の原因や、悪化した場合の改善方法についてご紹介しました。では、そもそも資金繰りが悪化しないためには何をしたらいいのでしょうか。事前にできることを3つ解説します。

資金繰り表の作成

資金繰りが悪化する前に気づくことができるように「資金繰り表」を作成してみてはいかがでしょうか。例えば、半年先の資金繰り表を毎月作成していれば、将来の資金の過不足を可視化できます。早めに資金の不足する時期を把握することで、さまざまな対策が検討できるでしょう。

資金繰り表に入れたい項目

資金繰り表は、エクセルなどで簡単に作成することができます。しかし、必ず入れないといけない項目は、特に決まっていません。自社で必要な項目を検討したうえで作成しましょう。もし、項目が分からず迷っている場合は、以下の項目を入れてみてはいかがでしょうか。

  • 営業収支
  • 財務収支
  • 経常収支
  • 予算

「営業収支」は本業での収支、「財務収支」は借入金などの収支、「経常収支」は本業以外での収支が分かります。どれか一つがプラスになっていても、他がマイナスであれば、資金が足りなくなる恐れがあります。収支は毎日チェックして、少なくとも数ヵ月の間必要な資金は確保できるようにしてください。

また、いつどのくらいのお金が入ってくる(出ていく)予定なのかを「予算」として記載しておくのもおすすめです。予算と実際の収支に乖離が出てきたら、資金繰り悪化につながらないように問題点を改善するようにしましょう。

資金繰り表は、日本政策金融公庫などでエクセルのフォーマットをダウンロードして使用することも可能です。

資金繰り表を作るメリット

資金繰り表を作るメリットは主に以下の2つです。

すぐに使えるお金が把握できる

資金繰り表は、資金繰りの悪化を知るためだけのものではありません。今すぐに使えるお金や数ヵ月後に入ってくるお金も把握できるため、「投資をしたい」「新しい設備を導入したい」といった場合でも、資金を投入する判断をすばやく行うことができます。

スピード感のある経営をしたい場合は、資金繰り表で資金の流れを確認するようにしましょう。

お金の動きの予測ができる

税金や社会保険料の支払い、借入金の返済など、「毎月運転資金がいくら必要か」「毎月売掛債権がいくら入金される予定か」についてしっかりと把握することができます。資金繰り表を作っていれば、数ヵ月後までの資金を予測することが可能です。

資金の流れを予測できれば、不足しそうな時期に合わせて、仕入れを減らしたり短期借入金を準備したりすることもできるでしょう。「慌てて融資の申し込みを行う」「不動産などを売却して資金を作る」といったことをしなくても済むように、資金繰り表を作成することが大切です。

会社経営では資金繰りを悪化させないように心がけよう!

会社経営では、売上を伸ばす方法や、利益を上げる方法が重視されますが、資金繰りを悪化させないことも非常に重要です。「資金繰りが悪化しているかも?」という事態が発生しているのであれば、大きな痛手となる前に、原因を取り除くように努めましょう。

なお、資金繰りが悪化する前に、「資金繰り表」を作成しておくこともおすすめです。資金繰り表を作成しておけば、「現時点でどのくらいの現金があるのか」「今後、入金・出金予定はあるか」がすぐに分かります。

初めて資金繰り表を作成する際は、手間がかかるかもしれません。しかし、健全な経営のためにも時間を取って作ってみてはいかがでしょうか。

文・田尻宏子 複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。

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