資金繰りとは?経営者が知りたいポイントをわかりやすく解説

「資金繰りが厳しい」そういう言葉を耳にする機会も増えてきました。資金繰りとは家計でいえばお金のやりくりのことですが、会社経営ではお金の流れを把握し会社の経営を続けていくために必要不可欠な行為です。良い意味でも悪い意味でも使われていますが、正確にはどのような意味を持つのかご存じでしょうか。今回は、資金繰りについて詳しくご紹介します。言葉の意味だけではなく、資金繰りが悪化した場合にどうすればいいのか、についても解説します。

資金繰りとは?簡単に押さえておこう

まずは、「資金」とは何なのかを知っておきましょう。会社における「資金」とは、主に以下のようなものを指します。

  • 現金
  • 普通預金
  • 当座預金
  • 定期預金
  • 譲渡性預金など

似たようなものに「資産」がありますが、こちらは以下のようなものです。

  • 会社の設備
  • 不動産
  • 売掛金
  • 株式など

「資金」「資産」ともに会社の財産ですが、以下のような違いがあります。

  • 資金:すぐに支払いに利用できるもの
  • 資産:すぐに支払いに利用できないもの

例えば、いくら不動産や設備などの資産がたくさんあっても、すぐに資金化できない場合があります。そのため、会社は諸々の支払いに困窮して倒産に陥ってしまう可能性もあるのです。つまり「資金繰り」というのは、「会社のお金を過不足なく保ち、経営状態を問題なく保持すること」といえます。
 

資金と利益はどう違う

資金(すぐに使えるお金)を増やしたい場合は、「売上を増やして利益を上げればいいのでは?」と考える人もいるでしょう。しかし、資金は利益とは異なり、利益を上げたからといってすぐに資金が増えるわけではありません。
なぜなら、一般的に売上が発生して代金が入るまでに時間がかかることが多いからです。帳簿上では、売上が発生したらすぐに記載するため、利益が発生したかのように見えますが、実際に現金は入ってきていません。つまり、現金が入ってくるまで資金は増えないのです。
運転資金に余裕がある場合は、資金繰りを考えなくても問題ありません。しかし、余裕がない場合は、帳簿上で利益が増えた直後に資金が出ていくような行為(高額の設備投資など)を行うのは避けたほうがよいでしょう。

資金繰りが悪化する場合とは?


 現在、資金繰りに問題がなくても、商売を続けていくと必要となる資金は変化していく可能性があります。資金繰りが悪化するパターンは、いくつか考えられます。代表的な例を4つ見ておきましょう。

1.必要な経費がかかりすぎている

売上がさほど上がっていない状態でも、人件費や家賃、電話・インターネット代などの固定費、業種によっては仕入れ費用などもかかります。このような状況が続くと資金繰りが悪化していく可能性があるでしょう。

2.設備投資に失敗する

売上増につながりそうな設備を導入したにもかかわらず、予想に反して売上が伸びない場合があります。このような事態は資金繰りの悪化につながります。

3.貸し倒れ、売掛金の未回収

債権の貸し倒れ、売掛金の未回収など、入るのを見込んでいた資金が回収できない場合は、自社の売上に問題がなくても資金繰りが悪化する可能性があります。万が一資金が入ってこなかった場合、どうやって未払金を回収するか、事前に対策を検討しておきましょう。

4.急激な売上増

急激に売上が上がり、仕入れや外注を今までよりも大量に発注しないといけなくなったときも注意しましょう。なぜなら、資金が入るタイミングと出ていくタイミングのズレが発生して、資金繰りが悪化する可能性があるからです。
もし、資金が入る前に発注する必要がある場合、支払いをいつまで待ってもらえるのかを取引先と話し合っておく必要があります。

資金繰りが悪化したらどうなる?

資金繰りが悪化すると、どうなるのでしょうか。大きく分けると以下のようなことが発生します。

  • 買掛金などの支払い・融資の返済が支払えなくなる
  • 買掛金などの支払い・融資返済猶予依頼などの必要が出てくる
  • 追加融資の依頼
  • 私財を経営に投入して支払・返済に充てる

資金繰りが悪くなることで最も困るのは、買掛金などの支払いや融資の返済が厳しくなる点です。決済日までに資金がなければ、支払いができない可能性もあります。取引先や銀行へ支払猶予依頼を申し出ることもできますが、支払い・返済義務がなくなるわけではないため、どこかで資金調達することが必要です。
また、延滞したり支払猶予依頼をしたりすることで会社の信用を失う恐れも出てきます。資金が足りなくなった場合、急いで調達するために金融機関へ追加融資を依頼する経営者もいるでしょう。追加融資が希望通りとなれば安心ですが、もし追加融資してもらえなかった場合は、私財を投入して返済に充てないといけない可能性もあります。
このように、会社の経営では売上を上げることも大切ですが、資金繰りの把握も匹敵するぐらい重要なのです。

資金繰りの改善方法について


資金繰りが悪化した場合、改善方法を模索することが必要です。具体的に、どのようなことを行えば資金繰りが改善するのでしょうか。

1.人件費や在庫の見直し

「人員が多すぎないか」「過剰在庫がないか」などについて見直してみましょう。売上に対して人員が多すぎる場合、足りない部門への異動や人員の整理も考えないといけません。また、在庫が多すぎると判断した場合は、廃棄や安売りで処分する必要もあります。廃棄処分した分は「廃棄損」として損金処理できるため、資金繰り改善には有効な方法の一つです。

2.出ていくお金を把握する

設備投資や物品の購入、仕入れなどがなくても、従業員の給与や、税金、保険料などの必ず支払わないといけない費用はいくつもあります。これらのお金は、金額や支払い時期がある程度固定されているものです。
事前に「いつ、どのくらいの金額が出ていくのか」を確認し、支払いのときに慌てないように把握することも大事です。

3.回収漏れがないか確認

取引先が多くなると、多くの売掛金が発生することもあるでしょう。中には、入金が数ヵ月後というものもあるかもしれません。案件や取引先によって入金日が違う場合もあるため、入金漏れを起こされないように注意してください。
資金不足を回避するためにも、毎月「資金繰り表」を作って、入ってくるお金と出ていくお金をきちんと把握しておくことをおすすめします。

資金繰り表について把握しよう

資金不足や、売掛金の回収漏れなどを防ぐためには「資金繰り表」を作成しておくことが有効です。資金繰り表があれば、万が一資金が不足する事態になっても、ある程度予測がついているため、前もって追加融資の申し込みや、不要な在庫の廃棄などの対応が期待できます。
資金繰り表は、決められた項目を必ず入れて作らないといけないわけではありません。各社で使いやすいように作成することができますが、これから作成する場合は、ぜひ以下の3つの項目を入れておきましょう。

営業収支

本業で入るお金と出ていくお金を把握する項目です。「どのくらい売り上げがあるのか」「売上を上げるためにどの程度のお金がかかっているのか」などが分かります。もちろん、プラスが望ましいですが、「一時的なプラスなのか」「継続してプラスでいられるのか」、見極めることも大事です。
マイナスになりそうであれば、その原因も把握するようにしましょう。

財務収支

借入金の収支が分かる項目です。財務収支がプラスの場合は借入金の増加、マイナスの場合は借入金を返済したことを表します。プラスが多くなりすぎないように注意することが必要です。

経常収支

本業以外での収支を把握するための項目です。本業の収支が分かる営業収支がプラスでも、経常収支がマイナスになることもあります。その場合は、「借入金が多すぎる」「利息の支払いが負担になっている」などをチェックしないといけません。
資金繰り表は、定期的に見直しておきましょう。少なくとも数ヵ月後までの資金繰りは大丈夫なのかを把握しておくことをおすすめします。

黒字でも油断できない!「黒字倒産」とは?


 「売上が上がって黒字だから資金繰りも大丈夫だろう」と思う人もいるかもしれませんが、油断は禁物です。「黒字倒産」についても確認しておきましょう。多くの会社では、売上を計上後、入金まで1ヵ月~数ヵ月待つことになります。
そのため、帳簿上では売上を計上して黒字になっていても、実際には資金が入っていない状態です。もし、取引先の都合などで、売掛金の回収が滞った場合はどうなるでしょうか。帳簿上は黒字にもかかわらず、手元に資金がないため、資金繰りが悪化し倒産に追い込まれることもあるかもしれません。
これが、「黒字倒産」といわれるものです。なお、「特に設備投資などもしていないから、売掛金の入金が遅れても問題ない」という会社もあるでしょう。そのような会社は、以下の支払いを把握しているでしょうか。

  • 社会保険料の支払い
  • 従業員の給与の支払い
  • 事務所の家賃の支払い
  • 仕入れた物品の代金支払い
  • 税金の支払い

金額の多寡はあるにしても、これらの費用は会社を経営している場合、発生する可能性が高いものです。そのため、資金繰りは必ず把握しておき、数ヵ月先までの資金は必ず確保するようにしてください。また、帳簿上は黒字でも資金が足りない事態に備えて、資金繰りが健全なときから融資などを利用して、早めに手を打っておくことをおすすめします。
会社を経営するならば資金繰りの把握は重要!
会社を経営する場合、特に重視されるのは「売上をどのように上げていくか」という点です。しかし、資金繰りを把握するためには、加えて「売上金がいつ入ってくるのか」「何の支払いがいつ、どのくらい発生するのか」を常に把握しておくことが大切といえます。
資金繰りを正確に把握するためには、資金繰り表を作ることがおすすめです。資金繰り表に記載する項目は、法律などで決まっているわけではありません。しかし、本業に関する「営業収支」、借入金の増減に関する「財務収支」、本業以外の収支を表す「経常収支」については入れておいたほうがいいでしょう。
その他の項目は、自社の状況に合わせて作成してください。数ヵ月先までの資金繰りをしっかりと把握しておけば、売上が落ちたときや、入金が減った場合などでも慌てることなく前もって融資申し込みなど資金調達の対応ができるはずです。
デファクトコミュニケーションズでは中小企業の経営者様をサポートするさまざまなサービスを展開しています。企業のブランディングやマーケティング活動にお悩みをお持ちの方はぜひ一度ご相談ください。

 

文・田尻宏子 複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。

 
 
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