新型コロナウイルスの影響で解雇や雇止めが増加! 会社として知っておきたい解雇・雇止めのリスク


 
「新型コロナウイルスの影響で解雇・雇止めの増加」という報道を耳にする機会も多いのではないでしょうか。実際に、解雇や雇止めの相談が寄せられることが多くなっています。一方、新型コロナウイルスの影響が会社経営に深刻なダメージを与え、悩んでいる経営者が多いのも事実です。
しかし、経営者なら安易な解雇や雇止めにはリスクがあることも知っておかなければなりません。本稿では、解雇や雇止めに関する注意点や基本的な考え方について、今一度確認していきましょう。
 

解雇・雇止めをするときに最初に注意すべきポイントは「労働契約法」


「解雇」とは、企業側から一方的に労働契約を終了させることをいいます。また、「雇止め」とは、期間の定めがある労働契約において、契約期間が満了し、契約を更新しないことです。会社は、解雇や雇止めをしてはいけないわけではありません。
しかし、納得できる説明がなく一方的に労働契約を打ち切られた場合、従業員はどのように感じるでしょうか。
 

解雇や雇止めで発生するリスク

従業員が退職後に解雇や雇止めの無効を主張するケースも多い傾向です。その場合、会社は訴訟リスクを抱えることになります。また、労使間のトラブルは従業員の不信を招くことにもなりかねません。
 
従業員のモチベーションの低下や転職者の発生などにもつながり、事業継続が危ぶまれる危険性もあります。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇の場合、権利の濫用をしたものとして無効です(労働契約法16条)。
 
また使用者は、パート従業員や契約社員など期間の定めがある契約を結んでいる場合、やむを得ない事由がなければ、契約期間中に従業員を解雇することができません(労働契約法17条)。
 
さらに、労働契約法には雇止めが無効になるケースを定めている条文もあります(労働契約法19条)。そのため、「反復して更新してきた実態など期間の定めのない契約と実質的に変わらない」「契約更新が期待できるような状況」といった場合は、注意が必要です。
 
雇止めの際、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」といった場合は、雇止めが無効となるリスクがあります。この場合、従前の労働条件と同一の条件で更新されたものとみなされてしまうのです。
 
新型コロナウイルスの影響で売上が減少し、やむを得ず事業縮小をするケースを多く見かけます。会社にも、従業員を解雇しなければならない事情はあるでしょう。しかし、会社としては、以下のような内容を十分に検討することが必要です。
 

  • どうしても解雇や雇止めをしなければならない正当な事情があるのか
  • 就業規則や雇用契約書に定めた解雇事由や契約を更新しない場合に該当するのか
  • 対象者の人選は公正で、従業員の納得が得られものとなっているか
  • 転勤や配置転換で解雇や雇止めをせずに対応できないか
  • 従業員との話し合いや説明を十分に尽くしたか

など


 
 

労働基準法の解雇予告手当とは?

労働基準法20条には、従業員を解雇しようとする場合、「少なくとも30日前にその予告をしなければならない」「30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と定めています。
 
労働基準法で定めているのは、解雇する場合の手続きです。決して「30日前の予告や、30日分の平均賃金の支払いがあれば解雇できる」という意味ではありません。解雇の有効無効の判断は、労働契約法などで判断することになるため、注意が必要です。
 
また、「更新及び雇止めに関する基準(厚生労働省告示)」もあります。「3回以上契約が更新されている」「1年を超えて継続勤務している人を雇止めする」といった場合、手続きとして会社は30日前までに予告しなければならないことも忘れてはなりません。
 

労使トラブルを防ぐには「話し合い」を尽くすことが大切


 
労使のトラブルは、あっという間に他の従業員にも広まり、社内の雰囲気を悪化させる原因となりかねません。当事者同士の話し合いで解決できない場合、会社は訴訟リスクや離職リスク、従業員のモチベーション低下など、多くの経営上のリスクを抱えることになります。
 
最初に検討すべきは、労働契約法や民法などの法的根拠を踏まえた対応です。新型コロナウイルスの影響がなくなり、通常営業ができるようになったときには、再度従業員の力が必要となります。
 
そのため、雇用調整助成金を利用して雇用の維持を図ることも検討してください。解雇や雇止めの問題は、経営上の危機から「他に方法がない」と判断した場合の最終手段と考え、労使双方で話し合いを十分に行いながら解決するのが最善策といえるでしょう。
 

文・加治直樹(1級FP技能士、社会保険労務士)
銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

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