【徹底解説】資金繰りの改善方法とは?具体的方法6つ


資金繰りとは収入と支出をきちんと調整し、過不足ない状態にすることです。会社の経営者であれば、一度は資金繰りの心配をした経験があるのではないでしょうか。もし、資金繰りが悪化してしまった場合は、どのような改善方法があるのでしょうか。本記事では、資金繰りが悪化する原因や、改善のための具体的な方法について解説していきます。

 資金繰りとは


資金繰りとは収入や支出を管理し調整していくことです。「資金」とは現金や預貯金など。「繰り」とはやりくりを指します。つまり、「資金繰り」とはお金を上手にやりくりして事業の運営を行っていくという意味になります。収支と似通っているように見えますが、資金繰りの場合は将来を考えたやりくりということになります。

まずは資金繰りが悪化した原因を5つチェック


資金繰りの改善のためには、まず悪化した原因を探ることが先決です。資金繰り悪化の原因には、主に以下のようなものがあります。

  • 赤字部門が発生した
  • 売上の急な増減
  • 借入金が多くなった
  • 回収できないお金がある
  • 金融商品・設備などへの投資で失敗した

では、各項目について詳しく見ていきましょう。

1.赤字部門が発生した

本業の一部門で赤字が出ており、他の部門の売上でもその赤字をカバーできない場合、資金繰りは悪化していきます。「赤字は今だけだから大丈夫だろう」などと考えている経営者もいるかもしれません。しかし、赤字が改善する具体的な時期が見えていないと、入ってくるお金はますます少なくなり、赤字が拡大していく恐れもあります。
赤字部門が発生してしまった場合は、「損失はどのぐらいか」「いつ改善(黒字化)するのか」を早めに見極めることが大切です。もし、損失がカバーできるのほどの売上が見込めない場合は、赤字部門の切り捨てを考える必要も出てくるでしょう。

2.売上の急な増減

売上が急に減少すると、入ってくるはずだったお金が入らず資金繰りが悪化していきます。「今後、売上が改善する見込みがあるのか」「もし改善しないのならばどうすればいいのか」を検討することが必要です。
例えば、小売業の場合は商品が売れず、過剰に在庫を抱えることも資金繰り悪化の原因となります。資金繰り改善のためには、過剰在庫の処分についても考えないといけません。
反対に、売上が急に増加した場合も注意してください。なぜなら、一般的な会社の場合、売上金は即日現金が手元に入るわけではなく、売掛金が入金されるのは1~数ヵ月後になることが多いからです。売上があった時点で帳簿に計上されるため、「帳簿上は黒字でも現金は手元にない」という状態となる可能性もあります。
特に、注文を受けた後、商品の作成や仕入れなどを発注するスタイルの業態の場合は気を付けてください。売上金が入るタイミングと、発注した商品の作成・仕入れ費用を支払うタイミングがうまく合わない場合は、資金がショートする可能性もあります。
お金がないのに支払い時期が来てしまい、資金繰りが急激に悪化してしまう原因となるかもしれません。売上金入金と作成・仕入れ費用の支払いタイミングに問題がない場合でも、販促費用がかかりすぎて資金繰りが悪化することもあります。販促費用についてもチェックしてみましょう。

3.借入金が多くなった

借入金が多くなりすぎることも、資金繰り悪化の原因の一つです。借入金が多くなると、それだけ毎月の返済金額も増えていきます。毎月の返済が増えれば、現金支出が多くなるため、会社の経営を圧迫する可能性が高まってしまうでしょう。
また、借入金が多いと支払利息も増えるため、その点も見逃さないようにしましょう。

4.回収できないお金がある

「金融機関などからの借入金はそれほど多くない」という場合でも、貸し倒れや未回収金が発生すれば資金繰りが悪化する可能性があります。回収できる時期がいつになるのかを把握しておくことが大事です。

5.金融商品・設備などへの投資で失敗した

売り上げ増を見込んで設備投資をするという会社もあるでしょう。しかし、思ったほど売り上げが伸びない場合、資金繰り悪化の原因となります。

資金繰り表で現状を把握しよう

 資金繰りが悪化しないようにするためには、資金の動きを把握することが重要です。「資金繰り表」を作成して、現状を確認してみましょう。

資金繰り表とは?

資金繰り表とは、会社の現金の流れを把握するために作成する表です。この表を作成しておくことで、「急にお金が足りなくなってしまい、買掛金決済や借入金返済ができない」といったことを防ぐことが期待できます。

資金繰り表に記載する内容とは?

資金繰り表に記載する内容は、特に決まりはありません。各企業で使いやすいように作ることができます。もし入れる項目を迷うということでしたら、日本政策金融公庫のホームページで書式をダウンロードできます。こちらを元に作ってみるのはいかがでしょうか。
なお、自社で作る場合でも以下の項目は入れておくと分かりやすくなるかと思われます。

営業収支

本業で入るお金と出ていくお金が把握できます。売上の金額だけでなく、その売上を出すためにどのくらいのお金が出ていったかも確認できるため、売上効率についても知ることができるでしょう。もちろん、マイナス(赤字)になった場合も一目瞭然となるため、マイナスになる原因をチェックするためにも入れておいたほうがいい項目です。

財務収支

財務収支がプラスの場合は借入金増加、マイナスは借入金の減少を表します。プラスが多くなりすぎないように保つことが重要です。特に、本業が赤字の場合、財務収支に注意を払っておかないと、最悪の場合、倒産の恐れも出てきます。

経常収支

本業以外の収支が把握できる項目です。いくら商品が売れていても、「運転資金が多すぎる」「利息の支払いが多い」などの場合、赤字になってしまう可能性もあります。銀行の融資審査でも見られるところですので、きちんとチェックしておくことをおすすめします。
その他、余裕があれば項目ごとに「予算」を記載してもいいでしょう。毎月の予算を立て、実績との差を確認することで、問題点を洗い出すこともできます。会社の資金繰りは、できれば数ヵ月先まで把握できるようにしておきましょう。
「決済直前になって今月支払いのお金が足りないことに気付いた」という事態だけは避けるようにしたいものです。

資金繰り改善の具体的方法6つ


 資金繰り表を作成して日々確認しておけば、会社の運転資金が足りるかどうかを把握することができます。では、資金繰りが悪化している場合はどのように改善すればいいのでしょうか。ここでは、以下の資金繰り改善方法をご紹介します。できそうなところから手を付けていきましょう。

  • 借り入れる
  • 資産を売却する
  • 支払を先送りしてもらう
  • 未回収売掛金の回収
  • 出ていくお金の管理
  • 在庫の処分

 1.借り入れる

金融機関へ融資を依頼することは、会社の運転資金が不足するときによく考えられる方法の一つです。ただし、審査の結果によっては希望する金額を満額借りられなかったり、断られてしまったりする可能性もあります。
一時的に資金繰りが厳しい場合は問題ないかもしれませんが、赤字が常態化している会社や資金繰りが常に厳しい会社では資金調達の難易度は高くなるでしょう。

2.資産を売却する

不動産などの資産を売却してお金を作る方法です。特に、大きな資産の場合はまとまった資金調達ができる可能性があります。ただし、「不動産が売れないなどの理由ですぐにお金を調達できない」「希望通りの金額が用意できない」という可能性も十分考えられるでしょう。
また、不動産など一度手放してしまったら、改めて同じ場所に同じ物件を手に入れることが難しくなる可能性もあります。そのため、「本当に資産を手放してもいいのか」については、よく検討することが必要です。

3.支払いを先送りしてもらう

物品の購入代金や、仕入れ代金など、取引直後に代金支払いをしなくていい場合、その支払いを先送りしてもらうことも検討できる内容の一つです。支払いを先送りしてもらう場合は、いつになれば支払えるのかを明確にしたうえで取引先と交渉することが重要となります。
なぜなら、取引先への説明が不明瞭であったり支払いの先送りが続いたりすると、取引先からの信用が失墜して今後の取引にも大きな影響を与えてしまう可能性があるからです。そのため、頻繁に使える方法ではないことを理解しておきましょう。
金融機関からの借入金の返済についても同様です。
※コロナ禍での返済条件変更の場合はこの限りではありません

4.未回収売掛金回収

未回収の売掛金がある場合は、急いで回収することも大事です。売掛金がいつ、いくら入金される予定なのかを把握しておくためにも日ごろから資金繰り表を付ける習慣を持ちましょう。

5.出ていくお金の管理

売上を上げることに一生懸命になり、出ていくお金を管理していないと資金繰りは悪化してしまうかもしれません。会社を経営していると、毎月以下のような費用が出ていく可能性が高くなります。これらの金額の支出時期を把握しておきましょう。

  • 従業員の給与
  • 社会保険に関する費用
  • 事務所の家賃
  • 税金の支払い
  • 仕入れた物品の支払い

これらのうちの多くは、支払時期や金額が決まっています。事前に把握しておき、支払う時点になって慌てないようにしましょう。必ず出ていくお金の管理のためにも、事前に資金繰り表を作っておくことをおすすめします。

6.在庫の処分

在庫を過剰に抱えていると、寝かせている資金が多くなるため、資金繰りの悪化につながります。もし、今後も売れる可能性がない場合は処分も考えないといけません。安売りで処分しても、在庫が残ってしまう場合には、廃棄することも方法の一つです。
廃棄処分する際の費用は損金として処理することができます。在庫をずっと残していてもいいことはありません。資金繰りが悪くなる前に処分を検討しましょう。
※損金処理する場合は、廃棄に関する稟議書、請求書など証拠になるものを準備する必要があります。
 

健全な会社経営のためには資金繰りの改善が大事!

 資金繰りが悪化する原因や、改善方法についてご紹介しました。「資金繰りが厳しいのは今だけだから問題ないのでは?」と安易に考えている経営者もいるのではないでしょうか。対策を行わないと、ますます資金繰りが悪化して、経営状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。
気付いた時点で改善方法を模索したうえで、資金繰りについての心配を取り除くようにしましょう。また、そもそも資金繰りの不安を持たないようにするためにも、「資金繰り表」を作成し、日ごろから自社の資金の動きについて把握しておくことも大事です。
資金繰り表に記載する項目は、特に決まりはないため、自社で使いやすい項目を考えて作成してみましょう。
デファクトコミュニケーションズでは中小企業の経営者様をサポートするさまざまなサービスを展開しています。企業のブランディングやマーケティング活動にお悩みをお持ちの方はぜひ一度ご相談ください。

 

文・田尻宏子 複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。

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